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カレー沢薫の廃人日記 ~オタク沼地獄~

2026.03.27 公開 ポスト

パペットスンスン好きが考える飲食店コラボの良いところ微妙なところカレー沢薫

急にパペットスンスンのことが好きになってしまい、写経のようにスンスンを描く日々を送っていたが、ちょうど某回転すしチェーンとスンスンがコラボをおこなっていたため、行ってきた。

地方民にとって、こういうコラボは当該チェーン店が県内にない時点で解散してしまう確率が5割を超えているため、ちょうどハマったタイミングでコラボがはじまり、その店が近くにあるというのは相当運が良い。

ちなみに「コラボカフェ」などは心のミュート登録にしているため、最初から耳に入らない。

地方のオタクはpixivプレミアム上限を超えるミュートワードを己に設定することで何とか正気を保っていられるのだ。

しかし解散率の高さを除けば、飲食店とのコラボというのはありがたいシステムだ。

特にライトファンや、私のように「大切にできないから最初から持たない」という悲しきモンスター理論でグッズは集めないファンにとってはありがたい。

そこまで積極的にグッズを集めてないファンにとっては「グッズだけを買いに行く」というのは少々敷居が高い。

それが飲食店とコラボすることで「飯を食うついでにグッズがもらえる」になるのだ。

飯は人間にとって必須だ、どうせ食わなきゃいけない飯ならついでに推しのグッズがもらえる店にでも行ってみるかという気になりやすい。

毎日必ず数回はある人間の必須イベントに併せてきている、という意味で飲食を越えるのは、もはや「便所コラボ」以外ないだろう。

また飲食店とコラボしてくれることで、他人を誘いやすくなる、というのもある。

スンスンとすし屋のコラボは第二弾まであったのだが、2回とも夫が同行してくれている。

これは夫もスンスンファンだからというわけではない。

一応夫にもスンスンの動画を見せるなどして布教したのだが、会社員のくせに精神への負荷が足りていないせいか刺さらなかったようで「40年ぐらい前にNHKでやっていた粘土が動くアニメは好きだったんだが」等のあやふやなことを言い出して怖かった。

だが、スンスンは刺さっていなくても「寿司」に関しては昔から刺さって抜けてないため、回転すしを食いに行こうと誘ったらすぐついてきたし、その2週間後にまた同じ店に回転すし食いに行こうと誘ってもついてきた。

これが「スンスンコラボグッズ買いに行こう」だったら最初からついてこなかった可能性大だ。

同行者など求めず1人で行けばいいと思うかもしれないが、こういう場ではコラボメニューをたくさん頼めた方がグッズもたくさん入手できるので、頭数が多い方が有利なのだ。

結果からいうと夫はコラボメニューを1個も頼んでくれず、エンガワを4皿ぐらい食っていて怖かったが、私のような高齢ライトファンにとっては同伴がいるだけでも助かる。

元々収集癖がないため、入手したグッズについては有効な利用方法も特に思い浮かばず「なくさない汚さない」という、極めて低いスローガンで保管していくしかないのだが、グッズと寿司の写真をSNSに上げたり、推し活らしいことができて楽しかった。

参加しやすい、という意味で助かる飲食店とのコラボだが、もちろん欠点もある。

私のように、寿司にグッズがついてくる程度のスイート認識なら良いが、グッズに寿司がついてくるとなれば話が変わってくる。

グッズだけが目的の者にはそもそも寿司が不要であり、コンプを目指そうと思ったら大量の寿司を購入することになり、寿司の処遇に困ることにもなる。

これが高じて、ポケモソとコラボしたハンバーガーが大量に廃棄されるというアンハッピーセットなことが起きていた。

頼んだからには完食するのはモラルだ、そうなると推しが好みでない飲食物とコラボした時困ることになる。

今回はたまたま回転すしとコラボだったため、喜び勇んで向かったが、これが昆虫食コラボとかだったら見送っていたかもしれない。

そうなるとやはり「同行者」の存在がキーになってくる、自分はあまり昆虫を食べられなくても、昆虫好きを連れて行けばウィンウィンだ。

残念ながら私にそのような人脈はないため、飲食コラボは自分が食える範囲でしか参加できない。

推し活ですら人望で差がつくかと思うと暗澹たる気持ちだが、それが「無理のない範囲での推し活」というものなのかもしれない。

スンスンコラボのメニューについては概ねおいしく食べたのだが「マグロ7貫盛」だけは少し重かった。

エンガワを8貫ぐらい食っている奴の隣で弱音を吐くのも良くないが、量の問題ではなく、いろいろな物を食えるのが売りの回転すしで、マグロだけを連続7貫食うのは若干思うところがあった。

もしかしたらこのメニューはみんなでシェアすることを想定しているのかもしれない。

だとしたらまたしてもこちらの人望不足が原因だが、コラボメニューであるならば、グッズのためだけに単身参戦する奴も結構いる、ということも想定していただければとも思う。

 

関連書籍

カレー沢薫『人生で大事なことはみんなガチャから学んだ』

引きこもり漫画家の唯一の楽しみはソシャゲのガチャ。推しキャラ「へし切長谷部」「土方歳三」を出そうと今日も金をひねり出すが、当然足りないのでババア殿にもらった10万円を突っ込むかどうか悩む日々。と、ただのオタク話かと思いきや、廃課金ライフを通して夫婦や人生の妙も見えてきた。くだらないけど意外と深い抱腹絶倒コラム。

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カレー沢薫

漫画家。エッセイスト。「コミック・モーニング」連載のネコ漫画『クレムリン』(全7巻・モーニングKC)でデビュー。 エッセイ作品に『負ける技術』『もっと負ける技術』『負ける言葉365』(ともに講談社文庫)、『ブスの本懐』(太田出版)がある。

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