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老いて、自由になる。

2020.09.10 更新 ツイート

お釈迦様の最後の教え、遺教経の8つの教えとは? 平井正修

お釈迦様の最後の教えだとされている、遺教経(ゆいきょうぎょう)とは、どんなものなのでしょうか。

禅僧・平井正修著の新刊『老いて、自由になる。 智慧と安らぎを生む「禅」のある生活』に学んでみましょう。

*   *   *

遺教経の「八大人覚」で心を調える
──悟るための八つの教え

お釈迦様の最期の教えである『遺教経(ゆいきょうぎょう)』には、「八大人覚(はちだいにんがく)」という教えが説かれています。私たちが自覚すべき八つの事柄で、具体的には「少欲・知足・遠離・精進・不忘念・禅定・智慧・不戯論」からなっています。この八つによって、悟りの境地にたどりつけるというものです。

八大人覚の「覚」の字は、夢から「さめる」というときに使いますね。と同時に、「さとる」とも読みます。つまり、悟るとは覚めること。夢から覚めることなのです。具体的に説明していきましょう。

少欲/しょうよく

お釈迦様は「欲をなくせ」とは言っていません。欲はあって当然なのですが、少し少なくしておけと説いています。

欲が多ければ、手に入れるのはそれだけ大変だし、手に入らないときの苦しみも大きくなりますね。「あれが欲しい、これも欲しい」と思っている間は、心は調いません。

知足/ちそく

京都の龍安寺の茶室前にある手水鉢は、「知足の蹲踞(つくばい)」と呼ばれています。水を溜める真んの四角い凹みを「口」という字になぞらえて、四方を囲まれています。つまり「吾唯足知(われただたることをしる)」と読めるようになっています。

(イラスト:うてのての)

今はいろいろな禅寺で同じような蹲踞が見受けられますが、自分の中に「足る」という感覚を持てることは、とても大事です。

遠離/おんり

書いて字のごとく遠く離れていること。「寂静無為(じょうじゃくむい)の安楽(あんらく)を求めんと欲せば、当(まさ)に?閙(かいにょう)を離れて独処(どくしょ)に閑居(げんご)すべし」とお釈迦様は教えています。

鬧とは、心を乱す賑やかなところという意味。そういう賑やかで騒がしいところから離れることで、心穏やかに過ごせますよということです。

精進/しょうじん

精進とは一生懸命努力すること。

精進は、少欲、知足、遠離といった要素とは正反対のようですが、これまで説明してきたことを土台に努力することが大事なのです。ただ、がむしゃらにやるだけでは、心は乱れて調いません。

不忘念/ふもうねん

正しい念を忘れるなということです。

正しい念とは、純真な心や素直さみたいなことと考えてもらえればいいでしょう。

「正念相続」という言葉もあり、こちらは、正しい念を持ち続けることの大切さを説いています。

禅定/ぜんじょう

人生にはいろいろなことが起きます。想像もしていなかったこと、思い通りにならないことが次々とやってきます。

そのたびに心乱すことなく、落ち着いて対処することを教えているのが、この禅定という言葉です。

智慧/ちえ

いわゆる学校で習うような学問知識ではなく、誰もが生まれながらに持っている「物事を正しく認識し、判断する能力」のことを指しています。

いくらテストでいい点数を取っても学歴が高くても、智慧がなければ、心が乱れてしまいます。

不戯論/ふけろん

不戯論とは、書いて字のごとく「戯論をしない」という意味です。戯論とは無駄口のことで、つまり「無駄口は叩くな」と教えています。

無駄口を叩けば、自分の心も相手の心も乱すこととなり、いいことはありません。だから、余計なことはしゃべるべからずなのです。

 

この八つについて、私たちの生活に合わせてそれぞれ考えていきましょう。

平井正修『老いて、自由になる。 智慧と安らぎを生む「禅」のある生活}』

長生きも不安、死も不安――。 「散る」を知り、心は豊かになります。 残りの人生を笑顔で過ごすために、お釈迦様の“最期のお経《遺教経》"から学ぶ8つのこと。

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老いて、自由になる。

長生きも不安、死も不安――。
しかし、「散る」を知り、心は豊かになります。
残りの人生を笑顔で過ごすために、お釈迦様の“最期のお経《遺教経》"から学びましょう。

・持ちすぎない――「小欲(しょうよく)」
・満足は、モノや地位でなく、自分の「内」に持つ――「知(ち)足(そく)」
・自分の心と距離を取り、自分を客観的に眺める――「遠離(おんり)」
・頑張りすぎず、地道に続ける――「精進(しょうじん)」
・純真さ、素直さを忘れない――「不忘(ふもう)念(ねん)」
・世の中には思いもよらないことが起こると知る――「禅定(ぜんじょう)」
・目の前のものをよく観察し、自分の頭で考える――「智慧(ちえ)」
・しゃべりすぎない――「不戯論(ふけろん)」

「心を調える」学びは、一生、必要です。

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平井正修

臨済宗国泰寺派全生庵住職。学習院大学法学部政治学科卒業。1990年静岡県三島市龍澤寺専門道場入山。2001年同道場下山。2003年より中曽根元首相や安倍首相などが参禅する全生庵の第七世住職に就任。2016年より日本大学危機管理学部客員教授。全生庵にて坐禅会、写経会を開催。著作に、4万部のベストセラーになった『心がみるみる晴れる 坐禅のすすめ』(幻冬舎)のほか、『花のように、生きる。』『「見えないもの」を大切に生きる。』(以上、幻冬舎)、『山岡鉄舟修養訓』(致知出版社)、『忘れる力』(三笠書房)、『お坊さんにならう こころが調う 朝・昼・夜の習慣』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『禅がすすめる力の抜き方』 (知的生きかた文庫)など多数。

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