2021年に一度、「情熱大陸」というタイトルでコラムを書いておりまして。それは初めて葉加瀬太郎さんのコンサートに行った時のお話。なので今回は“-ホンモノ-”というサブタイトルをつけさせていただきました。そうです。“ホンモノ”の『情熱大陸』に密着していただいたのです。
最初にお声がけいただいた時は、「いやいやいや」と。だって私ですよ? 何か撮るところありますか? いいえ、ありません。ん-、何て言うんでしょう。毎日、起きる→仕事行く→帰る→寝る→起きる→仕事行く→帰る→寝る……が延々と繰り返されるだけの私の生活。いわば“変わり映え”しない毎日。そこに時々、仕事行く→大久保さんちに寄る→飲む→パコ美撫でまわす→帰る→寝る、になることもあるけれど。まあそんな生活だと、もし撮っていただいたとしても、何かしらの演出、ほんの少しでもドラマチックになるよう、大なり小なり編集マジックを足したくなるに違いない。でもそうなったらもう“密着”の意味がない。そのくらい“変わり映え”がどこ探してもないのです。しかもですよ?『情熱大陸』と言ったら、大好きな葉加瀬太郎さまのあの名曲たちがかかるわけですよ。自分の生活にあの曲がのっかったところを想像してみましたが、もちろんやっぱり「いやいやいや」です。とんでもない。
でもこうやってお声がけしていただいているのも何かのご縁。まずは一度、ご連絡をくださっているディレクターさんとお会いしてみることに。昨年7月はじめ、都内のレンタル会議室で待ち合わせをした。ディレクターさんはお一人でいらしておりました。見た目は、人のこと言えませんが、ぽっちゃり型の温和そうな方。この日は30分くらいお話したのかなぁ。とにかく私の「私なんか撮っていただいても何にもありませんよ」と、ディレクターの「そんなことないと思います」の繰り返し。「こちらはもうずっと『情熱大陸』観てきたわけですよ。あのオンエア30分を人様がご覧になった時、面白いと思うようなことが自分の生活の中にあるとはまったくもって思えない」と言っても、「そんなことないと思います」がかえってくる。“家・お店・車NG”“長期間の密着は無し”など、あたしゃかぐや姫か、と思うようなあの、結婚条件の無理難題を並べるかのように、“密着”ではマイナスプロモーションになるようなこともいろいろ言った。そして昔何度か密着をしていただいた際、結局どうしても事実を捻じ曲げられちゃったり、自分の友人知人に何かしらの迷惑がかかったり、正直“密着”にいいイメージがなく、もうずいぶんやっていないこともお伝えした。この日は「一度持ち帰ります」という言葉で終了。私はきっとこれでこの話はなくなるだろうと思っておりました。
数日後、ディレクターさんから連絡。「例えば番組の冒頭、いとうさんのインタビューから入るというのはいかがでしょう?」と。そこで私がずーっと言っていた“私の生活は本当に変わり映えしない毎日”“私を撮っても楽しい30分をお届け出来ない”“どうしたらいいのか? ”などをそのまま伝えるところから始めませんか? と。なるほど、そう来たか。ここまで考えてくださったのなら、もう「これで大丈夫?」と日々迷いながらも、それをひっくるめて撮っていただけばいいのかもしれない。私はやることを決めた。もし「なんで『情熱大陸』の出演決めたのですか?」と聞かれたら「ディレクターを信じたから」が答えです。
そんなこんなで私の『情熱大陸』が都内のハウススタジオにて始まりました。本当にインタビューから。いろんな現場にも来てくださいました。番組はもちろん、みはるとずっとやっている新宿ロフトプラスワンでのトークライブや、「イッテQ!」の女芸人一芸合宿のハーモニカの、都内での練習や本番の日の朝も。無し、と言っていた自分の車も、気づけば「乗ります?」と。土曜の朝のラジオに行く時、朝5時に私の家の前待ち合わせで、助手席に乗っていただき、文化放送に着くまでの時間、インタビュー受けたり。ウチからちょっと遠目のところで雑誌の取材があった時も、その分帰りの時間がかかるからちょうどいい、と取材場所まで足を運んでいただき、帰りの車の中でいろいろ話もしました。劇団・山田ジャパンもちょうど「ドラマプランニング」の稽古中だったのですが、やはり稽古に集中できないと困るから、撮影は1日。もし稽古の邪魔になるようなら、途中でやめていただくかも、と最初はお伝えしていました。でもその撮影の様子を見た座長が「あのディレクターなら」とOKが出て、何日も稽古場にお一人でいらして黙々と、そしてとにかく邪魔にならないように隅っこから、ただただカメラをまわしていた。
こうして撮られた映像はディレクターに託され、2026年1月4日、今年一番最初の『情熱大陸』としてオンエアされました。最初からずっと言っていた私の“変わり映え”しない日々は、やっぱり“変わり映え”しない日々ではありましたが、ディレクターの目を通すと「こう見えているんだ」みたいな感覚は自分にとって新鮮でした。そしてオンエアの後、LINE、めっちゃきました。「“こうして彼女は日々自分の責任を果たし続けている”のナレーションがその通りって思った!」とか「これまで過去にフォーカスしたものが多かったので、今にフォーカスしたのは珍しくてよかった」から、「キャンプで肉焼いている時の音楽が無印良品でかかってそうな曲で面白かった(笑)」まで。ありがたし。
いろんな現場でご協力してくださった皆々様。そしてこんな私を撮り続けてくださったカメラマンの高橋さん、水上さん。そしてそして何より、根気よく話し合いながら寄り添ってくださった望月ディレクター。本当に本当に本当に感謝です。ありがとうございました。
最後に流れた初詣。実はあの時ひいたおみくじ、大吉でした。2026年も「生きる」を目標に頑張ります。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
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