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ゴルフは名言でうまくなる

2022.07.24 更新 ツイート

第225回

「相手に敬意を払い、周囲に不快感を与えない服装こそ『作法』の第一と知るべし」――スチュアート王家の家訓 岡上貞夫

自由か、マナーか

先日、ある親しい人たちとの小さなコンペで、友人の服装を見て驚いた。上は襟のあるポロシャツでなんの問題もないが、ズボンがどう見てもジャージのパンツなのだ。しかも裾が足首の上ぐらいの短さのツンツルテンで、シャツの裾もインしていないのである。

友人が言うには、「暑い日は涼しくて楽だから」というのが着用している理由だが、ゴルフをプレーする服装としてはいただけない。ジャージはトレーニングウェアの一種だから、スウェットスーツと同じだ。汗臭そうで清潔とはいいがたいイメージが拭い切れず、周囲に不快感を与えかねないだろう。

 

「名門コースだったら、着替えさせられるか、お帰りくださいと言われるよ」とやんわり注意したが、何十年もゴルフをしてきた人でもこの程度しか服装に気を使っていないのかと、あらためて残念な思いをした。

近年、ゴルフプレー時の服装についてさまざまな論議があちらこちらで起こっているようだ。日本ゴルフ協会(JGA)やR&A発行のゴルフ規則には服装に関する規定が記述されていないので、服装の乱れは規則に違反しているというわけではないからなのかもしれない。

しかし、各々の競技会及び各競技団体、または各ゴルフ場にはそれぞれが定めた服装の規定が存在する。俗にいうドレスコードだが、これに従うのがゴルファーとしてあるべき姿だし、競技なら参加できずに退場ということにもなりかねない。

議論となっているのは、「もっと自由でいいじゃないか」という意見や希望に対しての論争のようだ。イギリス発祥で、古くはスーツにネクタイという正装でプレーしていたからといって、来場時にはブレザーやジャケットを着ろというような古臭いマナーなんて、もうそろそろ見直してもいいのではないかというわけだ。

コロナ禍にあっても感染リスクが低くプレーできるということで、若い人たちがゴルフに多く参加してきていることは喜ばしい限りだ。しかし、その若い人たちにとって、ドレスコードは自由を規制されているようで、どうもムカつくものらしい。

丸首シャツにジーンズ、海で履くような柄物のバミューダパンツ、女性でも太ももを限界まであらわにしたホットパンツなどで現れる若者に注意すると、「うるせえよ、ジジイ」と逆ギレされることも起きているようだ。

ちゃんとしている若者が多数なだけに、こういうチンピラ風情の言葉を投げつけるようなルール無視の連中には、ゴルフ場に来てもらいたくない。ゴルフ場のほうも毅然とした対応が必要だろう。

自分がそれでよければ何を着てプレーしてもよいと考えるのは、あまりにも身勝手で非常識なことである。「場所柄をわきまえる」ということは社会人の常識だからだ。逆ギレする若者だって、卒業式や友人の結婚式に出席するときは、それ相応の正装をしているはずだ。

実際のドレスコードを見てみよう

まず、ゴルフ場はいろいろな職種のさまざまなステータスを持った人たちが集まる社交の場だということを理解していないことが問題の発端だと思う。つまり、披露宴や社交パーティに出席することと、ゴルフ場へ行くことは同一線上にあるのだ。

だから、見苦しくない服装をすることは、最低限のマナーなのである。それに、ゴルフの服装はもうかなり簡素化されてきた歴史があり、そんなに目くじら立ててキレたくなるようなドレスコードではなくなっているのだ。

かなり厳しいドレスコードを掲げている、我孫子GCの例を紹介する。

当倶楽部における服装は、歴史と伝統を重んじ、倶楽部の品位を損なうことなく、周囲に違和感や不快感を与えないよう心がけております。
詳細については下記をご参照下さい。
俱楽部に相応しくない服装と判断された場合、ご注意の上、着替え等をお願いすることになります。

来退場時の服装
・夏季期間(6月15日-9月15日)を除き、必ずジャケット(ブレザー)を着用ください。
・ブルゾン、ジャンパー類はご遠慮ください。
・スニーカー、サンダルでの来退場はご遠慮ください。
・シャツはプレー時に着用可のもの、またはYシャツ等襟のあるものを着用ください。
・ジーンズ、カーゴパンツ、トレーナー等プレー時の服装として許可されないスラックスズボン類、男性の半ズボンでの来退場はご遠慮ください。

プレー時の服装
・シャツ
男性は折り返しの襟付きシャツ、又はタートルネックのものを着用ください。Tシャツ、ハイネック、スタンドカラーは着用できません。
女性も折り返し付きのシャツを勧めますが、ハイネックスタンドカラーも可とします。ただし、ネックの高さが十分あるものを着用ください。
シャツの裾はスラックスの中に入れてください。なお、女性のオーバーブラウス仕立てに限っては居を出しての着用を認めます。
男性、女性を問わず、半袖シャツの重ね着による袖出し及びアームカバーの着用は禁止です。

・スラックス(ズボン・パンツ)
材質に関係なくジーンズ仕立てのもの、外付けポケット仕様のもの(カーゴパンツ等)、トレーナー、又それ等に類するものは着用できません。
男性の半ズボンは、膝丈で裾に余裕のあるものを着用ください。
半ズボン着用時は、白色もしくは色無地(柄物は不可)のハイソックスもしくは踝が隠れるアンクルソックスを着用してください。
女性の丈の短い、いわゆるホットパンツ、ミニスカート類、又、丈を問わずレギンス、スパッツ、レッグウォーマー等は着用できません。

(注)ゴルフショップ、ゴルフ用品売り場等で取り扱われている商品でも本ドレスコードに適合しないものがありますので、ご注意ください。

食堂・ラウンジでの服装
・ジャンパー、レインウェア、ウィンドブレーカー等着用での入室、持込みはご遠慮ください。
・その他は来場時・プレー時の服装に準じます。

このように、かなり詳細に規定しているけれども、これを守ることがそんなに面倒くさいものだろうか。普通のゴルフウェアにブレザージャケットを着て、会社に行くときに履く革靴で来場すればなんの問題もない。

猛暑期間のブレザージャケット着用での来場は免除されている。プレー時は半ズボンの着用も許されているし、ソックスもハイソックスに限定まではされていない。女性のオーバーブラウス仕立てのシャツはインしなくても許されている。社交場へ出席する服装としては、むしろゆるいぐらいであろう。

このなかで見直してもいいのではと思うものをあえて言えば、「男性、女性を問わず、半袖シャツの重ね着による袖出し及びアームカバーの着用は禁止」「丈を問わずレギンス、スパッツ、レッグウォーマー等は着用できません」というところぐらいだろうか。

ゴルフ以前に社会人として最低限のマナーを

その理由は、これらの服装はプロゴルファーが着ていたりしてすでにゴルフファッションとして一般化しているからだ。アームカバーや機能性着圧シャツは日焼け防止・熱中症予防の観点から安全面での効果もあるし、プロツアーのTV観戦で見慣れたもので、もうこれを見苦しいと思う人もいないだろう。女性のレッグウォーマーなども、防寒着として見苦しいとは誰も見ていないと思われる。

要するに、最近ではファッションとして市民権を確立しており、それを着ていたからといって他人に不快感を与えるものではなくなっているのであれば、見直してもいいのではないかと思うのだ。

その意味では、女性には許しているハイネック、スタンドカラーのシャツも、男女平等で男性の着用も許されていいと思う。タイガー・ウッズも好んで着ているし、ゴルフウェアとして販売されているものまで規制する時代でもないのではないだろうか。あくまでも、個人の感想ではあるが……。

「自由を規制されているようでムカつく」と言う若者の気持ちはわからなくもないが、ゴルフ場での身だしなみや振る舞いは、そのまま社会人として信頼できる人物かどうかという目で見られていることを忘れてはならない。

自由はもちろん大事だが、良識ある人は節度を心得て、常識の範囲内での自由を謳歌するものだ。

ゴルフウェアに関する議論もこのなかのひとつに属する話だ。伝統的によくないとされることを破って面白がるならば、社会人として冷笑を浴び、軽蔑されて孤立し、誰も誘ってくれなくなるだけの話だろう。

1400年代にゴルフ発展の中心的役割を果たしてきたスチュアート王家の家訓のとおり、「相手に敬意を払い、周囲に不快感を与えない服装」をすること、そんな基本的な気配りもできなくては、ゴルフをプレーする以前に社会人失格の烙印を押されてしまう。ゴルフには、そういう恐ろしい一面もあるのだ。

リゾート地にあるベルビュー長尾ゴルフ倶楽部の規定は我孫子GCとは対極なので、これも紹介しておこう。

Q.ドレスコードはありますか?
A.服装に制限はございませんが、他のプレーヤーが不愉快と感じる服装はご遠慮下さい

服装(ドレスコード)は自由です。紫外線や虫除け、怪我対策から考えて、肌の露出は控えた方が好ましいかもしれません。山の天気は変わりやすいので、上着を1枚バッグに入れておくことをお勧めします。

私には、こちらのほうがゴルファーとしての良識や節度、品格を試されるようで恐ろしい。

 

参考資料:
・夏坂健『王者のゴルフ 知的シングルのすすめ』幻冬舎文庫、1999年

・谷光高「ゴルフ規則には服装に関する規定はない」マイベストプロJAPAN、2022年7月18日

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岡上貞夫

1954年生まれ。千葉県在住。ゴルフエスプリ愛好家。フリーライター。鎌ヶ谷カントリークラブ会員。1977年、慶應義塾大学法学部法律学科卒業。大学入学時は学生運動による封鎖でキャンパスに入れず、時間を持て余して体育会ゴルフ部に入部。ゴルフの持つかすかな狂気にハマる。卒業後はサラリーマンになり、ほとんど練習できない月イチゴルファーだったが、レッスン書ではなくゴルフ名言集やゴルフの歴史、エスプリを書いたエッセイなどを好んで読んだことにより、40年以上シングルハンディを維持している。初の著書『ゴルフは名言でうまくなる』(幻冬舎新書)が好評発売中。

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