使用機材〈RicohGR3,FujifilmXT30〉
四、五月に続き、関西、四国方面でのロケハンネタ、今回が最終回である。三カ月連続の旅物、トリは筆者が個人的に大好きな街、神戸の登場だ。
この街を訪れるのは、約七年ぶり。拙著『アンダークラス』(小学館文庫)の取材、その後のプロモーションで訪れて以来だ。
大阪、京都、奈良と関西にはいくつも大きな都市があり、それぞれに歓楽街が控え、美味い食べ物がある。そんな中でも、私は神戸がとりわけ好きなのだ。
実は、先に触れた『アンダークラス』は現在ドラマの撮影が進んでいて、同地もロケ先として選ばれていた。
ロケハン旅のラストに神戸に立ち寄り、同作を創作した頃の風景、そして実際に撮影クルーが訪れた場所を見て、ガラにもなく感慨に浸ろうという趣向だ。
なぜ神戸が気に入り、作品にも登場させたのか。特に深い意味はなかったのだが、一番影響したのが地元民と私のような余所者の距離感だったように思う。
大阪は距離が近すぎ、京都は中々懐に入れてもらえない(あくまで個人の感想です)。だが、神戸は違う。港町特有の〈来る者拒まず、去る者追わず〉の空気感が、私のような旅好きには心地良いのだ。
例えば、常連さんばかりの小さな居酒屋でも、神戸ならすんなり受け入れてくれる。同じような空気を感じた街があったと考えていると、それは横浜だった。こちらも港町であり、幕末から海外の人間、文化を受け入れてきた歴史がある。神戸、横浜とそれぞれの港町で飲み食いしても、余所者にとって壁が低い一方で、ベタベタされすぎない感じが好きなのだ。
さて、三宮の安宿に旅の荷物を放り込んだあとは、街歩きスタート。長いアーケード街、高架下の商店街は以前と変わらず人通りが多い。
地元のパン屋さん、鞄店に衣料品店が軒を連ねている。三宮からお隣の元町までそぞろ歩き、目的の一軒を目指した。
行き着いた先は、元町駅前にある穴門(あなもん)商店街にある老舗の餃子店だ。メニューは餃子とビールのみ。手仕込みの餃子はフワフワの食感で、特製の味噌ダレで食す。タレに酢を加えると、餃子が飲み物のように胃の中に流れていくから不思議だ。ただし、狭い店内故、長居は禁物(常に行列ができる老舗)。
軽く腹を満たしたあとは、元町をさらに西方向へと歩き続け、小径にある居酒屋や喫茶店、バーを眺めていく。
ああ、大人になって良かった。新潟で生まれ育った田舎者が、おしゃれな神戸で飲み歩きしているよ、などと考えているうちに、気になるお店を見つけた。
先月触れた高松と同様、私はこういうタイミングではグルメサイト等を検索するほど野暮じゃない。己の感性を信じて入店し、ここでも大当たりを引いた。
入ったお店は、中国南部の海南地方、そして本格的な香港料理を出すお店だった(中華街の南京町ではない)。もちろん店主さんや女将さんは中国の方々で、お客も神戸在住の同郷人たちが中心。格安のお値段で本格的な飲茶類をいただいた。
ふらりと立ち寄れる異国の料理店、そして余所者が肩肘張らず酒が飲める懐の深い街、それが私がお気に入りの神戸なのだ。
翌朝、東京に戻る直前のこと。いつも楽しみにしていた朝粥専門店がまさかの臨時休業だと知った。ただし、これで折れるような私ではない。三宮高架下の地元パン屋に直行し、大好きな惣菜パンをゲットした。
今度はいつ神戸に寄せてもらおうか。
勝手に!裏ゲーテ 街場の旨いメシとBar

食い意地と物欲は右に出るものがいない作家・相場英雄が教える、とっておきの街場メシ&気取らないのに光るBar。高いカネを出さずとも世の中に旨いものはある!
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