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逃げたい娘 諦めない母

2017.02.04 公開 ツイート

母娘ストレス解決法(1)

母の「なんで結婚しないの?」に
娘はどう返事をしたらいい? 朝倉真弓/信田さよ子

母娘のバトルが話題のドラマ「お母さん、娘をやめていいですか?」。毒親ではないけれど、束縛や干渉が面倒くさい母親に悩む人たちも多いのではないでしょうか。このドラマに監修協力した信田さよ子さんそして、朝倉真弓さんの著書『逃げたい娘 諦めない母』から、母に感じるストレスを解消する行動習慣を4回にわたってご紹介します。 

                                    

娘の義務は、説得ではなく断言


 母親に会うのが憂鬱だったり、留守電が入っていれば嫌々折り返したりする娘世代の方は多くいらっしゃるのではないでしょうか。母親と話すときも、極力自分のことは語らず、母の愚痴の聞き役に回る人も中にはいるでしょう。

 そうすることで母親の攻撃が弱まるのであれば、聞き役に徹するという対処法も有効でしょう。ただ、聞き手にはストレスがたまり続けますし、黙って聞き続けることで相手がさらにエスカレートしていく場合もあります。母とは別の人生を生きる大人の女性として、娘もどこかで自分の主張をする必要があります。

 ここで忘れてはならないのは、母親は、論を尽くせば通じる相手ではないということです。「どうして結婚をしないのか」などという母の疑問に対して丁寧な説明を試みても、玉砕することが目に見えています。なぜなら母親は、理屈で生きているわけではないからです。

 年頃の娘に対する母の言動は矛盾だらけといってもいいでしょう。多くの母親は一〇代の娘に恋愛禁止を言い渡し、二〇代の娘の彼に難癖をつけますが、三〇代の娘が結婚せず子供もいないというのは恥ずかしいと考えます。

 思春期には性の匂いのしない〝いい子〟として育てるものの、結婚適齢期が近づくと商品のように娘を売り出そうとし、結婚しない娘に対して人生を否定するような言葉をかける。その言動に論理の一貫性など見られません。多くの母親は自分の判断基準は社会的な常識や規範のうえに成り立っていると主張しますが、よく見ると自分にとって都合の良い常識に乗り換えているだけなのです。

 ですから、母親に対して自分のことを論理的に説明するのは無駄な試みといってもいいでしょう。それどころか、逆切れされたり、言葉尻をとらえた曲解をされたりするのがオチだからです。

 娘に必要なのは、論を尽くすことではありません。母親の介入から自分を守る壁を築くことです。特に〝いい子〟である娘は、「母が思い描くような幸せを実現してあげられない」という申し訳なさに追い込まれ、母との適正な距離を見失ってしまいがちです。

 母親が理不尽な言葉を投げかけてきたら、はっきりと、できないことや無理であることを断言し、一線を引く。妥協点を差し出すような話し方をしたり、そこに申し訳ないという気持ちを抱いたりする必要はありませんし、できないという事実に説明や理屈はいりません。

母親の好物は、娘の動揺と妥協 

 断言をする際に大切なのは、情緒的な動揺を見せないことです。母親を傷つけたくないあまり、「できないかもね」とか「無理だと思う」と語尾を濁すと、いつまで経っても話が終わりません。母親は濁された語尾に娘の心の揺れを感じ、改心を迫ってきます。

 母に向かって断言をしたことがない〝いい子〟のあなたは、多少語尾が震えてしまうこともあるでしょう。しかし、語尾は震えても、あなたの心まで揺らしてはダメ。このラインまでは我慢してお付き合いできるけれど、ここから先は立ち入って欲しくはないという境界線を作り、自分自身で守っていくことが大切です。

 娘がはっきりと「ノー」を突き付けたとき、その瞬間は母は混乱し、時にパニックに陥るかもしれませんが、安心してください。母親は娘が思い悩むほどに傷つくことはありません。その証拠に、たとえばあなたのお母様は、
「パパは(あるいは息子は)何を言ってもダメなのよ。あの人はそういう人なの」
 などと言うことはありませんか?

 このように母親は、自分が何を言っても響かないと判断した人に対しては潔く撤退します。ですが娘に対しては、
「私が強く言えば言うことを聞くに決まっている。だってあの子の母親なのだから」
 と、どこまでも甘く考えている節があります。

 娘としてどうしても母の束縛が我慢ならないと思うのなら、勇気を持って喧嘩覚悟ではっきりと「ノー」を伝えることが大切。いっときの母親からの罵倒や泣き落としは覚悟しておくことです。頑張ってみましょう。喧嘩を避けるために妥協しながら話をしていると、いつまで経っても母との適正な距離を保つことができません。

 

次回は、2月11日公開予定です。この連載は、『逃げたい娘 諦めない母』の試し読みです。

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朝倉真弓

1994年、青山学院大学卒業。一般企業、出版社、編集プロダクションを経て、1999年にフリーランスライターとして独立。経営、起業、就職・転職、働き方などをテーマに、一般誌やビジネス誌、ウェブサイトなどで取材および執筆を手がける。実用書やビジネス書の分野では企画やブックライティングを数多く務め、ストーリー仕立ての書籍を得意とする。自著に『女子の幸福論』『たまらない女 ためられる女』『好き⇔お金 ネットで「やりたいこと」を「お金」に変える方法』『ストーリーでわかる! 今までで一番やさしい相続の本』がある。

信田さよ子

1946年、岐阜県生まれ。1969年、お茶の水女子大学文教育学部哲学科卒業。1973年、同大学大学院修士課程修了(児童学専攻)。1995年12月に原宿カウンセリングセンターを開設、所長として現在に至る。臨床心理士。著書に『依存症』『DVと虐待』『母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き』『さよなら、お母さん―墓守娘が決断する時』『共依存』『カウンセラーは何を見ているか』『依存症臨床論』『アディクション臨床入門』など多数。

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