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アルパカ通信 幻冬舎部

2025.12.06 公開 ポスト

Z李『君が面会に来たあとで』-歌舞伎町を舞台にアウトローたちの日常を描く、異色のショートショート集アルパカ内田(ブックジャーナリスト)/コグマ部長

本読みのアルパカ内田さんと、幻冬舎作品を誰より愛する営業部のコグマ部長。

2人が、幻冬舎の新刊の中からお気に入りを選んで、おススメしあう、本コーナー!

今月のコグマ部長のおすすめはこちら。

(あわせて、アルパカさんがコグマさんにおススメした作品についても、お楽しみください)

【幻冬舎営業部 コグマ部長から、
アルパカ内田さんへオススメ返し】
Z李『君が面会に来たあとで

ヤクザ、半グレ、ドラッグ、ギャンブル─
繁華街で蠢く人々の日常を、恋愛・ミステリー・
SFなど多彩なタッチで描く、妙にリアルな、
30のショートストーリー。この物語は本当に、
すべてフィクションなのだろうか?

一方こちらは、経歴不詳のインフルエンサーによる30のショートストーリー。歌舞伎町を舞台に、アンダーグラウンドに漂う独特のぬめり感が行間から立ち上がってくる。

「立ちんぼの落とし物」では、大久保公園で〝立ちんぼ〟をしている女の子が、推しのホストから〝お守り〟としてAirTag を与えられて、今日も客を取る。早くカネを貯めて推しに会いたいというが──。

そして表題作の「君が面会に来たあとで」は、異色のラブストーリー。アウトローの住人にも心の休息が必要ということか。愛した女性への思いが痛いほど伝わる傑作だ。

その他にも、ドラッグ、ギャンブル、暴力団、殺人や詐欺など取扱注意のテーマが次々と登場。それぞれの描写がリアルすぎて、今日もまたどこかで本当に起きていることだとしてもまったく不思議ではない。

ともかく、著者の視野の広さには脱帽するしかない。歌舞伎町の喧騒、きらびやかなネオン、行きかう人が抱える興奮と空虚。これを巧みに小説に落とし込む筆致は極めて冷静だ。今作に吹き込んだのは、著者が見聞きした現代のアンダーグラウンドの風景だけでなく、その住人が心に抱える矛盾である。合法と違法、表と裏、カタギと反社、それぞれのボーダーをさまよう著者が紡ぐ言葉には怖いくらいの中毒性があり、読むのをやめられなくなるのである。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

バックナンバー

アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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