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50歳から始める英語

2020.04.06 公開 ツイート

【今こそ語学】「スムーズ暗唱」で誰でも英語がしゃべれるようになる【再掲】 清涼院流水

語学習得も自宅時間が増える今こそチャンスです。英語がしゃべれるようになりたいけど、この歳では今さらもう遅い……。そんなふうにあきらめていませんか? しかし、TOEICテスト満点を5回達成した経験を持つミステリ作家、清涼院流水さんによると、英語を習得するなら時間とお金に余裕があり、経験豊富な50歳からがベストだそう。著書『50歳から始める英語』には、その独自の勉強法が詰まっています。中身を少しだけお見せしましょう。

*   *   *

これこそが語学学習の頂点

語学学習で最高のトレーニング方法は暗唱(つまり、文字を見ずに記憶した文章を声に出すこと)であると説く指導者は日本では決して多くはありませんが、海外の語学教育では暗唱が基本です。筆者自身も暗唱こそ最高の方法だと確信しており、暗唱の効果を最大限にする方法として、2013年から“スムーズ暗唱”と名づけた方法を提唱しています。

(写真:iStock.com/nito100)

これまでに刊行した英語関連本でも、常に「スムーズ暗唱こそ最強の語学トレーニング法です」と、ご紹介してきました。その考えは、今も、まったく変わっていません(別の勉強法に簡単に超えられるようであれば、そもそも最強とは呼べないでしょう)。

ふつうの暗唱とスムーズ暗唱の違いはなにかと言うと、その名の通り、スムーズ暗唱は「スムーズに言えるようになることをゴールにする暗唱」です。ふつうの暗唱とどう違うんだ、と疑問に思われるかもしれませんが、日本人学習者のあいだで暗唱は難易度が高いとされており、上級者でも避けて通る方が多いのです。

そのため、たどたどしい暗唱であっても、とにかく暗唱できればオッケーという方も珍しくありません。ですが、たどたどしい暗唱では効果は半減するので、“スムーズ暗唱”と名づけることで、「スムーズに暗唱できない限り、仕上がったとは言えないルール」を忘れないようにしているのです。

スムーズ暗唱をする上で、使う題材は、なんでも構いませんが、自分にとってなじみのない単語や表現をひとつでも含んでいる英文が理想です。上級者であれば、英文さえあればスムーズ暗唱はできますが、なかなかスムーズ暗唱がうまくできない場合は、英文だけでなく日本語訳もついている素材を選ばれると良いでしょう。

そして、暗唱の準備段階として、まずは日本語訳を見ながら、英訳してみるのです。この際、いきなり英訳するのが難しい場合には、チラチラ英文を見ながら訳す“カンニング英訳”で問題ありません。

よどみなく言えるまで繰り返す

たとえば、次のような英文と日本語訳があったとします。

(写真:iStock.com/bee32)

The eccentric writer is known for proposing his unique method to learn English.(=その風変わりな作家は、彼独自の英語勉強法を提唱していることで知られている)

この日本語訳を見ながら“カンニング英訳”するのは、次のような感じです。

「『風変わりな』って、どう言えばいいんだろう……strangeかoddかpeculiarか……(答えの英文をチラ見して)あ、eccentricでいいのか。エキセントリックは日本語にもなっているな。『作家』は長編小説家ならnovelist、本の著者ならauthor、著述家全般を指すならwriterだけど……(答えをチラ見して)ここではwriterか。

彼独自の』は、his originalかhis ownか……(答えをチラ見して)あ、his uniqueか。ユニークは日本語だと『興味深い』の意味で使われるけど、英単語としては『独自の』という意味だったな。

英語勉強法』は、English learning methodかな……(答えをチラ見して)この文章ではmethod to learn Englishか、同じ意味だけど。『提唱している』は、どう言えばいいんだ……(答えをチラ見して)そうか、proposeでいいんだ。『知られている』はis known forで後ろには名詞形が来るからproposingと-ingがつくわけだな」

そうしてカンニングしながらでも英訳できるようになったら、次に、その英文の情景を思い浮かべます。どんなイメージでも構わないので、「風変わりな作家が独自の英語勉強法を提唱している姿」を頭に思い浮かべ、今度は、そのイメージから英訳するように暗唱を試みます。なかなかできなければ、最初は“カンニング暗唱”でも良いでしょう。

「The eccentric writer……is known for……proposing his learning method……だったっけ?(答えをチラ見して)あ、違う、his unique methodか。もう1度。The eccentric writer……is known for……proposing his unique method to learn English. だな。

よし、だいぶスムーズになってきた。もう1度。The eccentric writer is known for……proposing his unique method to learn English. あと一息で、スムーズに言えそうだ。The eccentric writer is known for proposing his unique method to learn English. できたーっ!」

最後の、まったく澱みなく1文を言えるようになった状態が、スムーズ暗唱がひとつ仕上がった区切りです。スムーズ暗唱と呼ぶからには、そのくらいスムーズでなければいけない、ということをルール化するための名称であることは、再度、強調いたします。

関連書籍

清涼院流水『50歳から始める英語 楽しいから結果が出る「正しい勉強法」74のリスト』

生まれてこの方ずっと身近にある外国語は英語。なのに字幕なしで映画鑑賞はおろか海外旅行での簡単な会話すらままならず、諦め続けている人は多い。しかし英語を習得するなら時間とお金に余裕があり経験豊富な50歳からがいい。この期に及んで同時通訳を目指したり欧米企業に勤めるわけじゃない今だからこそ、誰からも強制されない英語学習は楽しく、人生をも豊かにする。TOEICテストを活用すれば自らの成長を数値化できてさらに愉快。今すぐ無性に英語を始めたい! という人に贈る“人生100年時代”の正しい英語勉強法。

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50歳から始める英語

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清涼院流水

1996年『コズミック』で第二回メフィスト賞を受賞し作家デビュー。以後、小説だけでなく、ビジネス書、ノンフィクション、英語学習指南書など著作多数。小説執筆の息抜きとして始めた英語学習にハマり、独自のメソッドでTOEIC(現TOEIC L&R)テスト満点を5回達成。2009年から17年まで主宰していた「社会人英語部」では、のべ65人の部員をTOEICスコア平均900点台にまで導く。日本人作家の小説を英訳して世界中の電子書店で販売しており、著者、英訳者、編集者として手がけた英語作品は100を超える。作家としての近著に『感涙ストーリーで一気に覚える英単語3000』(明日香出版社)、『きみと行く 満天の星の彼方へ』(リチェンジ)などがある。

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