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とんでもない甲虫

2019.08.23 公開 ツイート

フンコロガシはなぜ糞を丸めるのか? 福井敬貴/丸山宗利

とげとげ、もふもふ、まんまる、くしひげ、くびなが……。昆虫の概念がひっくり返る、279種のおかしな甲虫を厳選したビジュアルブック『とんでもない甲虫』(丸山宗利・福井敬貴著)が好評発売中!

今回は本書より「太陽神とされた甲虫 フンコロガシ」をご紹介します。

動物の糞をせっせと丸める愛らしい虫として有名ですが、なんのために糞を丸めているのか知っていますか?

じつは幼虫のベッドであり、エサにもなっているのです。

*   *   *

ケンランタマオシコガネ(採集地・ザンビア) アレを食べてどうしてこんなに美しい。

太陽神とされた甲虫 フンコロガシ(コガネムシ科)

動物の糞(ふん)を食べるコガネムシを糞虫(ふんちゅう)という。そのなかで、糞を玉状にして、転がしながら運ぶものを俗にフンコロガシとよぶ。

古代エジプトではその玉状の糞を太陽に見立て、フンコロガシを太陽神ケプリとみなした。

世界各地のコガネムシ科甲虫でよく似た行動が進化している。

ピンポンタマオシコガネ(採集地・南アフリカ共和国)

ピンポンタマオシコガネ:ほぼ完全な半球形であるが、かたちの意味は不明。南アフリカの限られた地域に生息し、飛ぶことができない。環境の悪化により数を減らしているという。

コガネフトタマオシコガネ(採集地・ブラジル)
アカガネタマオシコガネ(採集地・ケニア)

フンコロガシに共通するが、地中の巣穴に糞を運び込み、それをオスとメスできれいに丸め、そのなかに卵を産む。

幼虫はその糞玉を食べて成長する。糞の代わりに動物の死骸を利用するものもいる。

クモガタタマオシコガネ(採集地・アルゼンチン)
アカアシハネナシタマオシコガネ(採集地・ナミビア) 毛が濃くて長い。

アカアシハネナシタマオシコガネ:砂漠に巣穴を掘る。動物の糞を見つけると、前脚でかかえ、高速であとずさりして巣穴に運び込む。

ベニモンタマオシコガネ(採集地・南アフリカ共和国)
ゴウシュウタマオシコガネ(採集地・オーストラリア) ごつい南部鉄器のよう。

 

関連書籍

丸山宗利/福井敬貴『とんでもない甲虫』

とげとげ、もふもふ、まんまる、くしひげ、くびなが……。硬くてかっこいい姿が人気の「甲虫」の中でも、姿かたちや生態がへんてこな虫を厳選。飛べない!? 毛深い!? 眼がない!? おどろきの279種を、美しい写真で楽しめる。

丸山宗利/ネイチャー&サイエンス/構成『きらめく甲虫』

こんな色合い見たことない! 想像を超えた、生きる宝石200 まるで銀細工のようなプラチナコガネ、日本の伝統紋様さながらに多様な柄をもつカタゾウムシ、虹色の輝きが美しいアトバゴミムシ……。硬くて強そうな見かけの甲虫はそのかっこよさで人気があるが、本書では甲虫の中でもとくに金属光沢が美しいもの、珍しい模様を背負っているもの、色合いが芸術的なものを厳選して紹介してゆく。ピントが合った部分を合成して1枚に仕上げる「深度合成写真撮影法」により、甲虫の持つ美しさが楽しめる!

丸山宗利『ツノゼミ ありえない虫』

奇想天外、ユニークすぎる形を特殊撮影法で克明に再現! 世にもフシギなかたちの昆虫「ツノゼミ」を138種類掲載した、日本ではじめてのツノゼミの本。ツノゼミはセミではなく、カメムシ目に属する昆虫。体長2ミリ~25ミリほどの小さな虫ながら、ツノのかたちをさまざまに進化させていて、まるで空想の世界のような姿をしている。深度合成写真撮影法で撮影し、すべての部分にピントがあった写真を掲載。面白い姿をすみずみまで楽しめる一冊。

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とんでもない甲虫

『ツノゼミ ありえない虫』『きらめく甲虫』につづく、丸山宗利氏の昆虫ビジュアルブック第3弾!
硬くてかっこいい姿が人気の「甲虫」の中でも、姿かたちや生態がへんてこな虫を厳選。
標本作製の名手・福井敬貴氏を共著者に迎え、掲載数は過去2作を大幅に上回る279種!
おどろきの甲虫の世界を、美しい写真で楽しめます。
この連載では『とんでもない甲虫』の最新情報をお届けします。

●パンクロッカーみたいだけど気は優しい――とげとげの甲虫
●ダンゴムシのように丸まるコガネムシ――マンマルコガネ
●その毛はなんのため?――もふもふの甲虫
●キラキラと輝く、熱帯雨林のブローチ――ブローチハムシ
●4つの眼で水中も空中も同時に警戒――ミズスマシ
●アリバチのそっくりさんが多すぎる! ――アリバチ擬態の甲虫 など

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福井敬貴

1994年福島県出身。2016年、多摩美術大学彫刻学科卒業。2019年、同大学院彫刻専攻卒業。学生時代はおもに甲虫をモチーフとした鋳金作品を制作。幼少期より虫をはじめとする生き物全般に強い興味をもって育ち、採集や標本の蒐集活動をおこなう。昆虫標本の展足技術が高く評価され、コレクターや研究者からの依頼が殺到。今では年間数千頭の標本を展足している。好きな甲虫はオトシブミ。

丸山宗利 九州大学総合研究博物館 准教授

1974年生まれ、東京都出身。北海道大学大学院農学研究科博士課程修了。博士(農学)。国立科学博物館、フィールド自然史博物館(シカゴ)研究員を経て2008年より九州大学総合研究博物館助教、17年より准教授。アリやシロアリと共生する昆虫を専門とし、アジアにおけるその第一人者。昆虫の面白さや美しさを多くの人に伝えようと、メディアやSNSで情報発信している。最新刊『アリの巣をめぐる冒険』のほか『昆虫学者、奇跡の図鑑を作る』『とんでもない甲虫』『ツノゼミ ありえない虫』『きらめく甲虫』『カラー版 昆虫こわい』『昆虫はすごい』など著書多数。『学研の図鑑LIVE 昆虫 新版』『角川の集める図鑑 GET! 昆虫』など多くの図鑑の監修を務める。

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