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詩人のドバイ感覚紀行

2015.03.22 公開 ポスト

第3回

詩人、労働と祈りの町へ文月悠光

 幸福って何だろう。ドバイに滞在する中で、何度も自分自身に問いかけた。日本の評価軸は社会や他人の目。小さな集団の中で背比べを繰り返している。対してUAEの人々は、神(イスラム教)が何より大きな評価軸となる。彼らは「誰が見ていなくても、神さまが見ている」と信じて生きているのだ。たとえ人を恨むことがあっても、一日五回のお祈りでネガティブな感情をリセットする。UAEの詩人は、「祈りとは、精神と身体のバランスを取るもの。お祈りをした後、人々の心は晴れ、顔には光が宿ります」と語った。「人間が人といい関係を築けていたら、その人が神に愛されている証」なのだ。良好な人間関係さえ、神が握っていることに驚かされた。

 

宿泊したホテルのベランダから見えた建築現場。早朝から夕方まで工事が続く。
 

2015年1月30日

 到着から十二日目を迎えて、ようやくドバイの観光地以外の面が見えてきた。きっかけをくださったのは、ドバイの会社で都市計画に関わる小澤学さん、建築デザイナーの難波千帆さん。学さんの運転する車で、ドバイの裏側を巡ることになった。
 第1回に記した通り、ドバイに住む人の9割は外国人労働者。その多くが、貧しい家計を支えるために、家族を国に残してドバイに来る労働者たちだ。パキスタン人やインド人、フィリピン人などなど。建築現場や工場で働きはじめ、出世のチャンスを得た一部の人は、運転手などの稼ぎのいい職に転職する。販売員や家政婦(メイド)、観光ガイドなどのサービス業に就く人の中には、自国の大学を出ている人もいる。よい労働環境を求めて、ドバイへ出稼ぎに来る人は後を絶たない。

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文月悠光

詩人。1991年北海道生まれ、東京在住。高校3年の時に発表した第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(思潮社)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少で受賞。そのほかの詩集に『屋根よりも深々と』(思潮社)、『わたしたちの猫』(ナナロク社)。エッセイ集に『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)がある。NHK全国学校音楽コンクール課題曲の作詞、詩の朗読、詩作の講座を開くなど広く活動中。 Twitter:@luna_yumi

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