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逃げたい娘 諦めない母

2018.11.12 公開 ポスト

「毒親」への最強の対処法は「語尾を濁さずノーを言う」朝倉真弓/信田さよ子

「女の幸せはこういうもの」「現実を見なさい」「あなたの将来を心配しているの」……こうした母親の言葉にストレスを感じていませんか? 最近、「毒親」という言葉をよく耳にしますが、そこまで行かなくても、なんとなく母親がうっとうしい。このまま「いい娘」でいることが、本当に幸せなのか……。そんな悩める女性に贈る一冊が、『逃げたい娘 諦めない母』。親の束縛から解放され、幸せに生きるための処方箋が詰まった本書から、一部を抜粋してお届けします。

自分を守る「壁」を築こう

 瑠衣は、母に会いたいと言われれば会い、留守電が入っていれば折り返します。そのうえで、極力自分のことは語らず、母の愚痴の聞き役に回ります。そうすることで母親の攻撃が弱まるのであれば、聞き役に徹するという対処法も有効でしょう。

iStock.com/gpointstudio

 ただ、聞き手にはストレスがたまり続けますし、黙って聞き続けることで相手がさらにエスカレートしていく場合もあります。母とは別の人生を生きる大人の女性として、娘もどこかで自分の主張をする必要があります。

 ここで忘れてはならないのは、母親は、論を尽くせば通じる相手ではないということです。瑠衣が、「どうして結婚をしないのか」という母の疑問に対して丁寧な説明を試みたものの玉砕したように、母親は、理屈で生きているわけではないからです。

 年頃の娘に対する母の言動は矛盾だらけといってもいいでしょう。多くの母親は一〇代の娘に恋愛禁止を言い渡し、二〇代の娘の彼に難癖をつけますが、三〇代の娘が結婚せず子供もいないというのは恥ずかしいと考えます。

 思春期には性の匂いのしない“いい子”として育てるものの、結婚適齢期が近づくと商品のように娘を売り出そうとし、結婚しない娘に対して人生を否定するような言葉をかける。その言動に論理の一貫性など見られません。多くの母親は自分の判断基準は社会的な常識や規範のうえに成り立っていると主張しますが、よく見ると自分にとって都合の良い常識に乗り換えているだけなのです。

 ですから、瑠衣のように母に対して自分のことを論理的に説明するのは無駄な試みといってもいいでしょう。それどころか、逆切れされたり、言葉尻をとらえた曲解をされたりするのがオチだからです。

 娘に必要なのは、論を尽くすことではありません。母親の介入から自分を守る壁を築くことです。特に“いい子”である娘は、「母が思い描くような幸せを実現してあげられない」という申し訳なさに追い込まれ、母との適正な距離を見失ってしまいがちです。母親が理不尽な言葉を投げかけてきたら、はっきりと、できないことや無理であることを断言し、一線を引く。妥協点を差し出すような話し方をしたり、そこに申し訳ないという気持ちを抱いたりする必要はありませんし、できないという事実に説明や理屈はいりません。

語尾を濁してはいけない

 断言をする際に大切なのは、情緒的な動揺を見せないことです。母親を傷つけたくないあまり、「できないかもね」とか「無理だと思う」と語尾を濁すと、いつまで経っても話が終わりません。母親は濁された語尾に娘の心の揺れを感じ、改心を迫ってきます。

iStock.com/SIphotography

 母に向かって断言をしたことがない“いい子”のあなたは、多少語尾が震えてしまうこともあるでしょう。しかし、語尾は震えても、あなたの心まで揺らしてはダメ。このラインまでは我慢してお付き合いできるけれど、ここから先は立ち入って欲しくはないという境界線を作り、自分自身で守っていくことが大切です。

 娘がはっきりと「ノー」を突き付けたとき、その瞬間は母は混乱し、時にパニックに陥るかもしれませんが、安心してください。母親は娘が思い悩むほどに傷つくことはありません。その証拠に、たとえばあなたのお母様は、

「パパは(あるいは息子は)何を言ってもダメなのよ。あの人はそういう人なの」

 などと言うことはありませんか?

 このように母親は、自分が何を言っても響かないと判断した人に対しては潔く撤退します。ですが娘に対しては、

「私が強く言えば言うことを聞くに決まっている。だってあの子の母親なのだから」

 と、どこまでも甘く考えている節があります。

 娘としてどうしても母の束縛が我慢ならないと思うのなら、勇気を持って喧嘩覚悟ではっきりと「ノー」を伝えることが大切。いっときの母親からの罵倒や泣き落としは覚悟しておくことです。頑張ってみましょう。喧嘩を避けるために妥協しながら話をしていると、いつまで経っても母との適正な距離を保つことができません。

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朝倉真弓

1994年、青山学院大学卒業。一般企業、出版社、編集プロダクションを経て、1999年にフリーランスライターとして独立。経営、起業、就職・転職、働き方などをテーマに、一般誌やビジネス誌、ウェブサイトなどで取材および執筆を手がける。実用書やビジネス書の分野では企画やブックライティングを数多く務め、ストーリー仕立ての書籍を得意とする。自著に『女子の幸福論』『たまらない女 ためられる女』『好き⇔お金 ネットで「やりたいこと」を「お金」に変える方法』『ストーリーでわかる! 今までで一番やさしい相続の本』がある。

信田さよ子

1946年、岐阜県生まれ。1969年、お茶の水女子大学文教育学部哲学科卒業。1973年、同大学大学院修士課程修了(児童学専攻)。1995年12月に原宿カウンセリングセンターを開設、所長として現在に至る。臨床心理士。著書に『依存症』『DVと虐待』『母が重くてたまらない―墓守娘の嘆き』『さよなら、お母さん―墓守娘が決断する時』『共依存』『カウンセラーは何を見ているか』『依存症臨床論』『アディクション臨床入門』など多数。

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