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サーからフォーへ!続・女もたけなわ

2017.08.30 更新

サーからフォーへ!続・女もたけなわ その17

年下男子と付き合う心得瀧波ユカリ

「アラサー」時代に書いた女の「たけなわ期」にまつわるあれこれ。「アラフォー」になって再考してみました。サーからフォーへの峠を越えて、分かったことは……?

年下男子と付き合う心得(サー篇)

 友人に誘われて、野外BBQパーティに参加した時のこと。
 友達が友達を呼び合い、30人以上の大人数。ほとんどが初対面同士だけれど、屋外の開放感に助けられて皆リラックスして他愛のない会話と食事を楽しんでいる。私も人の3倍の速度で肉を口に運びながら、ちょうどBBQコンロを挟んで向かい側に立っていたケンタくん(仮名)と焼き加減がどうの塩加減がどうのと話していた。ケンタくんは私より若く(28歳と推定)、人当たりがよく、顔も可愛らしく、適度にお洒落。「肉すごい勢いで敷きますね!」「うん、肉のレッドカーペット作るから」「早速カーペット炎上してますよ! 大丈夫ですか?」ああ、肉から先に絶対発展しない色気ナシの会話が心地よい。もし独身だったら「この人彼女いるのかな?」とかいろいろ考えちゃうけど、すでに結婚7年目で4歳の子供もいる私はとっても気楽。若い男の子って可愛いわねぇ〜としみじみ思い目を細めた、その時。

 殺気を感じた。彼の3mほど後方に、紫外線対策用の帽子とサングラスをかけ、アウトドア好き御用達のコールマン製折り畳み式リフトチェアに深々と腰掛け、缶ビールをすすっている女がいる。見たところ40代前半。ちらちらとこちらの様子をうかがっている。なんだろう? 私の肉の焼き方が気にくわないのか?

「サクラさん(仮名)、肉食べますか?」
 ケンタが振り向いて女に声をかけた。
 女はけだるそうにゆっくり首を振る。
「だってそれ豚バラでしょ」
「牛肉もありますよ」
「まだいい、まだいい。それより、あっちのコンロの炭がダメになってるんじゃないのぉ?」
「あっ、やりますよ」

 ケンタはサクラが指さしたコンロの方に走って行き、トングで手際よく炭をかき混ぜ始めた。そのすきに、私は近くにいた友人に尋ねた。

「ねえ、あの女の人はどういう……」
「ん? ああ、サクラさんはね、ケンタくんが働いているお店の常連で……あのふたりは付き合っているの」
「ええ!?」
「けっこう年齢差があるから、ちょっと見てても気が付かないよね」

 その衝撃たるや、肉を口に運ぶ手がしばし止まるほどであった。年齢差に驚いたのもあったけど、BBQを楽しんでいるケンタと、だるそうに見ているだけ(そのくせ自分の男に話しかける女には殺気を送る)のサクラが恋仲だなんてまるで信じられなかったのだ。おいケンタ、あんたは一体サクラのどこがいいんだよ?

 サクラの不可解な態度は続いた。一瞬たりとも楽しそうな様子を見せず(何しに来たんだ?)、皆が肉を焼くところをただ睥睨している。そして時折ケンタを呼び寄せては、
「こういうパーティに来る時っていうのはさ、言われなくても自分の座る椅子くらいは持ってくるものだと思うのよね」
「あ〜あ、今さらテーブル組み立ててる。わかってないわ〜」
 などとコメンテーター的発言を繰り返している。ケンタはそれをうんうんとうなずきながら聞き、サクラの酒が足りているかチェックし、炭の勢いを確認する。時々いなくなったかと思うと、スーパーの袋を提げて子犬のように小走り&笑顔で戻ってくる。さらに、男子達がBBQ会場にあるアスレチックポールにぶら下がり、手の力だけで進む遊びを始めるとケンタも果敢に挑戦し、たくましさを披露。なんてマルチな男なのだ……ケンタ。

 それなのに、サクラはずっと気だるそうなままなのである。ここまでやってもらったら、いい加減ご機嫌になってもいいんじゃないか。それとも、まだケンタの頑張りが足りないとでも言うのか。

「わかってないのよ、BBQっていうのはね……」
 数時間経っても飽きずにそう語るサクラを見て、私は不意に気付いた。そうか、サクラは年齢のぶんだけ遊びに対する理想が高いんだ。サクラが42歳と仮定すると、社会人として遊んでいる期間は恐らく20年以上。ケンタが28歳とすると、多く見積もっても10年。倍の差があるというわけだ。20代が仕切る今日のパーティは、サクラにとっては子供の遊びみたいなもの。私が知ってる本当の社会人の遊びはもっとハイクオリティよ、と言いたくなってしまうのだろう。

 でも、こだわるところはそこじゃないってことに早く気付かないと、ケンタはいつかきっと疲れてしまうよ。若くてうるさくない子に取られちゃうよ。サクラ、こっちに来て一緒に肉を焼こうよ。私はそう念じてみたけれど、サクラはリフトチェアから動かなかった。それでも、ケンタは最後まで笑顔だった。(「GINGER」2014年8月号)

年下男子と付き合う心得(フォー篇)

 夏の高校野球のTV観戦中、ふと球児たちを親目線で見ている自分に気が付きました。
「こんな大きな子がリビングにいたらすごい迫力だろうな~」
「なんて凛々しいんだろう、生まれて17年でよくぞここまで……」
「きっと、すごく水を飲んですごく米を食べるんだろうな」

 おかしいな、去年まではわりとミーハーな気持ちで見ていたのに。しかし私と球児の年齢差、約20歳。彼らが私の子供でも、ちっともおかしくない年齢になってしまったわけです。
ああ残念、もう球児とは恋愛できない(したことないけど)。

 じゃあ、何歳の男性とだったら恋愛できるだろう?
 とりあえず適当に、若い男性芸能人の画像を見てみることにします。まずは神木隆之介くん24歳。
 ……すごく可愛い息子だ。もしくはすごく可愛い甥っ子だ。デートするとか想像できない。

 じゃあ、松坂桃李くん28歳。
 ……これは、年下の友人の彼氏ポジションだ。話してみて「えっ最初に見たジブリはもののけ姫…!? それ私が高校生の時じゃん!」ってジェネレーションギャップを話題にして騒ぐのにちょうどいい年齢の男の子。付き合う?……いや~、ない、ないない。百歩譲って付き合ってもいいけど、ピチピチの28歳に37歳の体は見せられない、無理無理。

 では、松田翔太くん31歳。
 ……あっ、ちょっと射程圏内に入った感じありますね。「10m以内に近寄ってはいけない、6つ下にうっかり惚れたらおおごとだ」というレーダーが働きます。本能がグラッと来るので理性で押さえ込む感じです。

 瑛太くん34歳。
 ……ハァ(ため息)……なんかすごく、「ちょうどいい」感じあります。3つ下っていうことは、大学4年の時の1年生でしょ、まあ、あるある。それくらいの恋愛、あるある。そんなに年の差感じない! 20年前に流行ってた音楽の話とかも、そこそこ通じ合えるはず!

 そんなわけで、私が「恋愛できる」と思えるのはせいぜい3つ下からのようです。想像だけでも、じゅうぶん怖いものですね。話題が合わないかも、体が合わないかも、一緒に街を歩けないかも。そんなネガティブなことばかり考えてしまいます。でも、そこを突破して来てくれるんだとしたら……その喜びというのはとてつもなく大きいものなのかもしれません。ケンタに愛されていたサクラのこと、改めてうらやましく思います。あのふたり、今も続いているといいな。(2017年8月)

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※この連載は、書籍化のため一部バックナンバーの公開を終了いたしました。

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瀧波ユカリ 漫画家

1980年北海道生まれ。日本大学藝術学部卒。2004年「臨死!!江古田ちゃん」でデビュー。著書にコミック『臨死!!江古田ちゃん』『あさはかな夢みし』、エッセイ『はるまき日記』『オヤジかるた 女子から贈る、飴と鞭。』『女は笑顔で殴り合う マウンティング女子の実態』(犬山紙子氏との共著)がある。

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