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余白をつくる練習

2025.11.22 公開 ポスト

【特別対談】安藤美冬 × 永崎裕麻(後編)自分のやりたいことに許可を出せるかどうか…「自分リテラシー格差時代」で大切なこと永崎裕麻

「世界幸福度ランキング」1位にも輝いた南太平洋の島国・フィジーで、17年間暮らした永崎裕麻さん。話題の著書『余白をつくる練習』の発売を記念して、世界中を旅する作家・安藤美冬さんとの特別対談が実現しました。後編では、「自分リテラシー格差時代」の到来と、「自分のやりたいことに許可を出す」ことの大切さについて語っていただきました。

*   *   *

人生は「3つのカード」を決めるゲーム

安藤美冬(以下、安藤) 著書でも読みましたが、裕麻さんは移住先を見つけるために世界中を旅したわけですよね。移住をすること自体は、早い段階から決めていたんですか。

永崎裕麻(以下、永崎) そうですね。とくに20代の間は、もう「何やってもいいだろう」という感覚があったんです。年を取ってから動き回るのは難しそうだなと思ったので、無茶苦茶なことは早めにやっておこう、という気持ちもありました。

今でも思っていることですが、人生って結局、「誰と・どこで・何をして生きるか」、この3つのカードを決めるゲームだと思っていました。30歳くらいになったときに、その3枚のカードを「俺はこれなんだよ」と、自信を持って出せる状態にしたいなと。

たとえば、「どこで」のカードだったら、僕は大阪に生まれましたけど、大阪というカードを「俺はここが好きなんや」と自信持って出すには、他の場所も見ておかないといけない。そのために、いろんな場所を知っておこうという気持ちがありました。

だから、実は日本のことをあまり知らないんですよ。世界一周でいろんな国に行ったり、フィジーに長く住んだりしたことで、外国から見た日本はよく見えているつもりです。でも、日本国内の県ごとの違いとか、細かいところは見えていないんです。

逆に言うと、去年、日本に帰ってきたことで、これからは日本を開拓するという楽しみが残っている。それはそれで楽しそうだな、と思っています。

「自分リテラシー格差時代」で大切なこと

永崎 僕からすると、美冬さんって他の人より何歩も先にいる印象があるんです。たとえば、オランダにいち早く留学したり、SNSの世界からいち早く抜けたり。だから、美冬さんが今いる場所そのものが「未来」なんじゃないかという気がするんです。

そこで伺いたいんですが、5年後、10年後、僕たち日本人は何に夢中になり、何に不安を覚えていると思いますか。美冬さんの未来予想を聞いてみたかったんです。

安藤 抽象的なことで言えば、日本人の寿命はどんどん長くなっていますよね。「人生100年時代」みたいになってくると、何歳であっても自分のやりたいことに許可を出せるかどうかが、すごく大事になってくると思います。

私は今45歳で、来年1月に46歳になるのですが、まったく新しい分野に踏み出すということは、誰もができることではないと思います。でも、やってみればなんとかなるし、なんとかなりそうな感じがしています。

許可を出せるかどうかは、誰もがおそらく人生のどこかで突きつけられると思います。そのときに、怖いし、不安だし、自信もない。だから我慢したり、本音を押し殺したりしてしまう。私はそれを選びたくなかったんですよね。

永崎 「許可を出せるかどうか」っていうワード、今ものすごく震えたな。さっき美冬さんも、「自分の本音に気づけるか」という話をしていましたよね。僕はそれを「自分リテラシー」って呼んでいて。

今の時代は、自分の本音に気づいている人と気づいていない人で、どんどん二極化していく「自分リテラシー格差時代」だと思っているんです。でも、本音に気づいただけでは足りなくて、それを許可してあげられるかどうかという、もうひとつの壁がある。それは、まさにおっしゃる通りだなと思いました。

安藤 今って、ChatGPTに聞けば、情報もアイデアも山ほど出てくる時代じゃないですか。みんな頭でっかちになって、情報ばかり食べて、アイデアばかり浮かんでいる。でも、これから本当に価値があるのは、アイデアを形にする人だと思います。

実行する力って、情報を集める力とはまったく別ものですよね。結局、アクションを起こしてこそなんですよ。頭の中で考えているだけでは何も始まらない。

誰かが何かを始めたときに、「あれは俺も考えていたんだよ」って言う人なんて、世界中にいる。でも、ビジネスでも人生でも、実際に行動に移すかどうかが大事なんです。

だから、情報やアイデアの価値って、今めちゃくちゃ下がっていて。今、価値があるのは、それを実行できるかどうかだと思います。

それって、能力以前のことですよね。本人にやる気がなかったら、怖がってばかりいたら、自分に許可を出さなかったら、100万回「あなたはできるよ」と言ったとしても、形にはならない。

やる気があるかどうか、実行すると決めるかどうか。それが何よりも大事なんだと思います。

*   *   *

※本記事は、安藤美冬 × 永崎裕麻『余白をつくる練習』出版記念特別対談「⾃分に帰る旅 〜“余⽩”と“直感”で心の声に耳を傾ける夜〜」の内容を一部抜粋、再構成したものです。

ゲストプロフィール(安藤 美冬 / あんどう みふゆ)

株式会社UNROUTE代表
ミステリープロデューサー
作家

慶應義塾大学在学中、オランダ・アムステルダム大学にて交換留学を経験。(株)集英社勤務を経て独立後、世界48ヵ国を旅しながら、自分の体験から得た学びや気づきを作家として出版。
近著『つながらない練習』(PHP研究所)と『ノウイング』(サンマーク出版・アンドウミフユ名義にて出版)はそれぞれ台湾、韓国で翻訳出版されている。
2025年9月9日、ミステリーを軸とした様々な物語体験をお届けする株式会社UNROUTEを設立、代表となる。「情熱大陸」「NHKスペシャル」などメディア出演多数。InterFM番組審議員。

◎公式SNS
安藤美冬公式LINEアカウント
◇X: @mifuyu_ando
◇Instagram: @mifuyu_ando

関連書籍

永崎裕麻『余白をつくる練習』

なぜ僕らはいつまでたってもココロが休まらないのか 「いつも時間に追われている気がする」 「最近、余裕がない」 「だらだら過ごしたつもりはないのに、いつの間にか1日が終わっている」 日々、そんなことを感じている方も多いはず。 僕たちはいつになったらゆったりした時間をもてるのでしょうか。 本書は、そんな多忙な毎日を抜け出し「余白」つくるためのガイドブックです。

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余白をつくる練習

効率的に仕事をしても、それで空いた時間に別のことを入れて、一向にタスクが終わらないと感じたことがある人も多いはず。
私たちはいつになったらゆったりした時間を持てるのでしょうか。

世界100カ国を旅したあと、世界幸福度ランキング1位のフィジー共和国へ移住した著者が伝える、人生に自分時間を取り戻す「余白のつくり方」。

バックナンバー

永崎裕麻

100カ国を旅し、世界幸福度ランキング1位のフィジー共和国へ移住。「探究ランド」所長、フィジー留学専門家、武蔵野大学「ウェルビーイング学部」非常勤講師、思考整理コーチ。

2026年1月21日開講「余命の学校 〜Die with Zero, Live without Regret〜 時間残高に向き合う60日間参加者募集中。

著書に『世界でいちばん非常識な幸福論』『南の島フィジーの脱力幸福論』

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