
アイドルとして活動しながらも、学び続けている乃木坂46・山崎怜奈さん。そんな山崎さんが「学び」に関するお悩みにお答えする連載、第四回です。
今回の相談者は、青春を謳歌できていないのではと悩む高校生。山崎さんの、乃木坂46として活動しながらの高校生活は、どんなものだったのでしょうか。
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この春で高校2年生になります。
最近まわりの子を見て、自分は高校生になれているのか焦ることがあります。誰かと遊んだりSNSを使いこなすことが苦手で、高校生らしい青春ができていない気がします。
大人が高校生に戻りたいと言っているのをよく聞くので、貴重な3年間を楽しみたいです。しかし自分がどんな高校生活を送りたいのかが分からず、どこか置いていかれたような、取り残されたような気持ちになります。怜奈さんにとって高校生活は、戻りたいと思うほど貴重なものですか?
(16歳・女性・学生)
誤解を恐れずに言うと、私は高校生活には戻りたくないです(笑)。というより、どの時にも戻りたいと思わないかなあ。
学生時代って「青春」という言葉で美化されやすいけれど、昔の出来事って無自覚に脳内で改ざんされがち。なので、私は自分の記憶をあまり信用していません。
高校時代の私は、それなりに勉強も仕事も頑張っていたはずなのに、楽しかったとか、辛かったとか、毎日どんな感情だったかほとんど記憶になくて。都合の悪いことを消し去っているのかもしれないし、特定の出来事だけにフォーカスしすぎて、それが全体の記憶になってるのかもしれないのですが、覚えている限りではそんなにキラキラした“貴重な3年間”って感じじゃなかったような……。
とりあえず毎日慌しかったことだけは覚えているので、気を張ってたんですかね。

中学時代とかも含めちゃうと、私はやりたいことが見つからずにとりあえず勉強だけしていた時期が何度かあって、相談者さんと同じように、周りから取り残されたような感覚になったこともありました。放課後、周りは部活に励んでいるのに、まっすぐ帰って汗の一つもかかない罪悪感というか(笑)。
でも、とりあえずやっていただけの勉強でも、自分なりの工夫をしていたりとか、「悔しい!」みたいな強い気持ちが芽生えていたから頑張れていたはずなんです。だから、今思えばあれは青春だったのかもしれません。
青春の真っ只中にいると自覚するのは難しいし、きっと時間の経過とともに、記憶に色濃く焼き付いていくものだろうから。
人によって「青春」の解釈と解像度が違うので、あまり気にしない方がいいんじゃないかなとも思っています。部活なのか勉強なのかバイトなのか遊びなのか恋愛なのか、青春と言われて第一に思い浮かぶものは人それぞれですしね。
でも高校生って実際は大変なこともあります。興味がなくても1日6時間以上は授業を受け続けないといけないし、学校が合わなくても親や先生を説得しないと転校できない。何をするにも選択肢の制限が多く、枠外にはみ出るリスクが大きい状況で、3年間うまくやっていかなくちゃいけない。
だから相談者さんの近くにいる「高校生に戻りたい」と言う大人は、楽しかったから戻りたいのか、未練があるから戻りたいのか、辛かった部分を覚えていないだけなのか、どれなんでしょうね。
大人には大人の良さがあると思うんです。ある程度は息抜きしながら作業できるし、住む場所や交友関係の選択肢が広がる。仕事内容や職場の人と合わなければ、転職を視野に入れることもできる。
とはいえ、仕事の要領を覚えるまでは身を削るしかないから「いつか自分の糧になる」なんて言ってられないし、我慢の時間も増えてくる。それはきっと、自分が働いたお金で生活を営んでいかなきゃいけなくなったから。
人生のどの時期にも必ず良い面と悪い面があるし、どの部分が貴重かって、いろんな経験をしてみないと分からないんだと思います。自由と責任は二律背反だから、片方だけが手に入るなんてことはあり得ないんじゃないでしょうか。それに、どうやら歳を取れば自動的に大人になれるわけじゃないらしいので、青春は想像より遅く始まって、長く続くかもしれませんよ。
個人的には、今を楽しむことで精一杯なので、過去に戻りたいとは思わないし、やりたいことがありすぎて困ってます(笑)。
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乃木坂46イチの才女、山崎怜奈さんによる「学び」お悩み解決連載!
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