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結婚、仕事、人間関係……ただ生きてるだけでも悩みは尽きません。「自分の人生、これからどうなっていくんだろう」とぼんやり不安を抱えていませんか?

お坊さんである英月さんの本『お見合い35回にうんざりしてアメリカに家出して僧侶になって帰ってきました。』には、そんな人生の不安を吹き飛ばしてくれるヒントがたくさんあります。

彼女のハチャメチャな人生を知れば、きっと自分の人生も開けて見えてきます。その中身を、本書より一部公開いたします。*前回「お見合いから逃げたはずが、知らぬ間に結婚=お見合いという呪縛にとらわれ続けていた

*   *   *

お見合いの仕事化

最初に私を襲った第一の悲劇、それはこうです。

お見合い場所に行き、初めて会う方と挨拶をし、しばらく会話をします。ジロジロ見られた後に、その方が言うのです。「あなた、会員じゃないでしょ」と。

「えええーーーー! 会員です! お金払ってます! なけなしのお金、払ってます!」と、言いたいけれど、それはあまりにも上品ではないとグッと言葉を飲みこむ。そして、「会員ですよ」と優しく微笑む。

一〇年以上の時を経て、今、気づきました。これこそ、会員ではないと疑われる答え方だったと。受け答えが、こなれすぎ。サクラと思われても仕方ない。そりゃ、仕方ないよ。

日本でお見合い、何回だ? 三〇回以上。日本帰国後に受けた週刊誌の取材で答えた三五回が公式発表のようになったけど、ひょっとしたらそれ以上。だって、数えてないもん。

それだけのキャリアがあったら、もう半プロだよ、お見合いの。会員に見えなくても、仕方ない。おまけに、日本でお坊さんたちとお見合いをしていた時の立ち居振る舞いが標準装備だった私は、相手の方たちにかなりの好印象を与えてしまったらしく……。なんと、相談所の所長さんから接待を受けることに! なんなの、この展開?

キャリアウーマンを絵に描いたような美しい所長さんに、ブランチへのご招待をいただいたのは、ドアマンが立つ高級デパートメントの最上階にあるレストラン。壁一面のガラス窓からはユニオンスクエアが見下ろせます。お店の名物、ストロベリーバターと焼き立てのブリオッシュに心躍らせていると、所長さんからまさかのお礼。

「男性会員さんから素晴らしい評価をいただき、会社としても嬉しいです。つきましては、これからもよろしくお願いしますね」と。

ストロベリーバターに無我夢中だった私はあまり深く考えず、「こちらこそ、よろしくお願いします~」と、ノンキに返事。

第二の悲劇は、その日を境に紹介される人数が劇的に増えたこと。一〇万円ちょっとの一番安いコースで、一〇〇万円のコースと同じか、それ以上のサービスが受けられるのです。日本在住の女性会員が、特上クラスの大金持ちの男性を紹介してもらおうとすると、一人紹介してもらうのに一〇〇万円したそうです。それが、ポンポン、そういう方たちを紹介してもらえるようになったのです。オトクです。めちゃくちゃオトクです。悲劇ではなく、これは幸運なお話。うまくいけばシンデレラストーリーも夢ではない!

私は、紹介されるまま、ホイホイとお見合いに出かけるようになりました。まるで仕事のように。(中略)

アメリカでも結局空しさを抱えた私

結局、アメリカでもお見合いをたくさんすることになった私。けれどもアメリカでも、私は何をしているのかと、お見合いが空しくなってしまう。決められた方向性から解放され、どこに進んでもいいんだと気づいたけれど、どこに進んでいいのかがわからない。勢いでアメリカまで家出して、がむしゃらに生きていた時は、今の生活しか考えられなかった。どうやって食べていこう、どうやって生きていこうと、先を見る余裕がなかった。生活がちょっと落ち着いて、今だけでなく、将来にも目を向ける余裕ができると、とたんに迷子になる。いえ、迷子になるのではなく、迷子になっていたことに気づける余裕が、できたのかもしれません。

では、私はいつから迷子になっていたのだろう。そして私は、何を基準に進むべき方向を決めてきたのだろう。

日本から家出した時、道具としてのお金を貯えようとした時、アメリカで結婚相談所に入会した時、私は何を基準に判断をしたのか? 迷子になったのは、その基準に問題があったから。そう考えるのが自然なこと。では、基準は何?

(イラスト:上路ナオ子)

その基準を一言でいうと、私の都合。自分にとって都合の悪い現実から逃げるようにして、アメリカに家出をした。家出先を選んだ時も、私にとって都合のいい場所はないかと探した。お金を貯えようと思ったのも、それによって自分にとって都合のいいことが増えるから。結婚相談所に入会したのも、都合がいいから入会した。申し込んだコース以上の人たちを紹介してもらえることにホイホイのったのも、オトクだと、都合がいいと喜んだ。

そして、迷走。自分の都合を基準にした私は、結果、自分の都合に振り回されることになった。都合に振り回されてアメリカまで行って、そして、アメリカでも都合に振り回される。ほんと、一体全体、何してはるの? です。

でも、迷子になるのは当たり前のことなのかもしれません。どこに向かって進む? と考えた時、その時々の自分にとって都合のいい方を向いて進む。しかし、いずれ都合が悪くなる。もしくは他に、もっといい都合に出会う。そこで方向転換。新しく登場した都合のいい方に向かって進む、けれどもまた都合が悪くなる、もしくは新たないい都合が出てくる。そこで、また方向転換。その繰り返し。グルグル、グルグル。そして、迷子になる。

いったい私は、何を求めているの? と。目先の都合に振り回され、空しいと。では、自分の都合以外の、何を基準にしたらいいの? ブレない本当の基準って、何?

*   *   *

このあと、英月さんはブレない本当の基準を探しはじめ、とある縁から仏教に出遇うことになります。続きはぜひ、書籍にて!

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お見合い35回にうんざりしてアメリカに家出して僧侶になって帰ってきました。

うちの安住の地って、どこにあるん?

親のお見合い攻撃にキレて、なんと海外逃亡。アメリカに骨を埋めるつもりが、仏教に出会ってしまい……。ハードな人生に笑えて泣ける、奮闘エッセイ。

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英月

京都市生まれ。真宗佛光寺派長谷山北ノ院大行寺住職。銀行員になるが35回以上ものお見合いに失敗し、家出をしてアメリカへ。そこでテレビCMに出演し、ラジオのパーソナリティなどを務めた。帰国後に大行寺で始めた「写経の会」「法話会」には、全国から多くの参拝者が集まる。『毎日新聞』にて映画コラムを連載。情報報道番組コメンテーター。著書に『あなたがあなたのままで輝くためのほんの少しの心がけ』(2014年、日経BP)『そのお悩み、親鸞さんが解決してくれます』(2018年、春秋社)、共著に『小さな心から抜け出す お坊さんの11分説法』(2013年、永岡書店)、VS仏教』(2019年、トゥーヴァージンズ)がある。

写真:Noriko Shiota Slusser

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