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なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか

2022.01.02 公開 ツイート

特集 縁起をかつごう

「八幡神社」はダントツに多い神社系統。最強11神社はこれ 島田裕巳

「八幡さん」や「八幡様」などと親しみを込めて呼ばれる“八幡信仰”にかかわる神社は、町を歩けばいたるところに鎮座していることに気づきます。実際、日本全国約8万社の神社の中でも、その数は圧倒的。次に続くのが“伊勢信仰”の神社だそう。そして次に続くのは……日本の「最強11神社」の歴史や特徴を解説した『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』(島田裕巳著、幻冬舎新書)から、信仰の広がりが見える順位をご紹介します。

函館八幡宮(北海道函館市) 写真:iStock.com/katana0007

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そうした問題はさておき、神社の総元締めである神社本庁が、その傘下にある7万9355社の神社を対象に、平成2(1990)年から7年にかけて行った「全国神社祭祀祭礼(さいしさいれい)総合調査」によると、神社としてもっとも多いのは八幡信仰にかかわる神社だとされている。これは八幡神社や八幡宮、若宮神社と呼ばれるものだが、その数は7817社だった。以下、信仰別に次のようになる。()内はそれぞれの信仰にかかわる神社の主な呼び方である。

2位  伊勢信仰 4425社(神明社(しんめいしや)神明宮(しんめいぐう)皇大(こうたい)神社、伊勢神宮など)

3位  天神信仰 3953社(天満宮(てんまんぐう)、天神社、北野神社など)

4位  稲荷信仰 2970社(稲荷神社、宇賀(うが)神社、稲荷社など)

5位  熊野信仰 2693社(熊野神社、王子神社、十二所(じゆうにしよ)神社、若一王子(にやくにちおうじ)神社など)

6位  諏訪(すわ)信仰 2616社(諏訪神社、諏訪社、南方(みなみかた)神社など)

7位  祇園信仰 2299社(八坂(やさか)神社、須賀(すが)神社、八雲(やくも)神社、津島神社、須佐(すさ)神社など)

8位  白山(はくさん)信仰 1893社(白山神社、白山社、白山比咩(しらやまひめ)神社、白山姫神社など)

9位  日吉信仰 1724社(日吉(ひよし)神社、日枝(ひえ)神社、山王社など)

10位  山神信仰 1571社(山神社など)

さらにこの後には、春日信仰、三島・大山祇(おおやまぐみ)信仰、鹿島(かしま)信仰、金毘羅(こんぴら)信仰と続いていく。

 

この調査で対象になった神社の数は、7万9355社のうち祭神が明確に判明した4万9084社で、現存する神社全体が含まれているわけではないが、それにしても、八幡信仰の7817社はダントツである。2位の伊勢信仰とはかなりの差があり、これだけを見ても、八幡信仰がいかに広がっているかが分かる。

実際、周囲を見回してみると、いたるところに八幡神社や八幡宮が鎮座していることに気づく。私は世田谷区の経堂(きようどう)に住んでいるが、地元の氏神は世田谷八幡宮である。経堂から小田急線で新宿へ向かう途中の下北沢駅近くには北澤八幡神社があり、代々木八幡(よよぎはちまん)駅には小説家の平岩弓枝氏の夫君が神主をつとめてきた代々木八幡宮がある。経堂の駅の北、京王線に向かうと勝利(しようり)八幡神社があるし、京王線には八幡神社にちなむ八幡山という場所もある。

八幡神社として著名なものとしては、鎌倉の鶴岡八幡宮、京都の石清水(いわしみず)八幡宮、博多の筥崎宮(はこざきぐう)、大分の宇佐神宮(うさじんぐう)などが挙げられる。ほかにも、富岡八幡宮、手向山(たむけやま)八幡宮、鹿児島神宮などがよく知られている。

地元にある八幡神社や八幡宮は、親しみをこめて「八幡さん」とか「八幡様」と呼ばれることが多い。ほかの神社の場合にも、「天神様」や「住吉さん」、「お稲荷さん」のように、同様に親しみをこめて呼ばれるところもあるが、八幡の場合がいちばん、そうしたことが起こりやすいのではないだろうか。それだけ、八幡信仰は庶民の間に広がっている。

関連書籍

島田裕巳『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』

日本全国の神社の数は約8万社。初詣、宮参り、七五三、合格祈願、神前結婚……と日本人の生活とは切っても切り離せない。また伊勢神宮や出雲大社など有名神社でなくとも、多くの旅程には神社めぐりが組み込まれている。かように私たちは神社が大好きだが、そこで祀られる多種多様な神々について意外なほど知らないばかりか、そもそもなぜ神社に特定の神が祀られているかも謎だ。数において上位の神社の中から11系統を選び出し、その祭神について個別に歴史と由緒、特徴、信仰の広がりを解説した画期的な書。

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なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか

 

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島田裕巳 作家、宗教学者

1953年東京都生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任。主な著作に『日本の10大新宗教』『平成宗教20年史』『葬式は、要らない』『戒名は、自分で決める』『浄土真宗はなぜ日本でいちばん多いのか』『なぜ八幡神社が日本でいちばん多いのか』『靖国神社』『八紘一宇』『もう親を捨てるしかない』『葬式格差』『二十二社』(すべて幻冬舎新書)、『世界はこのままイスラーム化するのか』(中田考氏との共著、幻冬舎新書)等がある。

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