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メモリークエスト2

2012.05.15 更新 ツイート

vol.268 ファイル040

空港のファーストフード店の超働き者の店員(シンガポール) 高野秀行

[お名前]西本久美子

[性別]女性

[欲しい記憶の時間]2001年8月

[国名]シンガポール

[都市名]シンガポール

[探して欲しい記憶の人名、物]空港のファーストフード店の超働き者の店員

[探してほしい記憶の人物の性別]男性

[探して欲しい記憶の詳細]

 バリ島を旅した際にトランジットで寄ったシンガポール空港で会ったファーストフード店の店員です。
 行きに寄ったときは深夜12時頃から私が出発する翌朝8時頃まで休みなく働いていましたが、深夜で店員が少ないなか、接客から店内の清掃まで1人でやっていて、めちゃめちゃ働き者でした(他の店員はダラダラしていました)。しかも見た目が長身の極細で弱弱しい感じだったのでとても印象的でした。
  もしかしたら帰りもいるかなと思いその店を覗いたところ、行きと同じようにめちゃめちゃ忙しそうに働いており、昼間から夕方にかけて休みなく働いていました。もしかしたら、私が行きに寄ったときから帰りに寄ったときまでの1週間、ずっと休憩を取らずに働き続けていたのではないかといまだに気になっております。普通に考えればそんなシフトで働くことは絶対ありえないのですが、あまりにも仕事熱心な姿だったのでもしかしたら思っております。
 高野先生であればこんなくだらないことでも確認していただけるのではないかと思い応募しました。よろしくお願いします。

 

 西本さんの依頼を読んで、学生時代に訪れた香港を思い出しました。香港人は銀行でもマクドナルドでもとにかくよく働いていました。それまで日本人は世界でいちばん働き者じゃないかと漠然と思っていたのに、彼らは私のような若者でも日本人の二倍速くらいで仕事をしている。しかも正確で動きに無駄がない。
 みんながそうなので少し怖くなってきたのですが、三日目くらいにふと適当なバスに乗って郊外に行き、歩き回っていたら、そこら中で雀卓をかきまわすジャラジャラした音が聞こえて、心から安堵しました。ああ、この人たちもずっとテキパキ働いているわけじゃないんだ、と。
 シンガポール空港のその店員も一心不乱に十数時間働いたあと、うちに帰ったら、麻雀三昧かもしれませんよ。今度、シンガポールに寄ったおりには訊ねてみますよ。

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メモリークエスト2

ふとした瞬間に思い出す、「あいつ、どうしてるかな?」という誰かや、「あれ、どこいったんだろう?」という何か。時を経て、それが「たぶんもう二度と会えない(見つからない)」ものになった時、その記憶は、甘美な思い出になったり淡い後悔になったりするのでしょう。あるいは、バカバカしすぎて思い出すだけでも笑ってしまうのかもしれません。ですが、それがあなたにとっての「大切な記憶」であるならば、「もう一度会いたい(見たい)」と思うのは当然です。甘美だろうと後悔だろうと笑ってしまうものだろうと、気になるものは気になる。長い人生における「一瞬の交錯」を、そのまま放っておくのはもったいないと思いませんか?自分で探しに行くのは現実的ではないかもしれません。でも、それを誰かが代わりにやってくれるとしたら――?

※本連載は旧Webサイト(Webマガジン幻冬舎)からの移行コンテンツです。幻冬舎plusでは2012/05/15のみの掲載となっております。

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高野秀行

一九六六年東京都生まれ。辺境作家。早稲田大学探検部在籍中に執筆した「幻獣ムベンベを追え」でデビュー。 『アジア新聞屋台村』『ワセダ三畳青春記』『腰痛探検家』(以上、集英社文庫)、『怪獣記』『西南シルクロードは密林に消える』(ともに講談社文庫)『世にも奇妙なマラソン大会』(本の雑誌社)、『イスラム飲酒紀行』(扶桑社)など著書多数。

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