ハーモニカ。それは本当に身近で、幼稚園の時にみんなで吹いた、“簡単な”楽器。そんなイメージだった。自宅には今でも「すみれ組 いとうあさこ」と書かれたハーモニカが、カスタネットとともに箱の中に入れてとっておいてある。ちなみにハーモニカの方はまったく吹いてないので音が鳴るかわかりませんが、ケースも含めまあまあキレイな状態。
カスタネットの方はもう2枚を繋いでいるゴムが伸びきってしまい、叩けはしない。まあ50年もの、ですからね。残っているだけすごいか。
さて、先日オンエアになりました「世界の果てまでイッテQ!」の“女芸人一芸合宿”。今回は福井県にお邪魔いたしまして、女芸人11人でハーモニカにチャレンジすることに。正直ね、ナメていました、私。吸って、吹いて、で音出るヤツだもんね。なんならギターを弾きながら歌うミュージシャンの方が途中、ハーモニカ吹くことあるじゃないですか。あれが出来るようになったら最高だな。そんなこと、考えていました。実際、最初に“お試しで吹いてみよう”用の普通のハーモニカを渡されて、みんなでちょっと吹いてみたけど、うん、音、出るじゃない。課題曲がものすごく速い、とか、我々が知らない、とんでもない奏法がある、とかだったらまた別のお話ですが、この感じだったら今回いけるかも! そんな風に思った自分を、殴ってやりたい。ん-、先に言いますね。とんでもなかった。とにかく、とんでもなかったんです、本当に。今までで一番難しかったかも。ってこの台詞、毎回言っているような気もしますが、マジで今回難しすぎました。
まずハーモニカの種類から。私が持っている幼稚園の時の、ただ一列四角が並んでいるハーモニカでもなく。ミュージシャンの方が吹いているあの小さめのハーモニカでもなくて。もはや見たことのないものばかり。「え? ハーモニカってこんなに種類があるの!?」いやはやビツクリギョーテンです。今回使ったハーモニカは4種類。クロマチック、複音、バス、コード。私は川村エミコとおかずクラブ・オカリナと3人でクロマチックハーモニカ担当。主に主旋律を吹くパートです。ただこのハーモニカ、外から見た形はほぼ知っている“ザ”ハーモニカ、なんですが、まず吹くところの穴。これが全然違う。みつ豆の豆くらいの、まん丸い穴が14個あいている。ハーモニカって吹くと隣の穴にも息が入ってちょっと和音っぽくなっても、それも味でかっこいいじゃないですか。でもクロマチックはこの一個の穴にピンポイントで息を吹き込まなくてはいけない。お隣の音が混ざると全然キレイじゃなくて、むしろ不協和音になってしまう。でも考えてみてください。その穴、隣の穴との間は2㎜もないほどめちゃくちゃ狭い。それをどうやって1つの穴だけに息を入れることが出来ようぞ。実はエミコとオカちゃんはわりとすぐ、ちゃんと単音で吹けていたのですが、私は初日、いくらやっても出来ず。何度吹いてもそのコツというか感覚がまったくわからない。先生方もいろいろな方法で教えてくださるのですが、どうしても隣の音が混ざってしまい、汚い音しか出ない。いつも楽器系チャレンジの時、ちゃんと演奏できるようになるまでには、果てしない練習量が必要となりますが、“音を出す”くらいの初動はわりといける口だった私。だから他のパートのところに行って一緒に、となった時、「私、今回全然だから」と言っても、みんな「そうは言っても」感、満載。ただ実際合わせてみると、本当に“全然”だから、「あ……」みたいな。「今回あちゃこ、マズイな、って思ったよ」と、のちに森三中・ムーさんに言われたくらい、それくらいまったく出来なかった。
それとクロマチックには右端にレバーがついていて、それを押すと半音上がる。“♯”の音です。つまり普通に吸う・吹くで2音と、レバーを押した状態の吸う・吹くで2音。計4音の音が1つの穴から出せるのです。そしてその穴、1から番号がついておりまして。ここで厄介だったのが、楽譜。普通の音符の楽譜もあったのですが、私は数字で書かれている楽譜の方を見ながら練習しちゃいましてね。その練習の時はよかったんですけど、いざ暗譜しよう、ってなった時、何度やっても覚えられないんです。だって“7=ソ”で決まり! とかだったらいいですよ。でも、普通の“7”は“7を吹く”。“⑦”、と丸で囲われると“7を吸う”の意味。そしてその数字の上に“←”、と矢印が付いていたら、レバーを押して“半音上げる”の印。つまり“7”と一口に言っても、“7”“⑦”“7(←)”“⑦(←)”と4つ出てきちゃう。そうなるとですよ? 例えば譜面が普通に“8 8 8 7 7 8 7”とかだった場合、「「は は は な な は な」のように最初の一文字とかで覚えていけばいいじゃないですか。以前やったお琴も楽譜が数字だったのでその方法で覚えました。三線をやった時もドレミファソラシドが“合 乙 老 四 上 中 尺 工”とめちゃくちゃではありましたが“合=ド”“乙=レ”と一文字1音でしたから。なんとか覚えることが出来ました。ただクロマチックにはそんなわけで“7”に4つの音がありますから。“⑦(←)”とかだと、一番短くても「な(7)ま(丸)は(半)」とか言わなきゃわからない。でもそんな覚え方しようものなら、どんどん進むメロディに追いつくわけがない。いろいろ試行錯誤してみた結果、数字で覚えることは断念。出した結論は、体が覚えるまでただ繰り返し吹くのみ。そうです、もう千本ノックです。ただですね、気づいたらくちびるボロボロ。だってずーっとハーモニカをくわえているんですよね。くわえたまま右へ左へ動かしてメロディを奏でる。だからくちびるが擦れて擦れて。特に下唇がどんどん切れちゃって、あっという間に真っ赤なぷっくりリップの出来上がり。あらキュート♪じゃないんですよ。もう晩御飯のサラダにドレッシングなんてかかっていようものなら、呻くくらいしみちゃって。と、くちびるが“魅力的”になったところでお時間でございます。この続き、よろしかったらまた聞いてやっておくんなまし。
【本日の乾杯】ライフのだし巻き玉子。最高のおつまみ。卵が隠れるくらいたっぷりの大根おろしを添えて。いつもの日本酒ロックで。お疲れ様でした。
あぁ、だから一人はいやなんだ。の記事をもっと読む
あぁ、だから一人はいやなんだ。

- バックナンバー













