日本の歴史を、面白く読ませるといえば、房野史典さん。『13歳のきみと、戦国時代の「戦」の話をしよう。』は、いまだに増刷を続けるロングヒット作品ですが、このたび新連載がスタートすることに。
歴史というのは、常に、何かしらの”事件”が起こると、大きく動いていきます。今回はそんな”事件”から歴史を理解していきます。ということで、初回は、超・大昔に飛びます!
* * *
どうも、ブロードキャスト!! 房野と申します。
こちら、歴史上の有名な事件をかみくだいて解説していく連載です。が、まずはその事件にいたるまでの、歴史の大まかな流れをブワーっと説明させてもらっていいですか?
では、参ります。
46億年前に地球が誕生し、約700万年前に最初の人類(猿人)がアフリカで爆誕します。
さ、ここから人類の「歴史」を語っていきたいところなんだけど。
「歴史」ってのは、
”文字で記録された人間社会の移り変わり”
の事で、人類が文字を使用する前、「歴史(有史)」以前の時代は
「先史時代」と呼ばれてるんですね。
さっき言ったとおり、この連載で取り扱うのは「”歴史”上の有名な事件」でございます。なので、「先史時代」のことはサラッといきます。
いきます、が。
人が文字を作り出したのが数千年前。ってことは、人類誕生から、ほとんどすべての期間が「先史時代」になるわけですね。だから、
「数百万年間『先史時代』がありました。はい、次!」
とやっつけることも可能っちゃ可能なんだけど……
それって少し雑で、なんか「先史時代」に悪い気がしない?(しねぇか)
しかし、もう少し細かく”時代区分された名前”がないと、学びにくいのは事実ですよね。
でも、文字もないような時代に、どうやって名前なんか……。大丈夫、文字がないならね、”道具”を見ればいいんです。
人類は、猿人から原人へと進化していくなかで、石を打ち欠いてつくった”打製石器”ってもんを使い始めてるんですね。
そう、先史時代の中でも、この打製石器を使って、狩って、猟って、採って、集めていた(狩猟採集生活)時代には、
『旧石器時代』
という分かりやすい名前がついてるんです。
もっと言うと、道具もなけりゃ、人類さえいなかった超超大昔にも、時代を分ける名前がついてるんですよ。
聞いたことあると思います。恐竜が活躍した『ジュラ紀』や『白亜紀』って時代の名前を。
これは、地層や岩石を研究する「地質学」という学問の観点からつけられた名前なんですね。
だからね、実は旧石器時代も、「地質学」的に言えば違う名前になるんですよ。その名も、
『新生代第四紀の前半”更新世”』。
新入生四学期の前半浪人生? いったい何の話だ。ほんで、名前がジュラ紀とかに比べて可愛げねぇな。と、げんなりしたあなたも、この時代の別の呼び名、
『氷河時代』
ってのは、どうです? 耳にしたことありません? 一言で言えば「おい寒すぎんだろ」という時代のことですわね。
ただね、ずっと寒いわけじゃありません。
”氷期(寒すぎ期間)”と”間氷期(わりと暖かいねぇ期間)”を、何万年というサイクルで繰り返しているのが氷河時代。
氷期になると雪がとけずに固まって、陸にどでかい氷を作っちまう。そうなると、水が海に流れていきませんよね。海面がグググっと下がるわけですよ。
その結果、なんと日本は、ユーラシア大陸と陸続きにつながっていて、北からはマンモス、南からはナウマンゾウなどか遊びに来てたんです(いらっしゃい)。そう、日本は島ではなかった、と、いうところで、とんでもねぇ事件が起こります。

日本、大陸から離れます。
そ、”氷期”が終わったの。
《あったかくなって氷溶ける→水が海に流れ込む→海面上昇→大陸にバイバイ》
はい、これで”日本列島”完成(およそ1万年前の出来事)。
あったかくなれば環境が変わります。ナウマンゾウなどの大型動物がいなくなり、シカやイノシシなんかの小型動物が増え、植物もわんさかわんさか。
それにより人間の道具もアップデートされ、すばしっこい動物をしとめるための”弓矢”、石を磨いてつくった”磨製石器”が登場し、さらには、魚や植物の煮炊き用に”縄文土器”なんてものが開発されたこの時代が、
『縄文時代』
でございます。
しかしこのときの日本、よっぽど食料が豊富だったんでしょうね。ふつう、狩猟採集民は動物や植物を追い求めて、移動生活を送るんです。ところが、縄文人は一か所に長く住み続ける”定住生活”を送っていて、これ、世界的に見てかなりのレアケースなんですよ。
なんてこと言ってたら、ここでまたまた大事件。
日本に「稲作」がやってきます。
中国や朝鮮半島から稲作がやってきて、米作りがスタート。食料を”生産”するようになるんですね。
そんで、少し遅れて青銅器・鉄器も入ってきたもんだから、日本人のライフスタイルは激変。伝来に次ぐ伝来があったこの時代が、
『弥生時代』
です。

しかし、何かを得ようとするならそれと同等の代価が必要です(by エドワード・エルリック)。
蓄えた米や土地をめぐって、集落と集落の間で”争いが生まれるんです”(悲しいね)。
戦いが起これば、当然勝ち負けも発生します。強い集落は周辺の集落を従えるようになり、やがて"クニ"と呼ばれるまとまりが現れちゃう。
このころ倭(日本)には100あまりの国(クニ)があった。と、中国の歴史書・『漢書』地理誌には書かれています。
日本はそこから、中国の歴史書(『後漢書』東夷伝や『魏志』倭人伝)に、ちょこちょこと顔をのぞかせるようになるんですが、ここで、僕らが出会う最初の有名人が登場。彼女の名は、”卑弥呼”です。
『魏志』倭人伝には、
「倭国には「邪馬台国」を中心とする30くらいの国の連合があって、そこの女王の名が卑弥呼ってんだ」とか
「卑弥呼! 貢ぎ物をおくってくるなんて素晴らしいぞ! お返しに金印と『親魏倭王』って称号をあげる!」
なんてことが書かれてるんですね。

ちなみに、中国の皇帝に、周りの国々が貢ぎ物を持ってやってくることを「朝貢」といって、
そのお返しに、皇帝が朝貢にきた国のトップに豪華な品物を与え、その国の王に任命することを「冊封」っていったんです(このあとも出てくるキーワードね)。
ようやく、日本にも大河な物語が芽吹き始めた……はずだったのに、卑弥呼が亡くなってしばらくすると、やってくるのさ大事件。
日本、歴史から消えます(どゆこと?)。
なんと、中国の歴史書から日本に関する記述が消えるんです。しかも約150年間も。
ん? じゃあ日本の歴史書を見ればよくない? それはむり。なんで?
だって、日本にはまだ歴史書はおろか、文字がないんだもん(日本で漢字が本格的に使用されるのは5世紀ごろ。諸説ありだけど)。
でもみんな、諦めないで(別に落ち込んでないでしょうが)。
「文字がなくとも墓育つ」ってことわざ。そんなもんはマジでないんだけど、このころ「古墳」ていう、墓のラスボスみたいなのが誕生してるんですね(”前方後円墳”など)。
墓がデカいってさ、ぜったい権力者の墓だよ。しかもさ、古墳が出現し始めた時期にさ、規模の大きいものが奈良(大和)に集中しててさ、やがてそれが東西に拡がりを見せてるんだよね、って言ってました。誰かが。
どうやら、大和地方を中心とした勢力によって、”各地域の王”(首長、豪族)が結集した政治組織がつくられていたぞ。ってことがわかり、その政治連合には「ヤマト政権」という名前がつけられるんです。
そしてその盟主(同盟の中心となる人)は、やがて「大王」という名で呼ばれ、その称号はのちに「天皇」に改められるんですね。
てことで、その始まりに謎が多すぎる、
『古墳時代』
に突入です。

さて、ここからの日本はプチグローバル。
この当時、朝鮮半島は、「高句麗」、「百済」、「新羅」、「加耶諸国」という4つのまとまりに分かれていて、
中国も5世紀から6世紀にかけて、「北朝(北魏)」と「南朝(宋)」という2つの王朝に分かれていたんだけど、日本はこれらの国々とバチバチに絡んでいきます。
ヤマト政権の大王は、「加耶諸国」や「百済」と仲良くしたり、「高句麗」や「新羅」と戦ったりしながら、
「中国の権威を借りて、朝鮮半島の国々に対して有利な立場に立つぞ!」
と、中国の「南朝」にはたびたび朝貢してるんですね。
なんか、争いの匂いがするでしょ? そう、古墳時代の東アジアでは、いくつも戦いが起こってるんですよ。
んで、そんな戦乱の影響もあって、朝鮮半島から日本に移り住む人が出てきたんですが、こういった人たちを「渡来人」といったんです。
渡来人は、仏教、儒教、漢字、機織り、鉄の生産、馬の飼育、灌漑(田畑に水を引いて、耕作地をうるおすこと)など、最先端の技術! 文化! を日本に運んでくれた上に、彼ら自身もヤマト政権の中で重要なお仕事を担うようになるんですね(財政管理や外交文書の作成などなど)。
そんな渡来人を配下に従え、ヤマト政権の中で急速に力をつけてきた豪族がいました。ご紹介しましょう、”蘇我氏”という人たちです。
元祖・蘇我氏の蘇我稲目は、娘2人を大王のキサキ(妻)にして、蘇我氏の血を引く大王・王子・王女を何人も誕生させるし、
稲目の息子・馬子は、ライバルの物部氏や、対立した大王までぶっ倒して無双状態。
やがて、蘇我氏とどっぷり血のつながった”推古天皇(”天皇”の称号が使われ始めた時期には諸説ありますが、わかりやすさ優先で用いてまいります)”、”聖徳太子”が登場し、蘇我馬子を加わえた3人で政治を動かすようになった、このころからが
『飛鳥時代』
でございます(奈良の”飛鳥”に宮(天皇の住むところ)が置かれたので)。
そのころ中国では、分裂していた中華をおよそ300年ぶりに統一した「隋」という王朝が誕生し、日本は隋に使者を派遣します。しかし、隋の皇帝から
「そっちの政治のやり方、変じゃね?」
と指摘され、
「やば、うちらの政治や文化遅れてるわ……」
となった3人は、
個人の能力に応じて役人をランク分けした「冠位十二階」や、儒教や仏教の考えを取り入れた道徳的教え「十七条の憲法」をつくって政治システムを整え、2回目の遣隋使(小野妹子)を派遣。だけど今度は、
「お前らが持参した文書の中に『日出処(日本)の天子』ってあるけど、”天子”ってのは中国の皇帝しか使っちゃダメなんだよ!!」
と、ブチギレられます。
いや~一筋縄じゃいかない。外国との付き合いって大変だなぁと外を見ていたら、国内で起こっちゃうんですね。古代史史上最大の
大クーデターが。
(次回につづく)
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