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苦しみのない人生はないが、幸せはすぐ隣にある

2020.09.17 更新 ツイート

各メディアで注目される医師の新刊エッセイ集刊行!

3500人を看取った医師が語る“絶望”の扱い方 小澤竹俊

突然ですがみなさん、日本で一日に何人の方が亡くなるかご存知でしょうか。

厚労省によると(※1)その数は約3,700人。がん、突然の事故、そして新型コロナ……死因は様々ですが、そんなまもなくお迎えがくる方の心身、残される家族の心のケアを行うのが「ホスピス医」看取りを専門に行う医師たちです(※1 厚生労働省 令和元年(2019)人口動態統計の年間推計)。

横浜市瀬谷区に、年間300人以上を看取る在宅医療を専門とするクリニックがあります。

院長は、小澤竹俊(おざわたけとし)先生。救命救急センターや農村医療に従事したのち、1994年より横浜甦生病院ホスピス病棟に務め、病棟長を経て2006年に現在のクリニックを開きました。看取ってきた患者さんは3500人以上になります。その仕事はNHK「プロフェッショナル仕事の流儀」、テレビ朝日「報道ステーション」、朝日新聞「フロントランナー」など各メディアで紹介されました。

そんな小澤先生が自身のFacebookに、苦しむ患者さんや家族そして緩和ケア関係者に向けて綴った文章に書き下ろしを加えたエッセイ集『苦しみのない人生はないが、幸せはすぐ隣にある』(弊社刊,1100円税別)が本日発売となります。

本書の発売に際し、小澤先生からみなさんにメッセージが届きましたので、「はじめに」とともにお届けします。

小澤竹俊先生からのメッセージ

撮影は小澤先生のクリニックで行われました。その日も何名かの患者さんを看取られた後で、さらに撮影中もスタッフの方と「そうか。あの人はもうすぐだね。ご家族のケアもしっかりとね」と言葉が交わされていました。そんな現場の空気感も伝わってくると思います。

不条理に思える苦しみが突如襲ってきたとき、わたしたちはどう心をたもち、前を向けばよいのか。また、支えたい人が目の前に現れたとき、どんな言葉をかけたらよいのか。その答えがつまった一冊です。ぜひご一読ください。

はじめに

2020年、春、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大のため、世界は甚大な被害を受けました。影響を受けた人は、感染でいのちを落とした人だけではありません。

(写真:iStock.com/byryo)

仕事を失ったり、人間関係が壊れてしまったり、人生そのものが一から崩れてしまった人もいました。そのインパクトは、まるで世界中が戦争に陥ったほどの大きさがあります。

今まであたりまえであった一つ一つが、あたりまえでなくなりました。

学校に行くこと。仕事場に行くこと。友達と集まって騒ぐこと。大好きなアーティストのコンサートに行くこと。年老いた親が暮らしている介護施設に面会に行き誕生日を祝うこと……。

私たちは今まではあたりまえだった出来事が実はものすごく大切で、大事なことに気づきました。一方で、その希望が叶わない今は、絶望そのものに見えます。

どうしてこんな世の中になってしまったのだろう。

なんでこんな目にあわなくてはいけないのだろう。

どんなに泣いても過去には戻りません。どれほどお金を出しても、失ったものは戻ってきません。厳しい現実が、目の前に横たわっています。

では、この苦しみの中で、私たちはどのように生きていけばよいのでしょうか。

私は、永年、ホスピス・緩和ケアという医療の世界で仕事をしてきました。具体的には、まもなくお迎えが来る人とその家族の支援にあたってきました。

その中で、一つの言葉に出会いました。

「あなたが人生に絶望しても、人生はあなたに絶望していない」

この言葉は、第二次世界大戦下のドイツの強制収容所での壮絶極まる体験から、数々の生きるヒントを教えてくれる名著『夜と霧』を著したヴィクトール・フランクルが、生前語っていた言葉だそうです。

(写真:iStock.com/mykeyruna)

私は医療の現場で、たとえいのちが限られるという絶望の中にあっても、人は笑顔を取り戻す可能性があることを学び、そしてその援助を精一杯実践してきました。

それは一部の人が起こす奇跡ではありません。私たち全員が持つ可能性です。

しかし、この言葉を信じられない人もいるでしょう。笑顔になるには、苦しみの原因を克服しなければいけないから、と。もちろん、解決できる苦しみがあれば、最善を尽くし、苦しみを和らげるための最大の配慮をすることは大切です。

しかし、永年の医療の現場で学んだことは、どれほど最善を尽くしたとしても、すべての苦しみをゼロにすることなどできないという厳しい事実でした。

「苦しみがある限り笑顔になんてなれない」

まず、この固定観念をぶち壊しませんか?

次の文章は、2020年元日に話題となった西武・そごうの“逆転”広告文を参考に、コロナ危機を意識して私が書いてみたものです。

#固定観念をぶち壊そう

コロナ危機の中でも、人は笑顔になれる

私は、そんな言葉は信じない

どうせ解決できない苦しみがあれば、笑顔になんかなれるはずがない

それでも、みんなは勝手に言うであろう

専門的な知識がなくても、苦しむ人の力になれる

医療者ではなくても、苦しむ誰かの支えになれる

たとえ解決できない苦しみをかかえていても

たとえ時間を過去に戻すことができなくても

わかってくれる誰かがいたならば

その人にとっての尊厳が守られるのであれば

笑顔を取り戻すことは可能である

しかし、それは間違いだ

苦しんでいる人が笑顔になんて、なれるはずがない

知識のない私が、苦しむ人の力になれるはずがない

苦しむ人は、専門家に助けてもらえばよい

もう私にできることなど何もない

もはやこの世は絶望である

※この文章を、終わりから読んでみると、世界が変わります。

私は、多くの患者さんの最期に立ち会ってきました。一人一人、その人生は異なるものです。中には振り返りたくない人生を歩んできた人もいます。

(写真:iStock.com/sakai000)

それでも、私は、人生の最期を迎えるとき、一人の人間としての尊厳を大切に、誇りを持った時間が過ごせるように対応したいと思い、診療にあたってきました。

人は、どんな人生を送ってきたとしても、笑顔を見せる瞬間があります。その瞬間には、よいことも悪いこともすべて認め、わかってくれる「誰か」の存在が欠かせません。

たとえ今が絶望に思えても、希望の光を見出す可能性は必ずあるのです。

そのような思いを込めて、この本を皆さんに届けたいと思います。

 

小澤竹俊

関連書籍

小澤竹俊『苦しみのない人生はないが、幸せはすぐ隣にある』

『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』(アスコム、24万部突破)著者最新エッセイ。がん、突然の事故、新型コロナ…理不尽な世界にも、かならず救いがある。3,500人以上を看取ったホスピス医が語る希望の物語。

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苦しみのない人生はないが、幸せはすぐ隣にある

3,500人以上を看取ったホスピス医が語る希望の物語。『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』(アスコム、24万部突破)著者最新エッセイ集、試し読み。がん、突然の事故、新型コロナ……理不尽な世界にも、かならず救いがある。

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小澤竹俊 めぐみ在宅クリニック院長

めぐみ在宅クリニック院長/一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会代表理事。1963年、東京都生まれ。87年、東京慈恵会医科大学医学部医学科卒業。91年、山形大学大学院医学研究科医学専攻博士課程修了。救命救急センター、農村医療に従事した後、94年より横浜甦生病院ホスピス病棟に務め、病棟長となる。2006年めぐみ在宅クリニックを開院。これまでに3,500人以上の患者さんを看取ってきた。学校での「いのちの授業」や、人生の最終段階に関わることのできる人材育成プロジェクトを始め、15年には一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会を設立。理事に就任し、各地で「エンドオブライフ・ケア援助者養成講座」の講師を務めている。著書に『今日が人生最後の日だと思って生きなさい』等がある。

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