夫婦カウンセリングを訪れるカップルが急増しています。コロナ禍のステイホームやリモートワークの普及により、パートナーへの不満から目を逸らしにくくなってきたことも要因のひとつだと『夫婦はなぜ壊れるのか』の著者は言います。病気の妻にから揚げが食べたいと言ってしまう夫から、実家に尽くし過ぎる妻まで。夫も妻も、なぜみすみす関係を悪化させるような言動をとってしまうのか。その背景を本書から抜粋して紹介していきます。別居や離婚を考えながらも揺れている方はもちろん、家庭内が以前に比べてギスギスしていると悩んでいる方まで、関係改善のヒントが得られる1冊です。
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夫婦でカウンセリングに来る場合、妻の方が、夫に対する不満を抱えていたり、夫婦関係に悩んでいて、その解決の為に夫を誘って──という形が一番多いです。夫側は、あまりに口うるさく言われて渋々来たという人、「本当に離婚になるかも……」という危機感を抱いている人、あるいは自分でも問題を抱えていることを自覚しており「どうにかしなくては」と考えていた人もいます。また、夫にカウンセリングの話を切り出せず、まずは夫に内緒で来て、夫をどう誘えば、あるいは説得すればいいかという相談から始まるケースもあります。
全体の傾向として言えるのは、カウンセリングに抵抗がある男性は多いという事です。夫婦の問題は2人で話し合って解決すべきだと考えていたり、カウンセリングというのは何らかの病気の人が通うものであり、まして夫婦カウンセリングとなると、離婚を考えている夫婦向けなのでは? と疑問を持っていたりします。そもそも「カウンセリングって何してくれるの?」という疑念を持っている夫も少なくありません。
ですので、私のオフィスでは、まずは夫婦それぞれの生い立ちを聞き、心理テストを行う事を説明します。特に心理テストはロールシャッハ・テストと呼ばれるもので、潜在意識をしっかり探りますから、自分でも気づいていなかった特性が分かり、今までよりも楽に生きられるヒントがたくさん見つかる事も説明します。その結果、カウンセリングに抵抗があった夫もほぼ納得してくれます。男性は根拠のあるものと理屈を好む傾向があると言えるからです。
その後のカウンセリングでは、夫婦それぞれで気を付ける事を整理します。
具体的な相談内容として多いのは「夫婦仲が良くない」「喧嘩が多い」ですが、お互い仕事や家事育児で余裕がないのが明らかな場合、アウトソーシングも解決の一つです。また、「やらなくてはいけない」と思っている事の中から、「やらなくてもいい事」を見つけるのも手段の一つ。この時、夫婦間の考えが一致しないのが喧嘩の原因になっている事も多々あるので、落としどころを探していきます。
過去にとらわれ過ぎることの弊害
カウンセリングは「ここからが夫婦の再スタート」という気持ちの切り替えの場です。どうしても忘れられない辛い体験や、傷つけられた出来事があっても、過去にとらわれ続けていたら、夫婦の関係を再構築できません。なかった事にするのではなく、傷ついた心をパートナーに癒してもらうのです。だからこそ、傷つけた側は、「やり直そう」という気持ちになってくれたパートナーに感謝し、傷を癒す努力をし続けなければならないのです。傷ついた側は、相手の過去の姿にとらわれず、現在を見て、相手の努力に気づき、認める事が大切となります。
カウンセリングは夫婦それぞれが相手に望む事に対し、各々で努力していく事が重要です。
でも、どうしても変えられない言動の原因が生い立ちの中にある場合もあります。親との関係の中で作られた態度や言動がパートナーを傷つけているのであれば、まさに今、そしてこれからを共に生きてゆくパートナーの為に、相手を傷つけない自分に変わって行く必要があるのです。生い立ちの中での傷つきが現在の自分の言動に大きな影響を与えている場合は、ここでも過去との決別が重要になって来ます。
時には、親との関係の整理も必要です。関係を断つという事ではなく、現在のパートナー、そして子どもという家族を大切にするために、過去に引きずられないという事です。子ども時代のトラウマの克服も重要なテーマです。まずは自分が変わり、そして夫婦、家族が幸せになってゆく。そう心を決められたら、カウンセリングは必ずうまく行くと言ってよいでしょう。













