大事な本番で緊張してしまう。頑張っているのに結果が出ない――その原因は、気づかないうちに心と体に生じた「力み」にあるかもしれません。心身統一合氣道会会長・藤平信一が、姿勢・呼吸・意識を整え、本来の力を120%引き出す心得を伝える『力を抜く練習 動じない自分の養い方』が2026年4月22日に発売されました。
ロサンゼルス・ドジャースの若手選手指導でも実践された知見をもとに、緊張に負けない心身の整え方を解説した本書から、「まえがき」をご紹介します。
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まえがき──持てる力を最大限に引き出すために
「力を抜く練習」というタイトルを見て、皆さんはどう思われたでしょうか。
「なぜ力を抜く必要があるのか?」「力を抜いたら勝負に勝てないのでは?」──そう感じたとしたら、ある意味で正しい反応と言えます。なぜなら、世の中の多くの場所では「力を入れればパワーが出る」「頑張れば報われる」と信じられているからです。
しかし、現実にはどうでしょうか。大事な場面で力んで失敗したり、一所懸命に努力しているはずなのに空回りしてしまったり。そんな経験は誰にでもあるはずです。実は、本来の能力を発揮できない最大の原因は、この「余分な力み」にあります。

私は、大リーグのロサンゼルス・ドジャースで三年間、若手有望選手の指導にあたったことがあります。彼らは身体能力と才能に恵まれた精鋭たちですが、メジャー昇格を目指して誰もが必死でした。「ここで結果を出さなければ」という気負いは、知らず知らずのうちに体に力みを生じさせ、意識を上ずらせます。
試しに、屈強な彼らの肩を軽く押してみると、驚くほど簡単にぐらついてしまいます。力みがあるために、正しく立つことができなくなっていたのです。この状態では、どれほどスイング速度を上げようとしてもバットは速く振れず、力めば力むほどパフォーマンスは低下し、最悪の場合は故障を招いてしまいます。
ドジャースが、合氣道を教える私に指導を依頼したのはこのためでした。余分な力を手放し、心身の正しい使い方を身につけることで、彼らが秘めている「可能性」を存分に引き出してほしい、という要望だったのです。

私は現在、心身統一合氣道会の会長として、師であり父でもある藤平光一の教えを継承しています。私たちが日々行っている稽古は、相手を投げることだけを目的としたものではありません。「どうすれば人間が本来持っている能力をいかんなく発揮できるか」に主眼を置いています。その鍵を握るのが、本書のテーマである「力を抜く」ことです。そしてそれを支えるのが、「氣」の働きです。
「力を抜く」ことは、単に「虚脱状態」になることではありません。自然な姿勢を確認し、心を「臍下の一点」に静めることで、いかなる変化にも柔軟に対応できる「真のやわらかさ」を手に入れられるのです。それこそが真の意味で「力を抜く」ことであり、それはまた、正しく力を出すための土台を作ることでもあります。
本書では、様々な話題や異なる角度から、私たちが無意識に抱え込んでいる「力み」の正体を知り、心と体の両面から本来の健やかさを取り戻していくための取り組みを提示しています。これらは、アスリートやビジネスリーダーだけでなく、日々を懸命に生きるすべての方に役立てていただけるものです。

これまで「頑張っているのにうまくいかない」と悩んできた方、あるいは「こうあるべきだ」という硬い思考に縛られてきた方にこそ、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。
本書があなたの心身が軽くなる一助になることを願っています。余分な力みが消えたとき、あなた本来の姿となるはずです。
藤平信一
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力を抜く練習

「大事な本番で緊張してしまう」「頑張っているのに結果が出ない」
――その原因は、気づかないうちに心と体に生じた「力み」にある。
「力を入れればパワーが出る」「頑張れば報われる」と考えられがちだが、実際には、力めば力むほど本来の能力を発揮できなくなることも少なくない。
本書は、合氣道の思想と体の使い方をベースに、姿勢・呼吸・意識を整えながら、余分な力を抜いて本来の力を最大限に引き出す方法をわかりやすく解説。
アスリートや経営者だけでなく、日々の仕事や人間関係のなかで、しなやかに結果を出したいすべての人に役立つ一冊。
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