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考察食堂 -ドラマを噛んで味わう-

2025.11.26 公開 ポスト

「ちょっとだけエスパー」第6話【愛する人の命と1000万人の命】四季を巡る“愛の物語”がここに開幕! #大泉洋 #6969b6969b~ろくろっ首~(ドラマ考察系 YouTuber)

救えるのはどちらか1つです。

「愛する人の命と1000万人の命」

あなたはどちらを選びますか?

 

 

この物語のテーマは「それぞれの正義」なのかもしれない。

 

まずは第6話で明かされたポイントをおさらいし、私がなぜ「それぞれの正義」というテーマにたどり着いたのかを説明していきたい。

 

この物語の最大のポイントは、四季(宮崎あおい)の夫は兆(岡田将生)であり、本名は「文人」だったという点だ。物語的にいうならば、主人公に当たるのは兆であり兆の愛の物語なのだ。

 

 

よってこれまで四季が文太(大泉洋)との思い出として記憶していた全ての出来事は、文人との思い出だったということになる。

 

そして判明した更なる事実……。

 

我々が見ていた兆は“未来から送られてきた立体映像”だったのだ。
彼は2055年から過去にデータを送ることで未来を変えようとしているのだろう。

 

なぜ未来を変えたいのか?

 

10年後に1万人が死ぬ大惨事で、愛する四季が亡くなってしまうから。( 詳しくは前回の考察記事を是非)

 

兆はなんとしても、その未来を変えたいのだ。

 

しかし、その未来を変えた時、2055年の市松(北村匠海)「通称:I」が言うように、新たに「1000万人の命が失われる出来事」が起きる未来に変化してしまう……

このことによって「愛する人の命を含む1万人の命」「1000万人の命」
どちらか1つを選択しなければならない状況が生まれるのだ。

 

兆が考える“正義”と未来の市松が考える“正義”は違う……。それぞれの正義が交差する、まさに「ジャパニーズヒーロードラマ」である。

 

そして「愛する人の命と1000万人の命」私ならどちらを選択するのだろう……。

 

その答えは完全には持ち合わせていない。

 

ただ断言できるのは前者を選ぶ選択肢はないということ。しかし後者を選ぶことも、私にはできない。

 

逃げに近いような結論だが、同じ考えの方も多いだろう。そして文太達も、どちらかを選ぶことはしないと予想する。

 

どちらの選択もしない「新たな選択肢」を見つけるのだ。それがノナマーレの使命「世界を救うこと」だと私は信じる。

 

この作品が唯一無二のSF作品と言える理由……。なんでもありではない巧妙なファンタジー加減に脱帽。

ちょっとだけエスパーは、SFの王道「時間移動」を核に置いたドラマで間違いない。

 

しかし、この作品は時間移動作品の王道である「タイムスリップ」と「タイムリープ」どちらにも当てはまるようで当てはまらない唯一無二のSF設定のドラマである。

 

タイムスリップの定義は、自分の肉体も全て過去に時間移動すること
タイムリープの定義は、自分の意識が過去に時間移動すること

 

しかしこの作品は、あくまでも未来から過去に映像や文章を飛ばしているのみ。
「映像や文章を2055年から2025年に転送している」という現象にとどめているのだ。

 

ファンタジー作品は“なんでもあり”と思われがちだが、どの作品にもそれぞれのルールや定義付けが存在する。

 

兆の言葉「2055年でもタイムマシーンは存在しない」で分かるように「タイムリープ」や「タイムスリップ」とは明確に違う定義付けをしているのだ。ここに脚本の凄みを感じる。

 

ファンタジー作品ではあるが、どこか“現実味”を漂わせているのだ。前述した「それぞれの正義」というテーマも、現代社会におけるテーマとも言え、どこか現実味を感じざるを得ない。

 

ある角度によっては“正義”に見えても、別の角度から見たら“悪”に変わる。こんな社会的なテーマを持っているSF作品がこれまであっただろうか……。

 

やはり時間移動の新たな定義付けや社会的テーマの観点から考えても、この作品は唯一無二のSF作品と言えるだろう。

 

そしてもう1つ、6話の中に震えた演出がある。

 

それは「花を咲かせる系エスパーだった桜介(ディーン・フジオカ)が、感情の昂りにより『花を枯らせる系エスパー』に変貌」したところだ。

 

ー「闇堕ち」によって能力も「闇」の方向に変化するー

 

こんな少年漫画展開も描いてしまう脚本家「野木亜紀子氏」彼女の引き出しの多さは、天賦の才と膨大なインプットによるものなのだろう。

 

そしてこの「闇堕ち桜介」を止めるのが、息子の紫苑(新原泰佑)なのかなと思うと早くも涙腺が危ない私である。

 

これから終盤戦にかけての“能力変化”にも目が離せない。

 

息で吹き飛ばす能力を持つ四季が闇堕ちしたら、ものすごい勢いで息を吸い込む能力「吸引系エスパー」になってしまうかもしれない……。

 

相手の鼻水を強制排出させられる市松が闇堕ちしたら、相手の鼻水を強制制御できる「闇医者系エスパー」が誕生してしまうかもしれない……。

 

私がこの作品の脚本家なら、こんなポンコツ脚本になりそうだが、稀代の脚本家「野木亜紀子氏」であれば、予想だにしない能力変化と鳥肌不可避の展開を用意してくれるだろう。

 

“全ての事柄に意味を持たせる脚本家”の終盤戦の立ち振る舞いに目が離せない。

 

••┈┈┈┈•• ドラマ情報 ••┈┈┈┈••
テレビ朝日『ちょっとだけエスパー』( 毎週火曜夜9時~)
出演:大泉洋、宮崎あおい、ディーンフジオカ、北村匠海、岡田将生 他
脚本:野木亜紀子
監督:村尾嘉昭、山内大典
エグゼクティブプロデュース:三輪祐見子
音楽:髙見優、信澤宣明
主題歌:こっちのけんと『わたくしごと』

著者:ペチ
イメージイラスト:サク

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3人組ドラマ考察系YouTuber 6969b(ろくろっくび)による考察記事の連載がスタート!

今話題のドラマの真犯人は?黒幕は?このシーンの意味は?

物語を深堀りして、噛むようにじっくり味わっていきます。

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6969b~ろくろっ首~ ドラマ考察系 YouTuber

登録者10万人超えのドラマ考察系YouTuber。

大人気を博した考察ドラマ「あなたの番です」では公式本に考察集団"として掲載され、担当プロデューサーとコラボした経験もあり。

『僕らとエンタメを全力で楽しもう』をモットーに、落ち着くお茶の間のようなチャンネルを目指して活動中です!

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