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転倒予防の名医が教える 長生き足体操

2022.10.18 公開 ツイート

すり足、ちょこちょこ歩き、軍隊歩き…転倒しやすい「NGな歩き方」 武藤芳照

最近、転びやすくなった、つまずきやすくなった……。歳や疲労、不注意のせいだと、甘く見てはいませんか? 転倒事故で亡くなる人は、なんと交通事故のおよそ4倍。骨折などのケガはもちろん、急性硬膜下血腫、脳挫傷といった、死や寝たきりにつながる恐ろしい事態を引き起こすこともあるのです。

転倒予防の第一人者、武藤芳照先生の『転倒予防の名医が教える 長生き足体操』は、そんな転倒を防ぐための知識とトレーニングを教えてくれる一冊。自分の身を守るために、若いうちに覚えておきたいことが満載の本書から、一部をご紹介します。

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正しい歩き方「3つのポイント」

「正しい姿勢」を確認したら、「正しい歩き方」を定着させましょう。正しく歩けば、筋力やバランス能力が鍛えられ、より転びにくいからだをつくることにもつながります。

正しい歩き方のポイントは次の3つです。

(1) 目線を前方に置く。視線は進行方向に向けて、視野を広く保ってください。

(2) 後ろの足のつま先で地面をしっかりと蹴る。しっかり蹴ることで、歩幅が広がります。

(3) ももからしっかり動かして、かかとから着地する。かかとから着地すると、つまずきにくくなります。

正しい姿勢を意識した上で、この3つをテンポよく繰り返しましょう。

転倒予防のために、一日どのくらいの「時間」歩けばよいか、とよく聞かれます。正しい姿勢でしっかり歩くことを意識すれば、最初は1日5分でかまいません。慣れてきたら、週に2~3日、1回20~30分程度歩くと効果的です。距離は気にしないでください。通勤時間や買い物などの外歩きを利用して、ムリなく楽しく歩くことが大事です。

次に「速度」について。息が切れるほど速く歩く必要はありません。正しい姿勢をキープしながら、太ももやおなかの筋肉を使っていることを意識できる速度で歩きましょう。速く歩くことよりも、一定のリズムでテンポよく歩くことを心がけてください。

それから「歩幅」はやや広くとるのが理想的ですが、姿勢が崩れるほど広げる必要はありません。後ろの足のつま先でしっかり地面を蹴れば、自然と歩幅は広くなります

立ち方と同じく、歩き方にも、知らず知らずのうちにクセがつきます。靴の同じ個所ばかりが極端にすり減ってしまう人は、クセがついている証拠です。とくに高齢になると筋力が低下し、それを補うために、バランスの悪い歩き方になるケースが多いです。

こんな歩き方は転びやすくなる

高齢者に多く見られる、転びやすい歩き方が3つあります。

1つ目は、姿勢の悪い歩き方。背中や膝が曲がり、前のめりになった歩き方です。視線が下向きになり、視野が狭くなるため、障害物につまずきやすくなります。

2つ目が、すり足・ちょこちょこ歩きです。歩幅が狭く、つま先が上がらないため、つまずきやすくなります。小さな段差でも転びやすくなりますし、足下に視線が行き、視野が狭くなるため、障害物にぶつかりやすくなります。

3つ目が、軍隊歩き。腰をそり、おなかを前に突き出した歩き方です。男性に多く、この歩き方を「姿勢のよい歩き方」と勘違いしている方もいますが、重心が後ろにあるため不安定で、とっさのときに姿勢を立て直しにくくなります。腹筋が弱い方は、この歩き方になりやすいので注意してください。

また、冬の季節では、滑りやすい凍結路に注意が必要です。雪道などでは、蹴り出しを小さくし、足の裏全体で着地します。重心を低く保ち、歩幅を狭めて、足下の路面状況をよく確かめて、足の裏全体で大地を踏みしめるように歩きましょう。普通の道路とは歩き方を変える必要があることを覚えておいてください。

関連書籍

武藤芳照『転倒予防の名医が教える 長生き足体操』

「最近転びやすくなった」は寝たきりへの危険信号!? 病院や高齢者施設でも実践!死ぬまで歩ける足腰を座ったままの運動でつくる。

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転倒予防の名医が教える 長生き足体操

最近、転びやすくなった、つまずきやすくなった……というあなた。「年のせいだからしかたない」と、甘く見てはいませんか? 転倒事故で亡くなる人は、なんと交通事故のおよそ4倍。骨折などのケガはもちろん、急性硬膜下血腫、脳挫傷といった、死や寝たきりにつながる恐ろしい事態を引き起こすこともあるのです。

転倒予防の第一人者、武藤芳照先生の『転倒予防の名医が教える 長生き足体操』は、そんな転倒を防ぐための知識とトレーニングを教えてくれる一冊。自分の身を守るために、若いうちに覚えておきたいことが満載の本書から、一部をご紹介します。

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武藤芳照 整形外科医、医学博士

日本転倒予防学会初代理事長、東京健康リハビリテーション(総合研究所代表理事・所長)、東京大学名誉教授。1950年生まれ。名古屋大学医学部卒業後、東京厚生年金病院整形外科医長、東京大学教育学部長、同大学副学長などを歴任。ロサンゼルス、ソウル、バルセロナの各五輪で水泳日本代表チームドクターを経験し、国際水泳連盟医事委員なども務めた。地方自治体や各種企業・団体での講演多数。

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