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減税が経済を動かす

2021.05.14 更新 ツイート

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税金は余っている 渡瀬裕哉

日本経済が低迷し、苦しい生活から抜け出せないのは、取られすぎの「税金」のせい。話題の『税金下げろ、規制をなくせ』(光文社新書)の中で、「大減税」と「規制廃止」で復活した米国経済を喝破した渡瀬裕哉氏による、日本政治と経済を立て直すための集中講座。衆院選が近いいま、有権者が現実を理解するとき――。『税金下げろ、規制をなくせ』序章から試し読みをお届けします。

 

*   *   *

僕は以前、大学教授らとともに地方自治体の事業仕分けの仕事をしていました。自治体は予算の執行現場であり、そこで行われていることが政策の大半ですが、とにかく無駄な事業が多いのです。

自治体の仕事は国の事業と違って見れば誰でも分かるものですが、一例を挙げてみましょう。僕が携わっていた地方自治体では、住民の環境問題への意識を啓発するために「環境啓発のチラシを配る」という事業が行われていました。この事業の効果について疑問に思い、「この取り組みは住民の意識に対して実際にどの程度の効果があるのですか?」と担当者に聞いたことがあります。すると、担当者は「チラシを印刷しているだけなのでわかりません」と答えたのです。

(写真:iStock.com/Prostock-Studio)

正直な回答をしてもらったことには好感が持てたのですが、住民の環境問題への意識がこの事業によってどれだけ高まったのか、極めて疑問です。僕が思うに、この事業にかかった経費と人件費はまったくの無駄。そして、こうした何の意味もない事業は、日本全国のあちこちで細かく行われているのです。

2020年の7月1日からスタートしたレジ袋有料化は、その最たる例です。旗振り役の小泉進次郎環境大臣はレジ袋有料化に際して、テレビのインタビューに答えて、「政策的にはほとんど意味がないが、国民の意識を変えるためにやっている」とヌケヌケと述べていました。レジ袋有料化とは増税の一種であり、その政策効果がほとんどないとは恐れ入りました。国民を教育するために罰則を科す、とは何様でしょうか。

一事が万事、このように無駄な浪費を繰り返すから税金が足りないように見えるのです。はっきり言わせてもらいますが、日本では税金は余っています。

ウソだと思う方がいらしたら、ご自身が住んでいる自治体名(〇〇市)と事務事業評価を調べてみてください(検索すればすぐ出てきます)。すると、役所の各仕事を一枚紙のペーパーに整理した一覧表(事務事業評価票)が出てきます。

その内容を見たら唖然とすることを保証します。官僚が民間を指導すべきだとする「大きな政府」を支持していた僕の友人も、一通り読み終えたら役所の現状に対して180度考えが変わりました。ちなみに、その一覧表すら公開されていない自治体の状況は推して知るべしということです。

【番外解説】優良F市の「事務事業評価」を見てみると…

事務事業評価の見方の一例をここであげます。とりあげたF市は、事務事業評価を「すべて公開しておりレベルも透明性も高い」という意味で優良市です。ところが、堂々と公開されているその中身を見てみると、事務事業の大義名分、手法、目標とする指標、実績値など、唖然とする内容が並んでいます。何かそれらしいことを行っているように見せながら、「関係者の人件費を払うだけ」という事業が多すぎるのです。(註:赤字、マーカー線、伏せ字は幻冬舎plus編集部)

例)F市の「人権啓発事業」

ほかにも、「文化・芸術活動の支援」「スポーツ活動の支援」を見てみると、過去に作ったレク施設の維持・運営管理に膨大な税金が投入されていることが分かります。

「商工業の振興」を見ると、一般的に中長期業政策として行われていることですが、「中小企業向けの利子補給」が行われています。つまり、なぜか中小企業の利払いを税金で行っていますこれもよくよく考えるとおかしな話です。その中で経営改善事業を見ると、中小企業の経営支援を行っているように見えるものの、経営相談員が訪問して助言しているだけです。中小企業はそんなことをしてもらうくらいなら手元の資金がほしいです。

一事が万事このようなもので、各自治体で見直す余地が多々あるのです。

 

※次回「税金は他の税金を上げるために使われる」 5月17日(月)公開

渡瀬裕哉『税金下げろ、規制をなくせ』(光文社新書)

1980年代、日本は世界で最も勢いのある経済大国だった。しかし、90年代に入ってバブルが崩壊、経済は停滞して「失われた10年」と呼ばれた。その後も不況から脱出できず、もはや「失われた30年」になろうとしている。その原因は何か――。すべては「税金と規制」の問題に集約される。だが、日本は世界に先駆けて少子高齢化が進み、財政状況も悪化。社会保障費は増え、自然災害も毎年のように日本列島を襲う。であれば「増税はやむなし」なのか?上がる一方の税金と規制に苦しむ日本が打つべき手とは?俊英の政治アナリストが、私たちに刷り込まれた「洗脳」を解く。

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減税が経済を動かす

増税はいらない。税金は下げられる。いま下げないと、日本はこの低迷から永遠に抜け出せない――。米国経済の復活の土台となった「大減税」「2対1ルール」を例に、俊英の政治アナリストが説く日本のための減税論。2021年の衆院選で減税政治家を大量に送り出すために知っておきたいプレ講座。

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渡瀬裕哉

1981年東京都生まれ。国際政治アナリスト、早稲田大学招聘研究員。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。機関投資家・ヘッジファンド等のプロフェッショナルな投資家向けの米国政治の講師として活躍。創業メンバーとして立ち上げたIT企業が一部上場企業にM&Aされてグループ会社取締役として従事。著書に『メディアが絶対に知らない2020年の米国と日本』(PHP新書)、『なぜ、成熟した民主主義は分断を生み出すのか―アメリカから世界に拡散する格差と分断の構図』(すばる舎)などがある。

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