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発達障害と呼ばないで

2019.09.26 更新 ツイート

わが子を発達障害から守るために親がすべき2つのこと岡田尊司

ADHD、学習障害、アスペルガー症候群、自閉症……。近年、「発達障害」と診断される人が急増しています。一体、どうしてなのでしょうか? 精神科医・岡田尊司先生の『発達障害と呼ばないで』は、その意外な秘密に迫った一冊。発達障害は「生まれつきの脳機能の障害」という、これまでの常識がガラッと変わることでしょう。そんな本書から、一部を抜粋してお届けします。

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これで安定した「愛着」が育まれる

どのようなかかわり方が、安定した愛着を育むことにつながるのだろうか。親側のかかわり方としては、何が大切なのだろうか

(写真:iStock.com/Rawpixel)

エインスワースによれば、子どもが示す愛着パターンは、親のかかわり方に対する反応であり、親のスタイルを反映したものだという。エインスワースが、安定した愛着を育む上で重視したのは、感受性と応答性である。

感受性とは、子どもの気持ちや欲求を感じ取ることである。応答性とは、子どもが反応や助けを求めているときに、それに応えることである。そのためには、常に関心をもって見守っていることが大事であるし、表情や感情豊かに反応するのも応答性の重要な要素である。

安定型を示す子どもの母親は、子どもが困っていると、素早くそれを察知して救いの手を差し伸べ、子どもが歓びの声を上げると、それにすかさず応答する

それに対して、不安定型の子どもの母親は、子どもの気持ちや子どもが必要としていることをうまく気づけなかったり、何の反応も返さなかったり、気まぐれで一貫性のない対応をしてしまいやすい。

まず、子どもが小さいうちは、感受性や応答性を高めるように心がけることが基本である。ただ、それが気まぐれなものにならないようにしないといけない。あるときは過敏なほどに反応を返したのに、あるときは無関心であるというのは望ましくない。あまり差が大きくなり過ぎないようにすることも大切である。

親自身、応答性が低い場合もある。親の気質や愛着スタイル、うつ状態や年齢も影響するだろうが、仕事や自分の遊びで忙しい上に、パソコンやケータイの画面にも気をとられては、子どものことには上の空になりがちだ。一緒に過ごすときだけでも子どもの方を見るようにして、表情を豊かにし、言葉掛けや反応を増やすように心がけたい。些細なことに思えるが、大きな違いを生んでいく。

「リフレクティブ・ファンクション」を高める

感受性は、子どもの気持ちや欲求を感じ取る能力によっても左右される。もともと相手の気持ちを推し量り、共感するのが上手な人では感受性が高いが、苦手な人では子どもの気持ちを読み取れないということが起きる。

(写真:iStock.com/violet-blue)

相手の気持ちを理解する能力が弱い人では、自分を顧みる能力も弱い傾向がみられる。両者は結びついた能力であり、リフレクティブ・ファンクション(reflective function)と呼ばれる。このリフレクティブ・ファンクションを高めることが、安定した愛着を育む上でも、不安定な愛着スタイルの人がそれを克服する上でも、鍵を握るとされる。

では、リフレクティブ・ファンクションを高めるにはどうすればよいのか。これまでのさまざまな研究が明らかにしたことの一つは、心に関心を向けられるとき、心は育つが、心に関心が向けられないと、心は育たないということである。エリザベス・メインズは、心に関心を向ける姿勢を、「マインド・マインディドネス(mind-mindedness)」と呼んだ。

マインド・マインディドな人は、相手の行動から気持ちをくみとったり、それを言葉にするのが上手である。癇癪を起こして泣き叫んでいる子どもに、「うまくできなくて、悔しかったんだね」「自分でやろうと頑張ったんだね」と語りかけ、その子の気持ちを代弁することで、子どもは自分の気持ちが受け止められたと感じるだけでなく、自分の心のプロセスが理解できることで、気持ちをコントロールしやすくなる。

気持ちをぴったり言い当てられると、興奮が収まるものである。「うまくできないので悔しかった」と自らその言葉をなぞることもある。

ただ、うまく一言で相手の気持ちを言い当てられなくても、まったく心配はいらない。相手の気持ちにヒットしていないなと感じれば、相手の反応に応じて、言い方を変えていき、やり取りの中で、相手の気持ちに響く言い方を見つければいいのだ。

相手の気持ちにヒットすれば、表情が和らいだり、頷いて、その言葉を繰り返したりという反応が返ってくるものだ。何度かやり取りしながら、相手の気持ちに近づけていくというプロセスが大事なのである。

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発達障害と呼ばないで

ADHD、学習障害、アスペルガー症候群、自閉症……。近年、「発達障害」と診断される人が急増しています。一体、どうしてなのでしょうか? 精神科医・岡田尊司先生の『発達障害と呼ばないで』は、その意外な秘密に迫った一冊。発達障害は「生まれつきの脳機能の障害」という、これまでの常識がガラッと変わることでしょう。そんな本書から、一部を抜粋してお届けします。

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岡田尊司

1960年、香川県生まれ。精神科医、医学博士。東京大学哲学科中退。京都大学医学部卒。同大学院高次脳科学講座神経生物学教室、脳病態生理学講座精神医 学教室にて研究に従事。現在、京都医療少年院勤務、山形大学客員教授。パーソナリティ障害治療の最前線に立ち、臨床医として若者の心の危機に向かい合う。 

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