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幻冬舎ねこ文庫?発売記念特集

2021.02.15 公開 ポスト

猫は、人を心配する 幻冬舎文庫

猫好きのみなさまお待ちかね! 石黒由紀子さんの『猫は、うれしかったことしか覚えていない』と、山田かおりさんの『猫には嫌なところがまったくない』が、文庫になりました!(やったー! にゃーにゃー!)発売を記念して、勝手に「幻冬舎ねこ文庫」特集をお送りしています。今回は『猫は、うれしかったことしか覚えていない』の試し読みをお届けします。

猫は、人を心配する

絵・ミロコマチコ

ボクはキジトラ猫。3歳のタラちゃんです。うちには人間のおじいちゃんがいます。 歳だって。ボクより 年も長く生きてるの。 家族とはぐれて、ひとりぼっちになったボクを助けてくれたのは、この家のおかあさん。そのおかあさんのおとうさんが、おじいちゃん。 おじいちゃんは、ボクのことを気にしてくれているみたいだし、ボクもおじいちゃんと仲よくしたいけど、ほんとのことを言うと、おじいちゃんのことが苦手。 突然近づいてくるし、声も大きいから、驚いて逃げたくなってしまうのよ。 おじいちゃん、もう少し小さめの声で話しかけてくれたらいいのになぁ。頭をなでようとするときも、ゆっくり手を出してくれたらいいのに。そうしたら、もっと仲よ くできるのに。

そんなおじいちゃんが、交通事故に遭ったんだ。入院した病院へ、おかあさんは毎日通っていたよ。そして、何ヶ月か経って、おじいちゃんが外泊で家に帰ってきた。 いつもこたつにいるおじいちゃんは、腰を痛めていたから、畳に腰をおろすことが できなくて、新聞を読んだりテレビを見たりするとき、低めの椅子に座っていたよ。 あまり動けないから急に寄ってこなかったし、少し元気もなくて声も小さくなっていた。だから、前と違って、ボクは安心しておじいちゃんの隣にいられたよ。 何日かして、おじいちゃんは病院に戻りました。腰が治ってもリハビリがあるから、 退院はもう少し先になるんだって。「今度はいつ会えるかな」そんなことを考えなが ら、おじいちゃんが座っていた椅子で昼寝をしてみた。おじいちゃんの匂いがしたよ。

病院から帰ってきたおかあさんが、寝ていたボクを見てこう言った。「あら、タラちゃん、おじいちゃんの椅子で寝ているの? いつもは怖がって逃げてばかりいるのに、心配してくれてるんだね」 そうだよ。ボクはおじいちゃんのことが心配。でもね、ほんとは、おじいちゃんのことを心配しているおかあさんのことが心配なんだよ。おかあさんが元気がないと、 ボクも元気が出ないのよ。

関連書籍

石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

梅干しの種を飲み込んで、開腹手術を受けた猫のコウハイ。苦しかっただろうに、獣医師によると、「また、誤飲しますよ」。猫には楽しい記憶だけが残るので、種を転がしておもしろかったな、とは覚えているけど、苦しかったことは忘れてしまうそう。うれしかったことだけ積み上げて生きていく。そんな猫たちの、可愛くて笑えて、沁みるはなし。

山田かおり『猫には嫌なところがまったくない』

黒猫CPと、クリームパンみたいな手を持つのりやすは、仲良くないのにいつも一緒。傍から見たら下らないけど、とびきり幸福な毎日を過ごしていたある日、突然「私」は黒い親友と白くて丸い手を失った。猫が残していったのは、後悔の念と未開封のキャットフード。それでも日々は続いていくけれど――。これは、猫と暮らす全ての人に贈る、ふわふわの記録。

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