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幻冬舎ねこ文庫?発売記念特集

2021.02.11 公開 ポスト

『猫は、うれしかったことしか覚えていない』より

猫は、当たり前に忘れる 幻冬舎文庫

猫好きのみなさまお待ちかね! 石黒由紀子さんの『猫は、うれしかったことしか覚えていない』と、山田かおりさんの『猫には嫌なところがまったくない』が、文庫になりました!(やったー! にゃーにゃー!)発売を記念して、勝手に「幻冬舎ねこ文庫」特集をお送りしています。今回からしばらく『猫は、うれしかったことしか覚えていない』の試し読みをお届けします。

猫は、当たり前に忘れる

絵・ミロコマチコ

子猫だった頃のコウハイは、よくキッチンの調理台の上にいました。そのたびに「ここはだめだよ」と下ろしていましたが、気がつくとシンクの中に入っていたり。

コンロの脇でぼんやりしているときは「何待ち?」と声をかけて笑っていました。 あるとき、コウハイのヒゲの先が焼けたようにチリチリ縮れているのを見つけました。きっと火がついたコンロを覗いたときに焼けたのでしょう。私は「これはもっと 気をつけておかないと危ないなぁ」と思いながら、ヒゲの縮れた部分をはさみでチョンと切りました。

このことを猫好きな友人に話したら、少し驚いたような顔で「それでコウハイは何でもなかったの?」「うん。やけどはしてなかったよ」と私。

生まれたときから猫と 暮らしているという彼女は、何だか複雑な表情を浮かべ私にこう言いました。

「ヒゲって、猫にとってけっこう大切なものなんだよ。アンテナのような働きをして、 狭いところもヒゲの長さで通れるかを判断したり、風の流れを察知したり。だから、 大切なヒゲを切られて、コウハイはダメージがあったと思うよ」

「へぇ、そうなんだ! 知らなかったよー。コウハイに悪いことしちゃった」と私は 反省しました。

それ以来、猫のヒゲには気を配っている(つもりの)私なのですが、ヒゲを切られたコウハイはまったく気にする様子もなく、いつも通りに過ごしています。先日もキッチンにやってきて、コンロの横に陣取って……。コウハイにとって「ヒゲを切られて平衡感覚が違っちゃった」なんてことはないのでしょうか。

やはり、猫って、忘れる動物? 何かに熱中すると(この場合はコンロへの好奇心)、あと先のことなど気にしないのですね。

関連書籍

石黒由紀子『猫は、うれしかったことしか覚えていない』

梅干しの種を飲み込んで、開腹手術を受けた猫のコウハイ。苦しかっただろうに、獣医師によると、「また、誤飲しますよ」。猫には楽しい記憶だけが残るので、種を転がしておもしろかったな、とは覚えているけど、苦しかったことは忘れてしまうそう。うれしかったことだけ積み上げて生きていく。そんな猫たちの、可愛くて笑えて、沁みるはなし。

山田かおり『猫には嫌なところがまったくない』

黒猫CPと、クリームパンみたいな手を持つのりやすは、仲良くないのにいつも一緒。傍から見たら下らないけど、とびきり幸福な毎日を過ごしていたある日、突然「私」は黒い親友と白くて丸い手を失った。猫が残していったのは、後悔の念と未開封のキャットフード。それでも日々は続いていくけれど――。これは、猫と暮らす全ての人に贈る、ふわふわの記録。

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