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2013.11.27 更新 ツイート

特集 生き方3.0 よしもとばななインタビュー

どん底で希望をつかむために(第2回)よしもとばなな

最新エッセイ『すばらしい日々』を上梓したよしもとばななさん。震災、放射能、両親の死――つらい日々の中で見えてきた「幸せになるヒント」を綴った本書は、これからの時代を生き抜くうえで大切な「優しさ」と「強さ」を教えてくれます。

前回の記事:どん底で希望をつかむために(第1回)

 

「理想の家族」から解放される

 多くの人にとって、悩みの種となっている人間関係。中でも家族との関係は、思いが深く強いだけに難しい。妻であり、母親でもあるよしもとさんはエッセイの中で「信じると期待は違う」と綴っている。人は勝手に期待して、それが叶えられないと、腹を立て、傷つく。何かを期待するのではなく、ただ信じること。それが、これからの家族関係では大事なのだと、よしもとさんの言葉は気づかせてくれる。

「私、中途半端に複雑な家庭だったから、家族というものにものすごい執着があったんです。だから、自分で理想的な家族を作ろうと思っていて。でも、どうにも立ち行かないわけですよね。大体、ライフスタイルが違う。うちの実家って夕方6時になると飲み始めるのが基本だったんです。この習慣なしに、人生はないぐらいの感じで、夜中の2時ぐらいまで飲み続ける。そこで育ってきたから、6時過ぎてお酒が出てこない毎日っていうのがどうしても理解できなくて、まあ、勝手に飲んでたわけです(笑)。そういうことを繰り返しているうちに、理想の家庭に対する執着がなくなっていった。この人たちは飲まないけど、私は飲む、って感じに、家族でも違うんだってことが納得できた気がします。今はもう全然期待はしないですね」

 「理想の家族」についての拘りから自由になったもうひとつのきっかけは、親交のあるバリ島在住の大富豪・兄貴こと丸尾孝俊さんの一言だったという。

「子供が小さいうちはなるべく一緒にいなくちゃと思って、夜の打ち合わせをほとんど入れてなかったんです。でも、そうしたら仕事が立ち行かないわけですよ。昼間に事務的に打ち合わせるだけでは、何も進まない。やっぱり夜に時間をかけて、一緒にお酒を飲んだり、ごはん食べたりしないとクリエイティブにならないんですよね。それで、どうしようかと思っていた時に、兄貴に”兄バイス”を求めたんですよ。そうしたら、『家族というのは、まったく離れていても、家族だから家族なのであって、そんなに一緒にいる必要はないだろう。お前は稼げるんだから、お前が稼げ』と率直な意見をいただいて。それで、目から鱗が落ちたんですよ。実際、兄貴の家族との繋がり方も参考にさせてもらったりして。遠くにいてもお互いの存在をすごく認識しているというのはやり取りの雰囲気などで分かるし。ああそういう感じでいいんだと思って。それでちょっと吹っ切れたところはありますね

  だから、今は夜に打ち合わせもするし、帰りが夜12時になることもある。そんな時、子供がまだ起きていたら、一緒に『餃子の王将』に行ったりするんです。それで、餃子を半分こにして、やあ、よかったよかったって帰ってくる。寝るのは遅くなるけど、みんな幸せっていう(笑)」 

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よしもとばなな

1964年東京都生まれ。「キッチン」で海燕新人文学賞を受け、デビュー。「TUGUMI」で山本周五郎賞、「アムリタ」で紫式部文学賞、「不倫と南米」でドゥマゴ文学賞を受賞。著書は世界各国で訳され、イタリアでスカンノ賞、カプリ賞受賞。著書に『さきちゃんたちの夜』『スナックちどり』など多数。

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