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私大入学者全体の半数以上が一般受験ではなく、総合型選抜(旧AO入試)や推薦入試で入学しているということをご存じでしょうか。

Netflixで大人気の韓国の熾烈な受験戦争を描くドラマ『SKYキャッスル』でも「学力絶対主義の時代は終わったの」というセリフがあるほど、総合型選抜が世界のスタンダードになりつつあります。

延べ3万人以上の高校生を難関大合格に導いてきた、総合型選抜のプロである青木唯有氏の著書『親が偏差値思考をやめれば、不思議なほどわが子は伸びる』では、親子で新時代入試を乗り越える方策をご紹介しています。本書から一部抜粋して、試し読みをお届けします。

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食卓や四季を大切にする

(写真:iStock.com/Drazen Zigic)

家族で食事をされていますか? 先週は何回、家族全員が揃って食事しましたか?

あるアンケートによると、小学校2年生の段階では76・5%の子が親と一緒の食事を希望するそうですが、高校2年生になると、37・5%に減少するとか。小学生時代と比べて半分以下になってしまうのです。この年頃になりますと、勉強もしなくちゃならないし、部活も忙しい。親がうっとうしくなる年齢ですから、一人で過ごしたくなる高校生の気持ちがわからないわけではありません。

ですが総合型選抜に合格する子から話を聞くと、贅沢でなくても、おいしく楽しい食事を家族で工夫されているのだろうなということを強く感じます。

 

生きる上で絶対に欠かせないものが「食」であり、食卓というのは人間がもっともポジティブかつフラットになれる場です。何よりも、食事の時間はわが子との貴重なコミュニケーションの機会。同時に、どんな変化が起きているのかを見定める時間でもあります。

食卓でわが子が好きなものをおいしくなさそうに食べているのなら、何か不満を抱いている証拠です。素直で口数も多いなら、高校生活が上手くいっているに違いないし、食後、何やら部屋に戻りたがらないようなら、相談したいことがあるのかもしれません。

特に総合型選抜の準備を始めると、家族内における最初の変化として「食卓における親子の対話の質が明らかに変わった」という話を保護者の方からよく伺います。

「子ども自身のキャリアに対する悩みや希望について、親子で夜を徹して語り合った」

「親自身の幼少時代や祖父母のことなど、冠婚葬祭でもない限り話題に出ないことについて、深い話になった」

「自分の仕事やそれに対する考え方など、かなりするどい質問を(子どもから)されてドギマギした」

親子で食卓を囲むことをこうした対話ができるチャンスと捉え、高校生活や進路について話し合っていただければと思います。夕食後、家族でそのまま夜中まで話し込んでしまうような、そんな時間を持てたら最高です。

また食事の際に、ぜひ四季を意識されてみてください。正月、節分、桃の節句、端午の節句、七夕、盆、お彼岸、十五夜月見、ハロウィン、クリスマスなど、そのときそのとき食卓の中で旬を感じられると、子どもの感性や情緒にいい影響を及ぼします。歴史や文化に対する興味関心だけでなく、目には見えませんが、日常を丁寧に生きようとする、そんな姿勢にもつながるように思います。

コロナ禍で比較的家にいる時間の長い昨今は絶好のチャンスです。

まずは家族全員が在宅していることが多い朝食から、トライしてみてはいかがでしょうか。

子どもの服装や髪型に口を挟まない

Sさんは意思表示をしない生徒でした。

どんなにおとなしい子であっても、「できれば東京の大学に進みたい」とか、「女子大はいやだ」程度の意志は示すもの。ところがSさんに限っては、その程度の希望すら口にしません。ここまで自分の意志を示したことのない高校生は初めてでしたが、その理由はとても意外なところにありました。

実は、彼女は自分で自分が着る服を選んだことが一度もなかったのです。高校3年生になってさえ、着るものは全部毎朝母親が選んでいたのです。

まずはSさんに自分の服は自分で決めるようアドバイスすることから始めました。

服装やヘアスタイルは自分のことを自分で決める第一歩、自分の姿を自らデザインする大前提だと言えるものです。今日着る服一つ決められないで、自分の進学先や将来など、決められるはずもないのです。

彼女の例は極端な例ですが、知らず知らずのうちにわが子の選択権や自己決定権を奪っていることは、決して少なくありません。

親から見たらラフすぎる服装も奇抜なヘアスタイルも、高校生には成長の一過程。

実は学びになるものなのです。こんな例もありました。

都立高校に通うNくんは、2年生に進級したタイミングで髪を銀色に染めました。

都立高の生徒ですので、服装は比較的自由。彼の格好については親も容認されているとのことでした。

外見は奇抜でも明るく素直な高校生で、本人に髪のことを尋ねると「電車に乗ると、自分の隣には誰も座ってくれない」と、笑いながらそう話してくれました。

そんな彼は超難関大学を志望し、東南アジアの森林破壊における環境問題をテーマに志望理由書をしたため、無事に書類審査通過を果たします。最終審査の面接試験は当然対面になりますが、彼は自らの判断で迷うことなく黒く髪を染めて面接に臨みました。誰かから言われてそうしたのではなく、彼自身の判断でそうすることを選んだのです。

自分の服装や髪型について、自ら考え選択する日常があるということは、それだけ「自分という存在が周囲からどう見られているか」を意識できることになります。そして、周囲からの自分の見られ方は、自分の責任であることも認識できるようになります。

その結果として身につくNくんのような柔軟な姿勢は、彼のシルバーヘアを容認していた保護者の方の柔軟さからくるものだったのかもしれません。

関連書籍

青木唯有『親が偏差値思考をやめれば、不思議なほどわが子は伸びる AI時代を生きるための「非認知スキル」』

偏差値では決して測ることができない「非認知スキル」が問われるこれからの時代。 親が子どもにできることとは? 3万人の高校生を合格に導いてきた総合型選抜のプロが教える、最新教育メソッド。 竹中平蔵氏、推薦! (慶應義塾大学名誉教授) 「偏差値やIQの時代は終わった。 世界で戦える人財に必要なのは『非認知スキル』である」

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親が偏差値思考をやめれば、不思議なほどわが子は伸びる

総合型選抜(旧AO入試)のプロである著者は、のべ3万人以上の高校生を難関大合格に導いてきた。偏差値を使わない新時代入試の乗り越え方とは? 親子で今すぐ実践できる最新教育メソッド。

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青木唯有 アクティブラーニング協会理事

民間教育機関で20年以上にわたり総合型選抜(旧AO入試)を始めとする特別入試に特化した指導に携わり、早慶・国公立等、延べ3万人以上の合格指導実績を持つ。「非認知スキル」に関する東京大学との共同研究プロジェクトに参画。「大学受験で育む親子軸」や「次世代入試は“非認知スキル”で決まる」をテーマに、ブログや各種セミナーで受験生や保護者、教育関係者向けにオリジナルの見解を定期的に発信。現在は日本アクティブラーニング協会理事・人財開発教育プロデューサーとして、企業・教育機関の研修プログラムの企画、開発を行っている。

 

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