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久しぶりに映画を観る気持ちになって、スクリーンで堪能した。基本的には映画は映画館でしか観ない。
仕事の資料として家でみることはあっても、ただ楽しみたい時には必ず映画館で観る。
単純に映画館という空間が大好きだからだ。

 

昔から映画っ子だった訳ではない。以前にも書いたように、映画の現場を経験してから、映画に携わっていきたいと思うようになった。
映画を観るようになったのも、そのずっと後からだ。
そして映画館の魅力も知った。
友人や恋人、家族だけではなく、1人が好きな人間も、映画館はいつでも受け入れてくれる。
知らない人と同じ時間に同じ空間で映画を共有する。
その時間は心に面倒な孤独が多い自分にも、悩みから離れられる、ちょっとした救いの時間だった訳です。

インスタグラムに映画の感想しか載せていないのは、本来自分の写真を載せることが好きではない人間が、友人に言われてはじめたインスタグラムに疲れ、やめようと思ったとき、
「さっつんの映画の感想を見て、映画館に行きました」というメッセージを立て続けに頂いたからで。友人からもよく参考にしていると言ってもらえたりして。
1人でも映画館に行こうと思うきっかけになってくれたら嬉しく、少しでもお役に立つならと、postは映画のみに絞って続けることにしたという訳だ。

【喜】良いクランクアップ

演じる人間として、映画、ドラマ、舞台、どれもそれぞれの魅力があって好きだけど、
映画でデビューさせてもらって、映画に育ててもらってきた自分にとっては、やはり映画がホームだと思っている。
映画というものに対する恩があると思っているので、スケジュールが合う限りは、1シーンだろうとなんだろうと、私でお役に立つならばとオファーを受けさせてもらってきた。

 

最近、新しい作品にお声がけ頂いた。
いつもなら、二つ返事でやりますと言っている。
しかし、作風が複雑で初めましての監督だったことから、直接お会いしてお話しさせて頂くことにした。

実際お会いした監督は、作風からは想像がつかないほど穏やかで、また、安易に社会性の含まれるテーマを扱っている訳ではないとわかるお人柄だった。
声を荒げるタイプではなさそうではあったけど、一応私はそういうのは苦手だし、そういう現場にはしたくないですとお伝えした。
監督は、スタッフィングも考慮していかなきゃと思っているし、もし現場でそういったことをする人が居たら、僕からも声をかけて話しを聞いたりしなきゃと思っていますと言ってくださった。
とても嬉しくなった。
スケジュールがあえばお受けする方向となった。

数日後、昔の共演者とランチをした。
人間関係に相変わらず疲れていた私は、プライベートで人と会わない病が再発していた。このままではよくないよなぁと、心の優しい彼女に、いつもニコニコの秘訣を聞こうと会いに行った。

色んな話をしたあとに突然彼女は
「◯◯監督って知ってる?」と言った。
驚いた。先日お会いした監督だった。
「前から知ってて、この間久しぶりに現場でご一緒したんだけどね、エキストラさんを名前で呼んでたの! 私、感動しちゃって」

すごく久しぶりに、人に会う選択をしてよかったと心から思った。
私はその監督との現場を楽しみにしている。

ちなみのいつもニコニコな彼女と会うきっかけになったのは、このエッセイを読んでくれて、物凄く心のこもった思いを伝えてくれたからで。
行動を起こすから、色んなことと出会えたり、感じられるのだなぁと改めて感じた。
監督とお会いしたことも、彼女と話せたことも、プラスになる要素しかない。
歩きたい道を自分で進めていくのは、やはり重要だなぁ。

 

さて。
結局のところ、全てはリスペクトではないだろうかと思ったりする。人に対するジャッジをせず、誰が偉いとか誰が上だとかではなく、人はみんな平等に人なのだ。

マイナスのことが多く出てきている業界だけど、やっぱり愛のある現場もある。

先日クランクアップした作品。
ラストの監督挨拶で、私はとても感動した。
スタッフさんに向けてとキャストに向けてと、それぞれしっかり言葉にして感謝を伝えていたからだ。

「スタッフの皆さんは、僕なんかより朝早く来て、撮影が終わってみんなが帰ったあとも片付けがあったり、本当に大変だったと思います。ありがとうございました」

スタッフさんに対して心からそう思って、日々感謝していたことが伝わってきた。
上辺だけで言っているのか、心の底から言っているのか、それぐらいはしっかりわかる。
キャストもスタッフも続編をやりたいと口にしていた。作品愛はそういうところに現れる。

【哀】毎日楽しみにしていたのに咲かなかった芍薬

映画界も相談窓口を作ったり、労働環境を良くするためのシミュレーション作品を作って、実験をしていくと聞いた。私はそういう作品に携わったことがないので、詳しい感覚はわからないけれど、そういった動きがあることは、現場の人間として希望が持てる。

仕事は人生の全てではない。
心や体を駆使して、辛い思いを持ち続けてまでやらなければいけないことではないと思う。
人の幸せは勿論、人それぞれだ。

人としての尊厳を守り、尊重しあって仕事をしていく。
どんな世界でも、それが大切なのではないかと生意気ながらに思う今日この頃。

明日も映画館が
誰かの良き思い出になる場であるといいなぁと思う。

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いつまで自分でせいいっぱい?

自分と向き合ったり向き合えなかったり、ここまで頑張って生きてきた。30歳を過ぎてだいぶ楽にはなったけど、いまだに自分との付き合い方に悩む日もある。なるべく自分に優しくと思い始めた、役者、独身、女、一人が好き、でも人も好きな、33歳のリアルな日常を綴る。

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佐津川愛美

1988年8月20日生まれ、静岡県出身。女優ときどき監督。
Instagram http://instagram.com/aimi_satsukawa

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