恋愛に期待しすぎていた
夏の暑さがピークアウトしたそうですね。
兼業文筆家であるわたくしも週に何度か会社に出社しているのですが、たしかに通勤の不快感が心待ちか下がったような……。
それでも自分の二の腕に視線を落とすと、これまでの太陽光でこんがり小麦色!
どうにかもとの肌色に戻ってくれと祈る今日この頃です。
ポッドキャスト「まわり道の愛し方」もうお聞きいただけたでしょうか?
月2回は配信したいとお伝えしていた本番組、スタートをどうにか盛り上げたいと気力を振り絞った結果、いまのところ週1更新を達成しております!
我ながらがんばっている!
内容から編集まで、パーソナリティふたりのDIYでお届けしているので、時間のやりくりに骨が折れるのですが……いろいろツールの使い方にも慣れてきて、40分の音声であれば1時間で編集できるようになりました。
回を追って効果音の入れ方や、フィラー(「あー」「えーと」「なんか」といった間投詞)の削除スキルも向上しているので、ぜひ聴いてみてください!
大人になると、新しいスキルを習得する機会ってなかなかないんですよね。独身だとなおさら。なので、ポッドキャストというチャレンジは、ミドサーの心身にとってもポジティブに働いているな〜と思います。鈴木綾という最高のバディとおしゃべりする機会が持ててるのも嬉しいしね!
すでに「ポッドキャスト聞いてます!」という声を聞くのもうれしい。再生数としては「ポッドキャスターLV.1」という感じなのですが、それは伸びしろがありまくるということ。毎週着実にフォロワーさんが増えていく喜び! 数字をあれこれ見ては、次のテーマ何にしようかなと考えています。
勉強もかねて読んでいるのが、Podcastプロデューサーの野村高文さんの本『プロ目線のPodcastのつくり方』。アテンションの奪い合いと化した現在のコンテンツ産業のなかで、ポッドキャストがどんな立ち位置かが語られています。
そのなかで強調されていたのが、ポッドキャストの「再生完了率」と「リピート率」。
「3つのメディア(ひらりさ注:動画、記事、ポッドキャスト)を比べたとき、ポッドキャストは発見されにくい代わりに、一度発見してもらえれば長く聴かれ続けるという特徴があります。これは現代の情報発信環境において、とても大きな意味を持ちます。/今の情報発信の世界は、ユーザーの「移り気」に支配されています。SNSで拡散した話題も、翌日には忘れられている。ショート動画では冒頭数秒で注意を引きつけられないと、アルゴリズムに評価されず、次から次へと出現する、新しいコンテンツの波の中へと消えていく。/そんなサイクルの中で、ポッドキャストは長く聴いてもらえる例外的な存在です。」
なるほど〜。自分はそこまで日常的に音声を聞くほうではないので、ここまでピンときていませんでしたが、「ポッドキャスト聞いてます!」と声かけてくださる方たちは、初対面でもすごく親近感を持ってコミュニケーションしてくれるなあと感じます。
もちろん、テキストという表現形態も大好き。ポッドキャストには強い即興性がありそれがメリットでもあります。しかし、深く真剣に、思考や美学を磨き上げて手渡したいとき、テキスト、とくに「本」というメディアにかなうものはないなあと思います。アテンションからも距離を取れますし、受け手に「問い」を手渡すことができるのも、紙の本だなあと思う。そのぶん、届け方が難しい世の中になっており、こうして、ポッドキャスト配信といった工夫をしているのでした。
というわけで、ポッドキャストの更新もしながらこの一ヶ月がんばっていたのは……7月に刊行した『いつか終わる恋愛の、人生への影響について』のプロモーション!
特に、本屋B&Bのトークイベントは大盛況。80名以上のお申し込みがありました(本当にありがとうございました!)

「他者も自分も愛する方法」と銘打った本イベント。だいたい、こんなトピックを語りました。
- 人と「恋愛」を語る意義
- 36歳。一年で変わったこと、変わらなかったこと
- 過去の自分や、20代の人に伝えたいこと
- 今だから思う、自分にとっての「幸せ」
- 恋愛で自覚する、己の「加害性」問題
- 複数の人を同時に愛したことはある?
- 大人になってからの自己肯定感の育み方
- 恋愛中の「時間」との向き合い方
10月16日までアーカイブ購入できますので、よかったら見てみてくださいませ!
どのテーマも盛り上がったのですが……会場で大きく反響があったと感じたのは、「過去の自分や、20代の人に伝えたいこと」でしょうか。
私からは、「一度の恋愛で人生を変えようとするな」というメッセージをお届けしました!

若い人たちに伝えたいことというか、自分向けの自戒が90パーセントなんですけどね……。
本の中でも書きましたが、恋愛って、大人が気軽に試行錯誤できる唯一の領域だと思うんですよね。だって30を過ぎるとそんなホイホイ転職するわけにはいかないし、人生なかなか変わらないじゃないですか。でも恋愛――パートナーを持つ・持たない、パートナーを変えるといった活動は、数ヶ月スパンでチューニングできるわけです。しかも現代社会ではそれを「マッチングアプリ」というツールが支えて、そのスピードを加速させている。容易に出会ったり別れたりできる、不安定なつながりであるとも言える一方で、「ガチャ」的な要素も強まっているんです。
インターネットでは最近マッチングアプリで恋人を探す行為が「ゴミ捨て場の中から砂金を見つける行為」と評されて話題になっていたのですが、これは、マッチングアプリを不毛な場所だと揶揄しているようで、「砂金に出会えば人生変わる」という期待を膨らませる表現でもありますよね。
私も20代の頃からマッチングアプリを続け、この10年はマッチングアプリでしか彼氏ができたことがありません。マッチングアプリに助けられながら生きてきた人生です。
だがしかし……この10年、恋愛に「期待」しすぎていた気がする。「恋愛で“砂金”に出会えば、自分の人生丸ごとがハッピーになる」という思い込みに毒されていました。
でもでも。よくよく考えたら、私を形作っている要素のうち、「恋愛」ってめちゃくちゃわずかだなと思ったんです。
あと、長年のパートナーいる人とか結婚している人とか子供がいる人であっても、別にそれだけがその人のアイデンティティではない。パートナーいる人のほうがパートナーいない人より絶対に幸せってことでもない。
ほかの独身の人たちのことを「かわいそう」と思ったことも「欠けている」と感じることも一度もない(本当に!)のに、なぜ自分のことだけは「恋愛してなくてまずい」「パートナーがいないなんて、自分はダメだ」と追い立ててしまうのだろう……。
特にこの一年は、パートナー探しに時間を割くあまり、自分の内面と外面を磨く行為がおろそかになっていたなあ……という自覚もありまして。
相手さえ見つければいいんだ!という思想に侵されていた自分に気づいたとき浮かんできた言葉が、「一度の恋愛で人生を変えようとするな」だったのでした。
そこに、鈴木綾が出してきたメッセージも、別角度で響くもので。
ご紹介しましょう!
「恋愛は画面で探すな。リアルで見つけろ。(URLよりIRL)」!!!

IRLというのは欧米圏のネットスラングで「In Real Life」の略なんだとか。
マッチングアプリを一度も使ったことがないという綾らしい内容!
しかしマッチングアプリで人生を変えようとしすぎていた自分に、これ以上なく響く言葉でした。
この他にも「鈴木綾が、ポリアモリー(複数愛)の気持ちがわかる理由」「ひらりさが、『チェンソーマン レゼ篇』について、恋愛心理の観点から熱く語るパート」などなど、ここでは語り尽くせない内容の詰まったイベントとなりました。
当日やって良かったなと思ったのは、来場者にアンケート用紙を配ったこと。私と綾の対話をきっかけに、ご自身の体験を打ち明けてくださった方がかなりいらっしゃり、非常に読み応えがありました。
往復書簡というコミュニケーション形式をもっと盛り上げていければなと思い、9月12日には幻冬舎本社での読書会イベントも開催予定。こちらもぜひお越しください!
いや〜、それにしても、「同じ本」や「同じテーマ」について考えている人たちが集まったイベントというのは、すごく、安心できる空間だな。著者である私自身、身に沁みて思いました。
やっぱりね、マッチングアプリって、無限に人と出会えますけど、そのぶん人を雑に扱うアクティビティなんですよね。マッチングアプリ向けのコミュニケーションはうまくなっていきますが、それ以外の筋力がどんどん落ちている感覚が、私にもありました。
新型コロナ禍だって終わったわけなのだから、もっと街に出て友人や知人を作ればいいんですよね。綾の言うとおりIRLで!
『いつか終わる恋愛の、人生への影響について』は、そうした、安心できる場や、真剣なコミュニケーションを作り出せる本だと思っています。引き続き、多くの人に手に取っていただけますように!
まわり道の愛し方

ひらりさ×鈴木綾によるポッドキャスト番組「まわり道の愛し方」連動連載エッセイ。
アイコンイラスト:WAKICO/題字:ニョグ











