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名コラムニストが明かす、文章の「3つの基本」

2015.12.19 公開 ポスト

第2回

仕事ができる人は文章が書ける人です近藤勝重(コラムニスト、ジャーナリスト)

新聞や雑誌で長年健筆を振るい、端正な文章に定評があるコラムニスト・近藤勝重氏。早稲田大学大学院ではジャーナリズムコースの学生を相手に「文章表現」を教える授業を担当しています。そんな近藤氏が新刊『必ず書ける「3つが基本」の文章術』(幻冬舎新書)に自らのメソッドをまとめました。ここでは本書の内容を、試し読みとしてちょっとだけ公開いたします。
今回は本の冒頭部分、メディア志望の学生A君と近藤氏との文章問答をお読みください。

 

 

イチ、ニイのサンで文章力を
アップさせてください。

——「まえがき」に代えて

 A君が思い詰めたように言うのです。
「作文が下手なので、文章の本をいろいろ買ってきて読んでます。ブログもやっているんですが、上手に書けません。文章の本で上手になろうなんて無理なんでしょうか」
 A君はメディア志望の学生で、目下就職活動中とのことでした。
「上手下手は二の次にしていいんじゃないでしょうか」
 ぼくが言うと、A君はえっという顔をして、聞き返す口調になりました。
「文章の本って、上手に書けるようになるというのが売りなんじゃないんですか」
 ぼくは否定も肯定もせず、こう答えました。
「文章というと、すぐに上手下手が言われるけれど、その前に、というより、それ以上に心がけてほしいのは、何を、どう書くかです」
「何を、どう書くか……」
 返しにつぶやくA君を見て、言葉を続けました。
「まずは何を書くかですが、作文ですとやはり自らが体験したことで、かつ心に残っている印象の強い話でしょうね。夏目漱石の『虞美人草』に『あっと驚く時、始めて生きているなと気が付く』という言葉が出てきますが、『あっ体験』なら三重丸の題材です」
 A君はうなずいて、
「ありますよね、そういう体験って。誰かに言いたい、聞いてもらいたい。そういう話ですね」
「そう、そういう体験があると、面白おかしくしゃべってみせる人がいるでしょ。聞いてて、そのままいい作文になるなあって思うことがしばしばあります。そういうネタだと、話し方の上手下手に関係なく、みんなも耳を傾ける。作文やブログも、同様にみんなが興味を持って読んでくれる。そこに共感もある。それが大切なんですね」
 A君はメモを開いて何やら書き込み、続きの言葉を待つ顔になりました。

「次は何を、どう書くかの、どう書くかですが、もちろん書きたい! 話したい! という思いの強さは、文章をかなりの力で後押しして読み応えのある作品にしてくれます。でも、思いの強さだけでは限度がある。そこでどう書けばいいのか、なんですね」
 A君は大きくうなずいて、確認するようにつぶやいていました。
「何を書くか。体験ネタが一番。次はそのネタをどう書くか……」
 A君のつぶやきを引き取って、こう言いました。
「どう書くかで大切なのは、伝わるように書くということです。何より描写力が問われますね。それともう一点、どう組み立てるか、文章の構成も大切です。つまり文章は(1)何を書くか (2)どう書くか (3)どう構成するか——この『3つが基本』で、それぞれにコツがあるんです。ぼくは書く内容に応じてそれらのコツもすべて3つの要素で説明できます。それで自分では、必ず書ける『3つが基本』の文章術、と言ったりしています」

 本書はそんな調子でA君に話した内容を大幅に拡充して、作文や、就活時のエントリーシートのほか、ブログ記事・日記にも役立ち、職場での企画書、リポートなど、多種多様な分野での文章にも活用できるようにまとめたものです。2009年4月から早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース(通称、Jコース)で担当している「文章表現」の授業内容とも多少重なりますので、学生たちとの質疑応答も生かして「問題」も作ってみました。すぐに答えを見ないで考えてください。

 ちなみにぼくたちは「3」に絞った言い方をよくします。
 三大祭り/三羽ガラス/日本三景……
 この「3」が「4」や「5」だと何か広がりすぎて頭に入りにくいでしょうね。3つで十分、というよりその世界が端的にとらえられている感があって説得力があるのです。
 人間は問題解決法としてもホップ、ステップ、ジャンプとか、総論、各論、結論、あるいは優先順位をつけて(1)(2)(3)といった3段階3部構成で考えるところがあります。「三人寄れば文殊の知恵」や「三本の矢」「一体」などの言葉も、3つのものが1つに結実するという意味で、安定感のみならず、目指すものの完成度の高さを示唆しているように思われます。
 物事の初歩を「○○のイロハ」とか「○○のABC」とか言ったりもします。
 本書で紹介する「3つが基本」の文章術は、長年いろいろ書いてきて、ぼくなりに見出した最上、最強の法則です。文章を初歩のイロハから学びたいと思う人、あるいは一流の文章が書きたいと、さらに努力しようとしている人にもきっと役立つと確信しています。

 そして今日、仕事ができる人は文章が書ける人だ、とビジネスの世界でもよく言われていることを付け加えておきたいと思います。文章が書ける人はいろいろなことによく気づき、よく考えるからでしょうが、以下、本文で文章力と思考力がいかに深くかかわっているか、そんなことも併せて学んでいただければ幸いです。
 それでは始めましょう。文章は「3つが基本」、イチ、ニイのサンですよ。

 

第3回「村上春樹『ノルウェイの森』も基本は「3つ」――(1)何を書くか」
は、12月23日(水)公開予定です。

関連書籍

近藤勝重『必ず書ける「3つが基本」の文章術』

10万部突破のベストセラー『書くことが思いつかない人のための文章教室』著者が新たにおくる、一流の文章が書けるコツ。文章を書くのは苦手ですか?簡単に書くコツは「3つ」を意識すること。これだけで小論文や仕事の報告書、ブログ記事などどんな文章も短時間で、しかも他人が唸る内容に仕上げることができます。

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名コラムニストが明かす、文章の「3つの基本」

 長年健筆を振るってきた名コラムニストが、自らのメソッドを明かした新刊『必ず書ける「3つが基本」の文章術』。ここでは試し読みや著者からのメッセージなど、本書がより楽しめる情報をお届けします。

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近藤勝重 コラムニスト、ジャーナリスト

毎日新聞客員編集委員。早稲田大学政治経済学部卒業後の1969年毎日新聞社に入社。論説委員、「サンデー毎日」編集長、夕刊編集長、専門編集委員などを歴任。毎日新聞(大阪)の大人気企画「近藤流健康川柳」や「サンデー毎日」の「ラブ YOU 川柳」の選者を務め、選評コラムを書いている。10万部突破のベストセラー『書くことが思いつかない人のための文章教室』、『必ず書ける「3つが基本」の文章術』(ともに幻冬舎新書)など著書多数。長年MBS、TBSラジオの情報番組に出演する一方、早稲田大学大学院政治学研究科のジャーナリズムコースで「文章表現」を担当してきた。MBSラジオ「しあわせの五・七・五」などにレギュラー出演中。

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