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人生袋とじ ~亜希のお悩み相談

2022.11.23 公開 ツイート

次男が野球を辞めスマホ三昧。次なる目標を見つけてほしい (回答)反抗期の息子を追いかけてはいけない 亜希

人気雑誌『STORY』、『Marisol』などでカバーや巻頭特集を飾ってきたモデルの亜希さんがによる「人生相談」。女として母として、モデルとして人生の荒波を豪快に乗りこなす亜希さんの言葉をお楽しみください。

◆annさん 40歳女性 主婦 大阪

中学2年、3年の息子の子育て中です。長男は高校も野球推薦が決まり、この先も野球を中心にした生活です。

今回ご相談したいのは次男の事です。次男も小学2年から野球を続けていたのですが、この夏で野球をやめてしまいました。理由は色々とあったのですが、一番は成績が著しく落ちた事。それに加え、所属チーム内のトラブルなどもあり、野球から離れるという決断に至りました。

私は、次男が野球を続ける意思があるなら、残りの中学生活の間、勉強をやり直し、高校入学後にまた野球をすればいいと思っていました。

同じ時期にやめた何人かの子は他のチームに移籍するなどして今も野球を続けていますが、次男は野球をやりたい!という気持ちがないみたいで、基本はゲーム、スマホの毎日…。

私には本人が今何をやりたいのか…。何かしたい事が見つかればいいなと思うのですが、そんな話をしてもイヤなのかあまり詳しい話も出来ずで、今は見守るしかないのかなと思っています。何か他のスポーツをしたい!とか、こんな事に興味を持ったとか、このまま何もなく高校に入学しても、あまりいい未来が見えてこない気がして、嫌がるのをわかっていながらも息子に色々と言ってしまったりする毎日です。

 

息子にやる気を引き起こすようなアドバイスをしたいのですが、反抗期というのもあり、なかなか思うように本音が聞けません。亜希さんならどんなアドバイスをされるのかなと思い応募させて頂きました。

 
(写真:iStock.com/gyro)

(回答)年頃の息子を追いかけてもだめ。気にかけてない「ふり」も必要。

息子さんが2人で、どっちも野球をやっていたなんて、なんだかうちと似ています。(編集部注:亜希さんの長男、次男は今、それぞれ大学と高校で野球をやっています) しかも、私自身も息子が野球をやめたことでめちゃくちゃ動揺した体験があるので、annさんの気持ちがすごくわかります。

 

私もそうだったし、私のまわりもみんなそうなのですが、野球に打ちこんでいる子どものお母さんって、どうしても野球中心の生活になることが多いんですよね。毎日の暮らしも母親としての思いも全部そこに捧げてしまいがち。子供が野球をやることで頭がいっぱいで、良い意味でも悪い意味でも、他のことが後回しになりがちなことも事実。

 

annさんの不安や焦りは私も経験があるから、すごくわかります。でも、わかった上で、今は息子さんの将来を一回野球とは切り離して考えてあげてほしいなと、思います。必ずこの先、野球から一旦離れたことが彼の人生にとってこんな意味があったんだなぁってわかる日が来ます。野球とは違う才能が伸びるきっかけになるのかもしれないし、もしかしたら選手とは別の形で野球に関わることになるかもしれない。どちらにしても中学2年生の彼は今、大きな可能性の入り口に立っていることは間違いないです。

野球をやる理由、やめる理由は子どもの数だけ存在する

野球をやりたいって思う子供たちや、子供に野球をやらせたい親たちってたくさんいる。でもその一方で、その子たちが野球をやめる理由も、本当にたくさんあるんですよね。

野球のセンスがあるのに体力や病気が理由で続けられなかったり、野球は好きなのに団体競技にフィットすることが難しかったり、チーム内や学校のトラブルで断念せざるをえなかったり……。好きな野球を続けられることも素晴らしいことだけど、野球から離れて野球以外の可能性を見つけることも、それに負けず素晴らしいことだと私は思っています。子供たちが好きな野球をできているなら、まずは野球ができる状況や環境に心からの感謝を忘れず応援していってほしいし、もし野球以外の道をその子が見つけたら、その選択を信じて、また全力で応援してほしい。親ってそれしかできないですしね。子供のかわりに道を見つけたり、歩いたりはできないんです。

時間はかかっても、彼は自分で答えを出してくる気がします。今は出てこないだけで、そのうち絶対出てくると思うんです。男の子なんて、母親が「ああしなさい、これやりなさい」って指示したって効果ないです、経験上(笑)。 やってほしいばかりだと、たぶん反発するだけだと思うので、一回ギアを緩める時間が必要なのかなと思います。

 

すごいストレスかもしれないけど、annさん、ここは女優になって「ママは全然平気」って顔で過ごしていきませんか? 不安な気持ちで息子さんを追いかけるよりも、ちょっと引いて気にもかけてないフリ。ストレスをかけず、距離感をとっていけば、向こうも近づきやすくなります。そんな空気が作れれば、本当に話したいことは息子さんのほうからしゃべってくると思います。リラックスした会話のタイミングを見逃さないようにして、そこでうまく背中を押してあげられたら、光が見えてくるのかな、と思います。「野球以外にも道はあるよ」って一歩踏み出すための親からの声かけができれば、息子さんもちょっと楽になるんじゃないかな。

気にもかけてないフリだけど、息子さんの態度や言葉から彼の気持ちを察する敏感さを持つことがたいせつですよ。不安や焦りで心がいっぱいになると、子供たちが発してるサインにも気づけないくらい鈍感になってしまうから気をつけて。

息子たちとの距離感、ウチの場合

私自身も、今では、息子たちに接するときも距離のとりかたを意識できるようになりました。もちろん以前は、私のほうから距離を詰めすぎてお互いに苦しい思いをした時期もありました。母親なんてたいがいそうですよね。でも追いかけすぎても相手は心を開かないことに気づいて、だんだん作戦を変更していったんです。

 

私が怒ったり、注意したりして、子供たちの態度がちょっと悪くなったときは、一旦引きます。こちらからしゃべりかけたり、先回りして声をかけたりしないようにするんです。たとえば、食事中に息子のお茶碗のごはんが少なくなってきたとき、ふだんなら「おかわりする?」って声をかけるところを、何にも言わない、気づきもしない。そうすると(今日、母ちゃん何も言わないな)って、向こうからこっちに近づいてきます(笑)。独り言みたいに、「おかわり頂けますでしょうか」とか言って、なんとなく私の顔色を伺いながら、お茶碗渡してくる。なんかその態度で、伝わるものがありますよね、親子だから。大袈裟な謝りの言葉は必要なくて、そんな言葉じゃないやりとりがきっかけで、またいつもの母と息子の関係に戻っていく感じです。

 

親子って揺るがない関係だから、時にストレートなもの言いや態度がきっかけでギクシャクするけど、その一番安心して接することができる人にそっぽ向かれちゃったらヤバいという気持ちも確実にあるんですよね。そこをうまくついて「追う、追わせる」の駆け引きをしていくことが私流のやりかた。そのためには、繰り返しになってしまうけど、子供たちの言葉やしぐさの小さな変化に気づく敏感さや、反応していく想像力が重要なんです。

鼻歌に耳を澄ませ!

最後に、私が息子たちの内面を推し量るバロメーターにしているものを紹介します。

それは、「シャワー中の鼻歌」。

たいがい男の子なんて、仏頂面でうちに帰ってくるじゃないですか。アイドルみたいな笑顔で元気よく「ただいまー」なんてない! そんな表情を見て、学校や部活がどうだったのか、ちょっと心配になったり。でもね、家に帰ってきた息子がシャワーを浴びてるときに、バスルームから鼻歌が聞こえると「あ、今日はもう大丈夫だな」って思えるんです。お風呂って一番リラックスできるし素の自分が出る場所。そこで、フンフン歌ってたらひと安心です。本当にひどい日だったらきっと鼻歌なんて出ないですからね。彼らの状態の浮き沈みがなんとなくわかったら、夕飯のときにどんなふうに声かけすればいいかな、なんてことも考えやすくなる。

耳を澄ませたり、距離をはかったり、子育てってホント大変だけど、それで子供たちが希望を持てたり前進できたりすれば、そんな苦労なんて吹っ飛んじゃう。五感をフル活用して楽しんでいかなきゃ!

(構成・文 片山裕美)

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人生袋とじ ~亜希のお悩み相談

綺麗な生き方より、少し焦げた人生の方が愛らしい。焦げ目がついたくらいからが人生の本番! ではないか。「人生、焦げついてなんぼ!」と明るく笑う亜希さんによる、人生相談。

幾多の経験を重ねた亜希さんが生み出したのは、へこたれず、笑いに変えていく力。一人では難しくっても、人に話すことでもしかしたら少しだけ前を向けるかもしれません。

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亜希 モデル

モデル、アパレルブランド「AK+1」のディレクションを務めながら、大学生と高校生の男児2人を育てるシングルマザー。育ち盛りなスポーツ少年に作り続ける豪快な家庭料理は、雑誌やテレビ、WEBメディアで話題に。明るく飾らない人柄が幅広い層の女性に支持を得ている。

YouTube「亜希の母ちゃん食堂」を配信中。
2021年、オンラインサロン「亜希のまどい寮」を設立。

著書には「亜希のことば」「お弁当が知ってる家族のおはなし」がある。

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