
WHITE JAM、初のホールライブが
ソールドアウトで幕を閉じた。
メジャーデビューから11年。
業界的に言えば、あまりに時間が
かかり過ぎている「初のホールライブ」だ。
というか、普通のグループなら11年もかけて、
ホールに立てていないなら、とっくに解散している。
しかも、この11年の間には「コロナ禍」という
すべてのアーティストにとっての存続の危機もあった。
なんで、そんな状況で続けて来られたのか?
と聞かれたら、パッと答えは出てこない。
「自分たちの音楽を信じていたから」と言えば
それっぽいし、格好はつく。
もちろん信じていたけど、
それが続けられた一番の理由なのか?
そう考えると、自分でも「後付けっぽいなー」
と思ってしまう。
結局、俺はメンバー3人でワケのわからないことを、ゴチャゴチャやっているのが好きなんだと思う。
うちのリーダー、SHIROSEは服の面積の狭さや、人にはちみつを垂らして舐めたりする、
謎の変態パフォーマンスで連日Xで叩かれている。
「GASHIMAはなんで、
あんな奴とグループ組んでるんだ?」
とか言われているのもよくSNSで目にする。
ハッキリ言って、俺の方が聞きたい。
ただ一つ言えることは俺は面白いことしかしたくない。
アメリカ育ちの俺が英語混じりの
洒落たラップ曲を出してて、何か面白いだろうか?
俺はそういう予想のつくモノを限りなく「サムい」と思う。
「ダサい」と言われようが「キモい」と
言われようがどうでもいい。
ただ自分で「サムい」と思うことは
死んでもやりたくないのだ。
プロデュース力、作曲力はえぐいけど、
イカレのSHIROSE。
最強のポップセンスを持ったNIKKI。
ガチでラップだけをやってきたGASHIMA。
交わるはずのない3人が交わるからこそ、
何が起こるか俺たち自身もわからない。
そんな大博打が面白いから、
このグループをずっとやってきているのだ。
ファンのみんなが楽曲をバズらせてくれたお陰で、今は少し追い風が吹いている。
でも、このグループの道のりはこの先も
そんなに楽ではないと思っている。
「ロックバンド」とか「アイドル」とか
既存のジャンルに当てはまらないから、
説明がしづらい。
だから伝わるのにも時間がかかるのが俺たちだ。
通常のアーティストであれば、
メジャーデビュー2, 3年目ぐらいで
クリアしていたいホールライブ。
それを成し遂げるのに俺達は11年かかった。
でも、11年間を経て、俺たちの「説明のできなさ」は少しずつ強みへと変わってきている気がする。
今回のホールライブが終わった時に感じたのは
そんな静かに湧き上がってくる自信だった。
満員御礼で迎えたLINE CUBE SHIBUYA当日。
フィナーレで俺たち3人は手を繋いで、お辞儀をした。
ふと目をやるとSHIROSEの足元が
ビショビショに濡れていて。
「感極まって泣いてんだな。
日々、アンチコメ食らって、
コイツもコイツでキツいよな。」
と、この怒涛の数ヶ月を振り返っていた。
だけど、よく見たら、床を濡らしていたのは
涙ではなく、はちみつだった。
アンチさん、これからは彼のことを
もう少し強めに叩いてください。
先生、俺またバグってます。の記事をもっと読む
先生、俺またバグってます。

3人組シンガーソングライター・グループ WHITE JAMのラッパーとして活躍するGASHIMA。
そんな彼はある日、「双極性障害」であると診断される。
思い返してみれば、昔から自分はちょっとバグってた。
日本とアメリカで経験した過去、生い立ちと音楽、メンタルヘルスの狭間で感じた「生きづらさ」をパーソナルかつリアルに綴るセルフドキュメンタリー連載。
目まぐるしく変わる環境に対するやり場のない怒り。
振り返ってみれば「若気の至り」だと思っていた破壊的衝動。
あれも、これも、もしかしたら躁状態だったのかも?
“ただの勢い”の裏にはちゃんと病理があった。
そう思えると、あの時の俺も少しだけ愛せるようになった。