1. Home
  2. 読書
  3. ホームドアから離れてください
  4. 今いる場所が息苦しい人たちに届けたい小説

ホームドアから離れてください

2020.02.28 更新 ツイート

『ホームドアから離れてください』を読んで

今いる場所が息苦しい人たちに届けたい小説幻冬舎編集部

小説『ホームドアから離れてください』2/6発売。

noteで試し読み公開中

現役早大生による、衝撃のデビュー作。

*   *   *

扉はどこかにきっとある    瀧井朝世

どうしようもない理不尽に巻き込まれた時、人は正しく行動できるだろうか。そもそも、何が正しい行動かなんて、誰にも分からない。

長篇小説『ホームドアから離れてください』は、大切な友達を助けられなかったことを悔いて引きこもりになった少年、ダイスケの物語だ。著者の北川樹は現役大学生、本作がデビュー作となる。主人公のダイスケの繊細な感性を的確な表現力で表すその筆力にまず驚いた。すぐさま引き込まれ、いつしか彼と一緒に傷つき、苦しみ、どこかにこの場所から抜けだす出口がないか、一緒にあがいていた。

中学入学と同時に柔道部に入部したダイスケだったが、初心者は彼とコウキの二人だけ。未熟ながらも練習に励み、少しずつ友情を育んでいった二人。だが、翌年の二月、コウキはマンションから飛び降り、一命をとりとめたのち転校。ダイスケは学校にいくのを止めた。彼らに何があったのか。第一章ではその過程が克明に描かれていく。ダイスケとコウキはもちろん、柔道部員それぞれの心理状態、顧問やコーチや担任教師の無理解を丁寧に刻み、単に決定的な悪者がいて何かが起きたという描き方をしていないところが非常に巧み。

第二章では、引きこもりのダイスケが、新聞記事で「空色ポスト」の存在を知る。新宿御苑の奥に設置されたそのポストに写真を投函すると、同様に投函した誰かの写真が届くというシステムだ。惹かれるものを感じたダイスケは写真を撮り始め、そして久々に外の世界への扉を開ける。そこには新たな出会いもある。それまでとはまったく別の場所で新しい自分を見出していく姿に、そうだね、学校だけが世界じゃないよねと、こちらまで救われる思い。ただ、どんな場所でだって予想外のことは起きるし、また、彼の心の悔恨が拭い去れるわけではない。そして第三章で……。

底抜けに優しい気持ちになれる一冊。今いる場所が息苦しくて、別の居場所の扉を探している人たちにそっと差し出したくなる。

瀧井朝世

関連キーワード

関連書籍

北川樹『ホームドアから離れてください』

ダイスケは、親友コウキの自殺未遂をきっかけに引きこもっている中学2年生。 柔道部でのいじめの矛先が2人に向かい、コウキを追い詰めたのだ。 その後転校したコウキとは会っていない。 そんな中ダイスケは、新聞で知った「空色ポスト」に通うようになる。 写真を投函すると、自分の家にも誰かが撮った写真が届けられるのだ。 写真を撮り始めたダイスケは、謎の女子高校生ミキやその彼氏、家庭教師の先生と交流を重ねる。 彼らと出会い別れる中で、ダイスケは昔の自分と向き合うようになった。 数年後、空色ポストの写真展に招待されたダイスケが遭遇する信じがたい奇跡とは…!

{ この記事をシェアする }

この記事を読んだ人へのおすすめ

幻冬舎plusでできること

  • 日々更新する多彩な連載が読める!

    日々更新する
    多彩な連載が読める!

  • 専用アプリなしで電子書籍が読める!

    専用アプリなしで
    電子書籍が読める!

  • おトクなポイントが貯まる・使える!

    おトクなポイントが
    貯まる・使える!

  • 会員限定イベントに参加できる!

    会員限定イベントに
    参加できる!

  • プレゼント抽選に応募できる!

    プレゼント抽選に
    応募できる!

無料!
会員登録はこちらから
無料会員特典について詳しくはこちら
PAGETOP