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彼方からの手紙

2026.01.28 公開 ポスト

年末、年始清水ミチコ/光浦靖子

25年の11月、12月はお世話になりました。何度もご馳走になりまして。中華にイタリアンに、全て大変美味しゅうございました。

帰国中はなんらかの手続き、病院巡り、仕事などで結局バタバタでした。バタバタするから、と滞在期間を2ヶ月に伸ばしても結局バタバタです。時間を延ばせばいいという問題ではなく、日本滞在そのものがバタバタというモノなのかもしれません。

ただバタバタしていたことで、今回、服は二枚買っただけでした。何度も言いますが、バンクーバーにオシャレな服は売っていません(個人の感想)。なので、必要に駆られない限り、服を買うことはありません。1年に1回のこの帰国が、お洋服ショッピングが楽しみなんですが……。

 

東京の街が変わっていて困りました。昔よく行っていた服屋が建物ごとなくなっているなんてざらで。渋谷の変わり様はなんですか。電車を乗り換えるのに30分もかかりました。一度入ったら出られない、蟻地獄ならぬ、ありゃ駅ビル地獄ですよ。全然、便利でないです。5年ぶりに代官山に行ったんですね。知ってる店はおろか、服屋そのものを見つけられませんでした。服屋が減りました? 元々、ひどい方向音痴で、勘で進むと地味な方、地味な方に向かうという特殊能力を持っているので、服屋を探してただ住宅街を彷徨う、そんな感じで半日終わりました。

一昨年、去年と秋に本を出版したので、その宣伝で日本に帰国したので、なんだか夏に野沢直子さんが出稼ぎに来て、秋には私が出稼ぎに来る、と思っている、テレビにちょろっと出てがっぽり稼いでいいなぁ、と勘違いなさっている国民の方々が多いようです。がっぽりなんてほど遠い。これは出稼ぎではなく、出トントンです。

野沢さんを見てて私も勝手に、交通費や宿泊費は事務所かテレビ局が出してくれてるのかなぁ、なんて思ってました。だって毎年、楽しそうにやって来て、楽しそうに帰って行くじゃないですか。なんつーの、悲壮感とか、生活の疲れが一切見えないじゃないですか。で、自分が出稼ぎ(便宜上、出稼ぎとしますが)をするようになって知ったんですが、交通費も宿泊費も一円たりとも出ないんですね。全て自分持ちなんですね。今、飛行機代も宿泊代も高騰しまくりです。知り合いの家を転々とさせてもらったとはいえ(多少の心付け)、何より、2ヶ月間空き家にしているバンクーバーのアパートメントの家賃が痛い。高すぎる。カナダの携帯もwifiも使わないのに、家の保険料だって引き落とされるし、日本での必要不可欠の病院巡りだってお金かかるし、便利で安い100均の爆買いも必要不可欠だし、日持ちのする乾物の爆買いも必要不可欠だし……野沢さんが気楽そうに見えるのは、ただのパーソナリティだったんですね。

今回の帰国ではジーンズ1本と、ワンピースを1着買いました。ワンピースはTOGAです。知ってます? 最近、椿鬼奴さんの私服がオシャレになってるの。驚いちゃって。結構素敵なもん、身につけてるんですよ。「あ、そのシャツオシャレだね」「あ、これTOGAです」。別日「あ、その靴オシャレだね」「これTOGAです」。別日「あ、そのパンツオシャレだね」「これTOGAです」。で、「靖子さんはTOGAが好きなんですよ。近々TOGAのファミリーセールがあるんですけど行きます?」と連れて行ってくれたのでした。オシャレなワンピをすんげぇお得に買えました。超ラッキーでした。

ちょうど日本に滞在中、カナダの友人が東京に旅行に来ていたんです。で、一緒に食事した時にこのワンピースを着て行ったんです。仕事帰りだったので、メイクもした状態で。バンクーバーではいつもスウェットでノーメークです(私が特別でなくみんなそんな感じです)。美容院も3ヶ月に1回くらいで、なんなら自分で文房具の鋏で切ってます。初めは前髪だけでしたが、横も、こないだは見えない後ろまで適当に切ってみました。概ね上手にできたんですけど、いつも寝癖みたいに左側がはねるんですねぇ。バンクーバーではそんな感じですから、友人が私を見るなり言いました。「Look at you!!」と。意味は「おいおい、なんだよ。どうしちゃったんだよ。オシャレじゃねーか」そんな感じです。「これが東京ではデフォルトでしてよ」そう答えておきました。

あ、カナダに戻る寸前に清水さんと青木さやかと撮ったYouTubeが久々に10万回再生になりました。ありがとうございました。ただしゃべってるだけですから編集も楽だし、日本語だから字幕もつけなくていいし、非常にコスパのいい物でした。YouTubeって難しいです。私はコンピューターが苦手なのに自分で編集してますでしょう? 本当に時間がかかります。正月にグアテマラのティカルというところへマヤ遺跡を見に行ったんですね。その時の模様をあげたんです。3日ほど費やしてできたVは、たったの1500回再生でした。世間の求めるものが全くわかりません。

先日、私のYouTubeに出てくれたデビット(カナダ人)に会いました、デビは日本で働いていたこともあり、日本語が話せます。以前は「ヤスコさん、最近、煎餅作りにハマってんだ。これをYouTubeにしない?」なんて言ってたのに、先日会った時言われました。「ヤスコさんのYouTubeはつまらない」と。はあ? 唐突になんだ? デビの日本語が英語訛りでなかったら、少しの可愛らしさを残してなかったらブチギレていたところでしょう。「じゃ、どんな企画をしたらいい?」と聞いたら「何もない。ただの時間と労力の無駄」とハッキリ言いました。英語訛りでなかったらブチギレていたでしょう。私は「代替案もなしに否定だけするのはクソのやることだぞ」と返しました。デビは「そうそう。そうやって怒るのを映せば?」とふざけたので、その場で帰りました。英語訛りでなかったらブチギレていたところでした。え? 十分ブチギレてるですって?

その夜、デビからどえらい長い謝罪文が届きました。自分は人の気持ちを推し量ることができず、傷つけてしまうことがある、だから友達が少ない、自分の仕事がうまくいっておらずあたってしまった、などなど、日本語で書いてありました。「本当にごめんなさい。やそこさん」と。
「名前間違っとるわ!」と返信しておきました。

【靖子の近況】

ティカルの遺跡の上から見た初日の出

関連書籍

清水ミチコ『カニカマ人生論』

すぐに「気負け」して泣いてしまう少女の頃の笑えて切ない思い出。永六輔さん、タモリさんはじめたくさんの大切な人たちとの巡り逢い。自分の弱さやセコさにぶち当たりながらも、日常の些細な面白みを慈しみつつ、「若い頃よりクヨクヨしなくなった」と思えるようになるまでの様々な出来事。武道館を沸かせる国民の叔母(自称)の、自伝エッセイ。

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彼方からの手紙

清水ミチコさんと光浦靖子さんが月1回手紙を送りあうリレーエッセイ

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清水ミチコ

岐阜県高山市出身。1986年渋谷ジァンジァンにて初ライブ。1987年『笑っていいとも!』レギュラーとして全国区デビュー、同年12月発売『幸せの骨頂』でCDデビュー。以後、独特のモノマネと上質な音楽パロディで注目され、テレビ、ラジオ、映画、エッセイ、CD制作等、幅広い分野で活躍中。著書に『主婦と演芸』『「芸」と「能」』(共に幻冬舎)、『顔マネ辞典』(宝島社)、CDに『趣味の演芸』(ソニーミュージック)、DVDに『私という他人』(ソニーミュージック)などがある。

光浦靖子

1971年生まれ。愛知県出身。幼なじみの大久保佳代子と「オアシズ」を結成。テレビやラジオで活躍する一方、手芸作家、文筆家としても活動。著書に『『50歳になりまして』『お前より私のほうが繊細だぞ!』『傷なめクラブ』など多数。2021年8月よりカナダに留学。現在は、就労ビザを取得し、カナダで生活を続けている。(写真:山崎智世)

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