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おどろきダンゴムシ図鑑

2020.07.07 公開 ツイート

本州によくいるコシビロダンゴムシの見わけかた 奥山風太郎

世界各地のおもしろいダンゴムシを集めたビジュアルブック『おどろきダンゴムシ図鑑』(奥山風太郎・著)が話題です。今回は本州でよく見かけるコシビロダンゴムシの種類を見わける簡単な方法を、本書からご紹介します。

*   *   *

コシビロダンゴムシ(写真:奥山風太郎)

本州のコシビロダンゴムシ4種の見わけ方

本州でもっともよく見かけるのはヨーロッパからの帰化種であるオカダンゴムシですが、もともと日本に生息していたと考えられるダンゴムシも本州に何種類かいます。

そうした在来ダンゴムシはだいたい地味で、どれも似た雰囲気です。

専門書など多くの本に載っている、在来ダンゴムシの判別方法は非常に難しいので、ダンゴムシファンやハイアマチュアの中には、標本にして顕微鏡で確認しないと同定できないと思い込んでしまっている人がいます。

中には本当に判別が困難なものもいますが、少なくとも本州でよく見かける4種のコシビロダンゴムシは、鮮明な写真と比較できればほぼ間違えることなく判別できます

ここでは各種の特徴を紹介していきます。

見つけた場所や環境も参考にすると、より確実に判別ができるはずです。


トウキョウコシビロダンゴムシ

Spherillo obscurus

千葉県で採集されたトウキョウコシビロダンゴムシ(写真:奥山風太郎)

体長8.5ミリほどで、関東から東海地方の海岸林や平地の森で見つかるが、九州でも記録がある。

黒褐色ベースに灰褐色の縁、赤みのあるつなぎ目、という写真のような色彩が一般的。そのような色であれば確実にトウキョウと思ってよい。

赤みのほとんどない黒っぽいトウキョウもたまに見つかり、次に紹介するセグロとまぎらわしいこともあるが、生息環境がちがうので混生している可能性はほぼない

たくさんいる中に、上の写真のような個体が一匹でもいたら、その中にセグロはいないと思ってよい。

ちなみにオカダンゴムシとはよく混生している。

 

セグロコシビロダンゴムシ

Spherillo dorsalis

静岡県で採集されたセグロコシビロダンゴムシ(写真:奥山風太郎)

体長10ミリ前後で、やや大型。

生息範囲はよくわからないが関東、中部、東海以外では見たことがない

低山から標高1300メートルくらいの山地までの、自然度の高い環境を好む。

黒褐色ベースに灰褐色の縁と斑紋があるが、全体的に黒っぽく、トウキョウのような赤みが出ることはない

 

シッコクコシビロダンゴムシ(鮫肌タイプ)

Spherillo sp.

東京都で採集されたシッコクコシビロダンゴムシ(鮫肌タイプ、写真:奥山風太郎)

体長8ミリほどで、西日本のとくに太平洋側に多い印象だが、関東や東海にもいる。

海岸林から標高1000メートルくらいまでの山地で見つかっている。

名のとおり体はほぼ真っ黒で、頭だけがすこしオレンジがかっている。

体の表面が鮫肌のようにかなりザラザラしているのが一番の特徴なので、目のよい人だと簡単に判別できる。

 

シッコクコシビロダンゴムシ(艶タイプ)

Spherillo sp.

高知県で採集されたシッコクコシビロダンゴムシ(艶タイプ、
​​​​​写真:奥山風太郎)

体長7ミリほどの、やや小型な種。

鮫肌タイプと混生することもあり、分布域や生息環境などがよく似ている。

しいていえば、本種はより海岸林に多い印象。

一番の特徴はメリハリのある鮮やかなオレンジ色の頭部と、ツヤツヤの体

*   *   *

この続きは書籍『おどろきダンゴムシ図鑑』をご覧ください。

関連書籍

奥山風太郎『おどろきダンゴムシ図鑑』

どこにでもいる身近なアイツ、実はこんなにすごかった! カッコいいもの、美しいもの、ふしぎなもの……。ミステリアスな世界を日本一のダンゴムシファンがご紹介します。実は集団生活よりも単独行動が好き/ダンゴムシは虫じゃない!?/好物はチーズ、ナス、ニンジン/青く輝くダンゴムシ。だがその正体は……/砂浜の色で色合いが変わるハマダンゴムシ/メスの顔面にしがみついてプロポーズ/丸まるのが得意な種類、隙間だらけになっちゃう種類 など

丸山宗利/福井敬貴『とんでもない甲虫』

『ツノゼミ ありえない虫』『きらめく甲虫』につづく、丸山宗利氏の昆虫ビジュアルブック第3弾! 硬くてかっこいい姿が人気の「甲虫」の中でも、姿かたちや生態がへんてこな虫を厳選。 標本作製の名手・福井敬貴氏を共著者に迎え、掲載数は過去2作を大幅に上回る278種! おどろきの甲虫の世界を、美しい写真で楽しめます。

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おどろきダンゴムシ図鑑

2020年6月11日発売『おどろきダンゴムシ図鑑』(奥山風太郎・著)の最新情報をお知らせします。

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奥山風太郎 生き物ライター

1977年、東京都生まれ。世界各地で野生生物を調査し、雑誌等で紹介してきた。もともとは両生類や爬虫類が専門だったが、フィールドワークを重ねるうちにダンゴムシの魅力にとりつかれ、現在では南西諸島の種を中心に200以上の地域で採集した、数十万匹のダンゴムシを飼育中。変わった色柄のダンゴムシを探すのが大好き。著書は最新刊『おどろきダンゴムシ図鑑』(幻冬舎)のほか『鳴く虫ハンドブック』(文一総合出版)、共著に『ダンゴムシの本』『鳴く虫「音声」図鑑』(以上、DU BOOKS)、『日本のカエル+サンショウウオ類』(山と溪谷社)などがある。

 

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