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山野海の渡世日記

2022.11.25 更新 ツイート

親友の同居猫を探し始めて「水玉」と出会ったわたし 山野海

3年前の7月。我が家に猫がやってきた。
名前は水玉(男の子)。
名前の由来はお鼻の真ん中に小さな黒い点があったから。

 

 

私の職業柄ロケなどで家を空けることが多く、当時は猫を飼えるとは微塵も思っていなかった。
ところが縁とは不思議なもので、一番親しい友の小泉今日子さんが「そろそろまた猫と暮らしたいかも」と小さく言った言葉を聞き逃さず、私は彼女の同居猫を勝手に探し始めた。
幸い、仲良しの後輩から保護猫活動をしている女性を紹介してもらえることになった。
何匹かの可愛い保護猫ちゃんを写真で送ってもらうと、今日子は即答で美形の黒猫ちゃんたちに決めた。

 

今日子が黒猫ちゃんたちを引き取りに行く時、呼ばれてないのに私も強引に着いて行った。
だって、小さな猫ちゃんを自分の目で見て、吸って、こねくり回したかったから。

我々二人が保護活動をしている女性のお宅に着くと、小さな猫がたくさんいた。
道端に捨てられていたり、溝に捨てられていたり、親がノラ猫だったり。
どの子もそんな不幸な生まれなど吹き飛ばす勢いで、ミャーミャー元気に鳴いていた。

 

いろんなチビ猫を興奮状態で見ていた時、一匹だけおかしな動きをしている猫が目に止まった。
その猫を観察すると、何だか他の猫とは違う。
一番チビの癖に、誰よりもはしゃぎ回って、興奮しすぎて転んだり、何より歩く姿がガニ股だ。

待てよ。
これ、誰かに似ている。すぐにはしゃいで興奮して、周りが見えなくなり転び、しかもガニ股。
そうだ。この猫、私にそっくりだ。
そんなことを思っているうちに、その猫が私の膝の上に乗ってグーグー寝始めた。

その猫は、白と黒のブチ猫で、遠目に見たら毛玉に見えるような小さな猫。
ああ、出会ってしまったとこの瞬間は思ったが、今の私にはやっぱり無理だと考え、当初の予定通り今日子の家の子になった美形黒猫ちゃん達を今日子の車に乗せて、その日は帰った。

 

次の日からガニ股猫の事が頭から離れなかった。
二週間悩み、いや、本当は会った瞬間から決めてたような気がするが、結局そのガニ股猫、もとい、水玉を我が家に迎えた。

我が家に来て三日目の水玉

それから三年経ち、一緒に住めば住むほど、私たちは似ている事が分かる。
気が強いくせに臆病で、人見知りのくせに賑やか好き。
そして一番似ていると思うのは、稀代のおしゃべり好きなところ。
水玉は起きてる時はずっと何かを喋ってる。
もちろん私には何を話しかけられているのかは分からないし、水玉だって私に伝わっていない事くらいは、とうの昔に知っているはずだが、そんな事はお構いなし。
でも、私には水玉の気持ちがよく分かる。誰が聞いていようがいなかろうが、喋り続けたい。それがお喋りに生まれついてしまった者の性だから。

 

そんなこんなのおばさんと猫の二人暮らしは毎日楽しいことしかない。
水玉は、はしゃいだりお喋り好きではあるけれど、トイレは絶対失敗しないし、
食べ物も、自分のご飯にしか興味がなく、人間の食べるものを横から食べたりしない。
爪もちゃんと切らせてくれる。

出来る限り長生きしてもらって、この二人の生活を続けていきたい。

 

一緒に保護猫を引き取りに行った小泉今日子さんは、今も忙しい中、地道に保護猫の活動を続けている。
彼女は私の最も尊敬する女性だ。
私もいつか彼女を追いかけ、そういう活動をしたいと思っている。

もし、猫や犬を飼いたいと思っている方がいらっしゃったら、ぜひ一度、保護団体のホームページを覗いて見てほしい。
ひょっとしたらその中に、生涯のパートナーがいるかもしれないから。

 

そういえば、先日、動物の気持ちが分かると言う方と、お話しする機会があり、水玉が私の事をどう思っているのか聞いてみた。
「いないと寂しいけど、たまにうるさく思う時がある」
「何をうるさく思ってるんでしょうか?」
「変な踊りを踊って、歌いながら近づいてくる時が一番うるさいと言っています」

 

ああ、あれか。
誰にも聞かせられないけど、水玉が好きすぎて、彼がいかに好きかという思いを込めた自作の歌を歌って踊りながら水玉に近づくというのが、私の日課。

あれ、嫌だったんだね。
早速、新しい歌を考えます。

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山野海の渡世日記

4歳(1969年)から子役としてデビュー後、バイプレーヤーとして生き延びてきた山野海。70年代からの熱き舞台カルチャーを幼心にも全身で受けてきた軌跡と、現在とを綴る。月2回更新。

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山野海 女優、劇作家、脚本家

1965年生まれ。東京新橋で生まれ育ち、映画女優の祖母の勧めで児童劇団に入り、4歳から子役として活動。19歳で小劇場の世界へ。1999年、劇団ふくふくやを立ち上げ、全公演に出演。作家「竹田新」としてふくふくや全作品の脚本を手がける。好評の書き下ろし脚本『最高のおもてなし!』『向こうの果て』は小説としても書籍化(ともに幻冬舎)。

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