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ゴルフは名言でうまくなる

2022.09.18 更新 ツイート

第231回

「私は故郷では裸足でプレーしていた。私にはそのほうが快適なのだ」――サム・スニード 岡上貞夫

「足で地面をグリップする」ことを意識する

1942年のマスターズで、当時バージニアの山奥から出てきて間もなかったサム・スニードは、スタートから裸足でプレーをしていた。同伴競技者だったジーン・サラゼンにひどくたしなめられて、途中からはしぶしぶ靴を履いたそうだ。

このことに関して、スニードが回顧録のなかで述べたのが表題の名言である。

 

「私は故郷では裸足でプレーしていたのだ。そして、私にはそのほうが快適なのだ。私は靴を履くと、ひどく地面から離れたような気がし、足のつま先でしっかり地面をグリップできないからだ」

このような意識をもってスウィングしていたスニードは、バックスウィングからインパクトに至るまで、両足の裏は張りついたように地面から離れていない。インパクト後は右足のかかとがゆるやかに上がるが、左足は地面をグリップしているかのようにしっかりと踏みつけられており、あの美しいフィニッシュへと移行している。

この「足で地面をグリップする」ことの重要性については、ウォルター・ヘーゲンも次の名言を残している。

グリップは手だけのものではない。スタンスにおける両足の『グリップ・オブ・ザ・グラウンド』は、手のグリップに勝るとも劣らないほど重要なのだ

靴を履いていようがいまいが、アドレスでスタンスを取ったら、足の指先で地面をしっかりつかむような感覚が、スウィングの安定には欠かせないということなのだろう。

ヘーゲンの全盛期は、かなりスタンスが広かった。そして、両足があたかも「地から生えた」ように感じるほどしっかりと地面を踏みつけていたという。このため、ヘーゲンのアイアンショットではベタ足の極み、フィニッシュまで右足のかかとが地面から離れず、クラブは腰から肩の高さぐらいで止まるフィニッシュになっていた。

スニードとは違い、ヘーゲンのスウィングはお世辞にも美しいとはいえなかったが、そのショットの正確さは群を抜いていたのだ。その原動力が「地から生えた」ようなスタンスと足のグリップにあったことは間違いない。

ショットが安定せず、スコアも安定しないと悩んでいるゴルファーは、この点を踏まえて練習してみると一段階向上できるかもしれない。

「グリップ・オブ・ザ・グラウンド」を実践するためのシューズ選び

7番アイアンあたりを使い、スタンスを普段より広めに取る。ボール位置は両足の真ん中にする。そして、フィニッシュでも右足のかかとを上げないように意識して、肩の高さまでで止める。

最後まで右足のかかとを上げないようにすると、頭上にまでフィニッシュを取ることは、よほど体のやわらかい人でないとできないだろう。だから、クラブを肩の高さで止めるというよりも、「止まる」といったほうがいいかもしれない。

体重の移動もほとんど起こらないから、軸がブレることもない。その結果、スウィングの再現性は高まり、正確にボールとフェースがコンタクトする確率が高まるはずだ。

このように練習すると、いわゆる「厚いインパクト」を感じることができるだろう。「厚いインパクト」で打ち出されたボールは、やや低い球筋になるが、スピンで上昇し、落ちて止まる。

練習でこれができるようになったら、コースでもそのスウィングで試してみるといい。ドライバーやフェアウェイウッドのような長さのあるクラブでは難しいが、アイアンやユーティリティなら「グリップ・オブ・ザ・グラウンド」を実践できるだろう。

飛距離は少しだけ落ちるかもしれないが、方向性は格段によくなるに違いない。もともとアイアンは飛距離を出すクラブではなく、狙ったポジションに止めるためのクラブだ。これを実践できれば、これまでのゴルフとは一味違う上質なラウンドを体験できると思う。

さて、「グリップ・オブ・ザ・グラウンド」に直接的影響があるのはシューズだ。昔は金属製の鋲(スパイク)が靴底についたゴルフシューズだったが、いまでは見ることがなくなった。

靴底の金属製スパイクは、エアレーションの効果があって芝にいいという説もあったが、足を引きずると引っかき傷ができ、とくにグリーンを傷める悪影響のほうが問題になった。

最近はスパイクレスやソフトスパイクのシューズとなり、ゴルフ場でも金属製のスパイクシューズは禁止にしている。

昔は革張りで革底の重いシューズのほうがスウィングが安定するといわれていたが、現在はスニーカータイプのものも増えて、軽いシューズが多い。「グリップ・オブ・ザ・グラウンド」のためには、重いシューズのほうがいいようにも思うが、歩いて楽なのは軽いシューズに軍配が上がる。

タイガー・ウッズなども軽いシューズを好んで履いているから、重さにはあまりこだわらなくてもいいのだろう。靴ずれを起こさないような、履き心地のよさをシューズ選びのポイントにする人も多い。

コースの芝生は意外と繊細

シューズは直接芝生に触れるので、芝保護のために気をつけないといけないことがある。汚れや雑菌をコースに持ち込まないということだ。

とくに、スパイクレスシューズは普段履きでも使えるため、家から履いてコースへ行く人もいるかと思う。しかし、道路や電車の床などには油や雑菌などあらゆる汚れがあり、靴底についてしまうのだ。

そのままコースに入ってしまうと、靴底の汚れや雑菌が芝にこすりつけられて、芝に悪影響を与えてしまうことになる。

「そんなことで芝が枯れるなんてないでしょう」と思うかもしれないが、事態はそれほど軽いものではないのだ。グリーンキーパーさんによると、とくにベントグリーンが雑菌に弱く、ひどいときには靴の足型に芝生が枯れるということもあるそうだ。

暑い季節も、寒い季節も、必死にグリーンの状態を維持しようと頑張っているグリーンキーパーさんの落胆を思えば、このような事態を起こさないよう気を配るのはゴルファーの義務といってもいいだろう。

ショットでターフを削って芝を傷つけても、目土などしておけばいずれ自然に修復されるが、雑菌による病気で芝が枯れると広範囲に及ぶこともあるので、事は重大なのだ。

一番いいのは、ゴルフシューズはゴルフコース専用にすることだ。他のゴルフ場で使ったシューズでも、ゴルフ場には芝に悪影響のある雑菌はいないはずだから、問題はないだろう。

しかし、練習場などには雑菌がいる可能性が高いから、練習場用とコース用は分ける必要がある。練習場ではスパイクレスシューズを使い、コースでは滑りにくい専用のソフトスパイクシューズを使う、というように分けて使うといいだろう。

それではお金もかかるし、練習で使い慣れたシューズでコースでもプレーしたいというのならば、コースへ行く前に除菌スプレーで消毒することが望ましい。

サッカーなどでも、ピッチへ入る前に消毒液の入ったバットに靴ごと入って除菌しているのを見たことがある。これもピッチの芝を保護するためなのだろう。

ただし、コロナで手の消毒のために使っているアルコール液は、芝にはよくないそうだ。部屋の掃除や車内の掃除に使う、消臭除菌スプレーを靴底に吹きつければいいようだ。

家から履いてマイカーでコースへ行くのなら、車内掃除用の消臭除菌スプレーを靴底に吹きかけてからコースインすると、雑菌の持ち込みはかなり防げるそうだ。

このように、芝の保護にも気をつかいながら、「グリップ・オブ・ザ・グラウンド」を意識したスウィングでスコアアップを目指してみてはいかがだろうか。

 

参考資料:

・摂津茂和『不滅のゴルフ名言集(1)読んでうまくなるのがゴルフ』ベースボール・マガシン社新書、2009年

・「ゴルフシューズを家から履いていくのはマナー違反なの?」ゴルフサプリ、2022年9月8日

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岡上貞夫

1954年生まれ。千葉県在住。ゴルフエスプリ愛好家。フリーライター。鎌ヶ谷カントリークラブ会員。1977年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学入学時は学生運動による封鎖でキャンパスに入れず、時間を持て余して体育会ゴルフ部に入部。ゴルフの持つかすかな狂気にハマる。卒業後はサラリーマンになり、ほとんど練習できない月イチゴルファーだったが、レッスン書ではなくゴルフ名言集やゴルフの歴史、エスプリを書いたエッセイなどを好んで読んだことにより、40年以上シングルハンディを維持している。初の著書『ゴルフは名言でうまくなる』(幻冬舎新書)が好評発売中。

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