
私は結婚したことがある。過去形だ。
そんな私だが、結婚に対して悲観的に捉えていない。
ここ数年で既婚者から独身者に戻った訳だが、1人の生活で感じたのは「気楽さ」だった。
ただ「気楽=幸せ」とは限らないと、その時に感じた。
結婚生活では独身の時には感じなかった「心の動き」があるのだ。
これは気楽とは程遠い感情である。
しかし、この他人同士が共に生きることで生じる「心の動き」が「幸せ」ということなのかもしれないと元既婚者の私は思うのだ。
ただ「愛する人が殺人鬼かもしれない」となると話は別だ。
主人公:幸太郎(阿部サダヲ)は“結婚相手が過去に殺人を犯しているかもしれない”という、とんでもなく大きい「心の動き」を抱えるようだ。
「妻が殺人鬼? それでもなお、愛せるのか……。」
「しあわせな結婚」は、そんな究極のテーマを取り扱ったドラマなのかもしれない……。
入口と出口で印象がまるで違う……。不思議な世界観に魅了された第1話
阿部サダヲ×松たか子という安心安全の演者によるユーモラスな掛け合いに笑いが止まらなかった前半戦。
2人の少し歯車がズレているような掛け合いに、ある種の心地よさすら感じていた。
初々しい2人の空気感に私は癒されていたのだ。
しかし終わってみれば、しっかり「マリッジサスペンス」という様相。
ネルラ(松たか子)の殺人容疑が浮上してからの張り詰めた緊張感は凄まじいものだった。
心地良さすら感じていた夫婦の掛け合いも、サスペンス要素が加わることで一気に不穏さが押し寄せてくるのだ。
振り返ると、前半戦の笑いを誘うコメディー展開の中でも、ネルラに対しどこか「違和感」を感じていたのは私だけではないだろう。
そのネルラの持つ「違和感」は、不思議な魅力とも変換できるため、幸太郎と同様に視聴者は彼女に魅了されていったのだ。ネルラのクロワッサンを貪る姿は、可愛らしさと不気味さが共存する「屈指の名違和感シーン」と言えるだろう。
そんなネルラの「違和感」が過去の殺人容疑によって一気に「恐怖心」に変わったのだ。
不思議な魅力と変換できていた「違和感」が音を立てて「恐怖心」に変わっていく様は演出の妙そのもの。
このドラマの末恐ろしさを感じざるを得ない。
断言しよう。このドラマは後世に語り継がれる傑作になるだろう。
多々ある意味深描写……。ネルラは過去に大切な人を亡くしてる?
これまで語ってきたネルラの「違和感」も意味深描写と言えるが、ドラマ全体を観ても考察シロがありそうな「意味深描写」が散りばめられていた。
その1つが仏壇のシーンだ。
仏壇には戒名が2つあったのだ。1つはネルラの母親のもの(1999年没)で確定的だがもう一つの戒名 (2000年没)が誰のものなのかが謎なのだ。
あのシーンは長年考察してきた身からすると、確実に意味がある(伏線である)演出をしていた。
よって今後明かされる重要なシーンの可能性が高い。この人物の死が、ネルラという人格を形成した1つの要因になっているのだろうか……。
この人物についての詳しい考察は、是非我々のYouTubeの解説を観てほしい。
またネルラの家族「鈴木家」も何か隠しているのだろう。
ネルラが
「蓮根より幸太郎さんが好きよ」
というネルラ節を炸裂した時のリアクションが普通ではなかったように見える。
これは家族ぐるみでネルラの過去の何かを隠しているからこそのリアクションだったと私は予想する。
15年前の殺人事件はネルラだけでなく鈴木家が関与してる可能性も考察していきたいと私は考える。
もっと考察を進めるならば「15年前の殺人事件の犯人はネルラではなく真犯人が存在するのか。」が焦点だ。
これが“The考察ドラマ”なら「真犯人が存在する」と断言できるのだが、このドラマに至っては1話鑑賞段階では進んでいく方向やドラマのテイストが不透明である。なので必ずしも真犯人を探していくような王道の考察ドラマ展開になるかは分からないのだ。
しかし分かることが1つある。
どの方向に進むとしても「このドラマが面白い」ということだ。
放送が始まる前から絶対に面白いという自信のあった“間違いないキャスティングと脚本”1話も観て、その自信が確信に変わったのだ。
今後の展開が全く読めない作品ではあるが、その面白さは保証されているのだ。
そんなドラマを観ない選択肢はないだろう。
極上の不思議考察系マリッジサスペンスを我々と堪能していきましょう。
著者:ペチ
イメージイラスト:サク
••┈┈┈┈•• ドラマ情報 ••┈┈┈┈••
テレビ朝日『しあわせな結婚』( 毎週木曜夜9時~)
出演:阿部サダヲ、松たか子、段田安則、岡部たかし、板垣李光人、杉野遥亮、玉置玲央 他
脚本:大石静
ゼネラルプロデューサー:中川慎子
プロデューサー:田中真由子、山形亮介、森田美桜、大古場栄一
監督:黒崎 博、星野和成、楢木野礼
音楽:世武裕子
主題歌:Oasis『Don’t Look Back In Anger』
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考察食堂 -ドラマを噛んで味わう-

3人組ドラマ考察系YouTuber 6969b(ろくろっくび)による考察記事の連載がスタート!
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