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たった400字で説得できる文章術

2018.12.20 更新

実は簡単!達者な文章を書く方法樋口裕一

(写真:iStock.com/nito100)

 250万部のベストセラー『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP新書)をはじめ、『小論文これだけ!』(東洋経済新報社)など著書多数、「小論文の神様」樋口裕一氏の『たった400字で説得できる文章術』より、ほんの数行で相手を納得させる文章のコツをご紹介します。樋口先生の直接指導が受けられる「超実践!ビジネス文章力ゼミ」も募集中です。

テクニック1:たとえを使いこなす

 さて、これで、ある程度の文章になるはずだ。だが、まだ「達者な文章」とまではいかない。が、ほど遠いわけでもない。あと少し工夫すれば、すぐに「達者な文章」になる。では、「達者な文章」に手軽にできる高等技術を少し紹介しよう。

 ①たとえを使いこなす
 聖書や仏教訓話や昔話などで、よくたとえが使われる。高校で漢文を勉強した記憶のある人も、たとえが出てきて、時に悩まされたことを思い出すに違いない。

 たとえば、実は本質的なものは目に見えないのだと言いたいとする。そのことをいくら言っても、読んでいる人にはわかってもらえない。そんなときには、 風 をたとえに出す。

~例文~
 風は目に見えない。見えるのは、風に動かされているものだったり、風によって動く木だったりする。あるいは風によって動く葉の音だったりする。だが、風そのものは見ることができない。だが、そうしたものを成り立たせているのは風だ。

 そのような説明をすることによって、読む者を納得させられる。

「人間は一本の考える葦あしである」というパスカルの有名な文も、たとえのひとつだ。人間が葦のように弱いこと、すぐに壊されることを、この言葉で示している。

 また、類比を使うのもひとつの方法だ。

 先ほど、私は、「文章の下手な人」と「字の下手な人」を対比させて書いた。それも、このテクニックと言っていいだろう。「字の下手な人が……であるように、文章の下手な人も……」、あるいは、「字の下手な人は……であるが、文章の下手な人は……」というように展開する。こうすることで、似たものとどこが違うか、どこが似ているかを考え、物事の本質が理解できるようになる。

 したがって、何かを言おうとして、説明に困ったとき、それに似たものを思い出して、たとえ話をしてみると、説得力が出ることがある。

その2:ちょっとした工夫で文章にメリハリをつける


 昔、クローズアップばかりを使った映画を見たことがある。それは、平安時代に題材をとった日本映画だったが、予算不足で当時を再現する建物を作れず、窮余の策としてクローズアップばかりにしたのかもしれない。

 監督や役者の意気込みは伝わってきたが、見ているほうは、退屈するばかりか、だんだんと息苦しくなって疲れてしまった。

 このように一本調子が続くと、人間、息苦しくなってくる。気晴らしをしたくなる。美しい風景でも、絶世の美人でも、ずっと見ていると飽きてくる。美しい自然のあとは、ごみごみした都会を見たくなる。絶世の美人の間に、さまざまな個性的な顔をした人々を見たくなる。そうしたほうが、美しい風景も美人も、その美しさが際立つ。

 文章も同じだ。大事なところも大事でないところも、同じような文体で同じような密度で書かれると、読むほうは息苦しくなって頭に入らなくなってくる。大事なところは繰り返し説明し、大事であることを強調し、重要でないところはざっと流す。そのような態度があってこそ、わかりやすくなる。

 このように、文章にメリハリをつけ、一本調子を避けてこそ、わかりやすくなり、読んで頭に入るようになる。したがって、時々目先を変える工夫が必要だ。同じパターンで書いてきたら、たとえを使ってみたり、余談めいた話を加えたりする。

 なお、これについては例を省略する。ひとつには、短い例文ではこのテクニックを示すことができないからだ。その代わりと言ってはなんだが、私としては、この項目自体を例として示したつもりでいる。

 これまでのパターンと違って、この項目は映画の話で始まっている。私としては、こうして、目先を変え、メリハリをつけたつもりなのだ。

その3:読後感を大きく左右する文章のリズム


 もうひとつ、文章を書く上で、意外に大事なのが、文章のリズムだ。重苦しいリズムで書くと、読んでいるほうも、先を読み進むのがつらくなってくる。てきぱきと軽快で読みやすいと、読み手は納得して読み進む。

 ただし、言うのは簡単だが、リズム感のある文章を書くのは難しい。誰もが自分なりのリズム感を持って文章を書いているが、書きなれないうちは、自分のリズムをつかむことができない。だから、リズムが重苦しくても、それに気がつかない。

 リズム感のある文章を書くためには、まずは書き終わった文章を口に出して読んでみることだ。重いリズムであれば、どうしても読みにくくなることに、自分でも気がつくはずだ。

 ひとつだけ、リズムを作るコツを挙げよう。それは、対句を作ることだ。

「昔、運動会で楽しみなのは、騎馬戦だった。男の子はみんな、これを楽しみにしていた。騎馬戦は殴り合いを意味していたので、馬になる者は体を使って相手にぶつかった。騎手も手で戦った。」

 というところを、対句を多用して書くとこうなる。

「昔、運動会で楽しみなのは、ひとつは弁当、もうひとつが騎馬戦だった。男の子は、運動の嫌いな子も好きな子も、これを楽しみにしていた。騎馬戦は殴り合いだった。馬になる者は体を使って相手にぶつかった。上に乗る者は手を使って相手に殴りかかった。

 このように対句を作ることで、リズムができ、軽快になる。

 もちろん、対句を使いすぎるとむしろわずらわしくなるので、注意する必要があるが、時に使ってみると、文章に勢いが出るはずだ。


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樋口裕一

1951年大分県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、立教大学大学院博士課程満期退学。フランス文学、アフリカ文学の翻訳家として活動するかたわら、受験小論文指導の第一人者として活躍。現在、多摩大学名誉教授、東進ハイスクール客員講師。通信添削による作文・小論文の専門塾「白藍塾」塾長。250万部の大ベストセラーとなった『頭がいい人、悪い人の話し方』(PHP研究所)のほか、『頭がよくなるクラシック』『頭がいい人の聞く技術』『65歳何もしない勇気』(幻冬舎)など、著書多数。

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