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次元上昇日記

2025.08.09 公開 ポスト

2025年8月6日 飯能の暑気辛酸なめ子

最近英会話アプリでAIとの会話で、子供の頃の思い出を聞かれて、住んでいた家が崖のすぐそばに建っていたので、たまに崖を降りて川原でサワガニを探したり川を眺めていた、という話をしました。今よりも身軽で険しい斜面を上り下りしていたようです。

飯能には近くに天覧山という山がありました。先日友人との会話で、実はその天覧山がUFO多発スポットで、背の高い宇宙人も目撃されている、と知りました。住んでいるときは小学生でそんな噂も知らなかったです。

久しぶりに飯能を思い出し、ちょうど飯能の新しいギャラリーでヤノベケンジ氏の宇宙猫の展示が8月末までということを思い出して行ってきました。久しぶりの飯能はラビュー号で……。

現代美術館「ハイパーミュージアム飯能」はムーミンバレーパーク・メッツァビレッジ内にありました。ムーミンのパークとは別料金なので、ムーミンの有料エリアに行かなければ入場料1200円で行けます。

でも会場には、宇宙猫ファンにはマストなアトラクションがありました。なんと湖に「宇宙猫の秘密の島」が造成されていて、船で渡れるようになっていたのです。白い猫のオブジェがいて、中に入れるようになっているようです。「『宇宙猫の島』上陸探索ツアー」チケット は1500円。猛暑なので午前中のチケットを買いました。なぜか誓約書みたいなのを書かされて、船に乗るためとはいえかなり厳重だなと思って、時間になったので集合場所に行き、ライフジャケットを着用。乗る船を見たら……なんと足漕ぎ船でした。モーターボートだと思っていたので驚きと不安が……。スタッフに聞いたら5分くらいで着くとのこと。なんとか湖で迷うことも水に落下することもなくたどり着きました。フィジカルな体験で、冒険して上陸した気分が味わえました。

猫島の白い猫さんの中には、猫アーティストのアトリエやお風呂などがあり、かなり見応えがありました。BIG CAT BANG(ビッグ・キャット・バン)によって地球上に拡散した宇宙猫の一部が埼玉県飯能市に不時着、絵を描き、彫刻を造って時間をつぶしていた、という設定だそうです。

不時着した宇宙船の中で、猫の芸術家が創作した作品が展示されていました。
猫への尊敬が高まる設定です。こちらはその島の外観です。

もっとじっくり観たかったのですが、ビニールハウス的なオブジェ内部は数分間いただけで密閉感と暑さで危険を感じました。飯能の猛暑は想像以上でした。滞在時間は短めで、また船を漕いで船着き場へ。午前中なので何とかなりましたが、14時頃だったらかなり厳しそうです。滞在しているスタッフの方が心配です。船から降りたら水を飲むのはNGでした。

メッツァビレッジの各所に、猫の顔のパーツを描いて集めていく「フロッタージュ」のコーナーがありました。鉄板的なプレートに、目とかヒゲとか鼻がレリーフ状に入っていて、そこに紙を押し当てて鉛筆でサーッと上から描くことで浮き上がらせるという原始的な手法。ARとかデジタル系にしがちなところ、物理的な手法がかえって斬新です。ただ……鉄板が熱すぎました。たぶんふつうに卵焼きとか焼けたと思います。そこにしゃがみこんで紙を押し当てる作業が、40度前後の猛暑では過酷でした。ただ、下が土のキャンプ場はそこまで死にそうな熱さではなく、やはりアスファルトが猛暑をさらに耐え難いものにしているようです。園内を歩いてフロッタージュを探していたらまた命の危険を感じました。

そして周りを見ると、前に来たときより人が少ないです。レストランも並ばず入れたくらいで……。やはり、飯能の夏、屋外の施設は厳しいということを多くの人が知っているようです。逆に暑さに強い人にとっては穴場だと思います。

それにしても、心霊スポット宮沢湖の霊気も全然焼け石に水の暑さ。涼しげな北欧風の演出をしていますが、北欧はこんなに暑くならないと思います……。暑すぎて蚊が活動できなくて、蚊に刺されなかったのは良かったです。

飯能ハイパーミュージアムの展示も、過去作から映像、宇宙猫まで充実していました。
「自分の中にいる子供いつまでも
遊び続けられるようにっていう発想で作品を制作している」というヤノベケンジ氏の言葉が印象的でした。

関連書籍

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「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。 では、「アセンション」とは何か――? 辛酸なめ子さんにとっては、日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。 本書は、そんな次元上昇をめざす一人の女性が、イベント、パーティ、買い物、仕事……と毎日足を運び、霊的な何かが見えたり、癒されたり、反省したり、試行錯誤する抱腹絶倒の記録です。 この世界の次元は一つじゃない――。 よりすぐりのベスト50をお楽しみください。

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毎日のようにセレブやスピリチュアルな現場を取材し続け、どうやったら「次元上昇=アセンション」できるのかを考え続け、「小難しい本を読むより、猫を5分間撫でている方が真理に近付ける」と認識、善行というマイレージを貯めることこそが、個人の次元上昇を達成する方法だと気づく。そのおそるべき試行錯誤、抱腹絶倒の日常記録です。

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次元上昇日記

「次元上昇」とは? それは「アセンション」のこと。では、「アセンション」とは何か……。いろいろな意味があるので、ネットを検索してみて下さい。しかし、辛酸なめ子さんにとって、それは日々、功徳を積んで善行マイレージを貯め、それがある閾値に達すると得られる高い次元のこと。この連載は、その善行マイレージを貯め次元上昇をめざす一人の女性の抱腹絶倒、試行錯誤の記録です。

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バックナンバー

辛酸なめ子

近著に「スピリチュアル系のトリセツ」(平凡社)、「電車のおじさん」(小学館)、「無心セラピー」(双葉社)、「新・人間関係のルール」(光文社新書)、「女子校礼讃」「辛酸なめ子の独断! 流行大全」(中公新書ラクレ)など。

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