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1年で潰れると言われた野球部が北国のビニールハウスから甲子園に行った話

2025.07.10 公開 ポスト

西野亮廣さんが、毎朝配信しているボイシーより

キンコン西野「なぜこの話が広まってない?」潰れると笑われた弘前聖愛高校野球部の大逆転劇原田一範(弘前学院聖愛高等学校 野球部監督)

毎朝、今やってるクリエイティブの話やビジネスの考え方などについて、幅広いジャンルの話題で展開している西野さんの朝礼

刺激はあるし、勉強にもなるし、なにより面白いし! 朝のボイシーを楽しみにしている人も多いはず。

さて、2025年7月9日。西野さんが朝から生配信。その内容をぜひ紹介したいので、以下、特別に内容を記事化させていただきました。

1年で潰れると言われた野球部が北国のビニールハウスから甲子園に行った話(※ボイシーで配信されたこちらを、編集してお届けします)

*   *   *

今日のテーマは『1年で潰れると言われた野球部が北国のビニールハウスから甲子園に行った話』。

もう、このタイトルがすべてです。

僕が書いた本でもなんでもないのですが、この物語を皆さんと共有しておきたいなと。

 

弘前に講演会でおじゃまさせていただいたとき、講演会の終わりに交流会があり、そこで弘前学院聖愛高校の監督さんとお話させていただいたのですが……話を聞いて、腰を抜かしました!

 

この弘前学院聖愛高校野球部、すごい物語を持ってるんです。

弘前学院は1999年までは女子高なんですが、2000年に共学になります。

それで「野球部」というものが“一応”作られる……みたいになったのですが、当時の校長先生がはっきり言ってるんです。

「野球部に力を入れるつもりはない」。

 

そこで白羽の矢が立ったのが、原田一範さん。

原田さんは、他の高校の監督として”鳴らして”きた人ではない。名監督と呼ばれるような人でもない。

校長先生は、原田さんに直接言ってるんです。

「うちの高校が野球に力を入れるつもりなら、あなたのような無名な人に監督をお願いしない」と。

そりゃそうですよね。

原田さんは、全く無名の人ですから。

もし「力を入れるぞ」となれば、有名校の経歴が凄い人を引っ張ってくるでしょう。

ですが、弘前学院聖愛高校は、何でもない人(原田さん)に、「あなた、野球経験あるでしょ」と、ふわっと仕事を振ってる。

 

物語はここからスタートするんです!

原田さんの「なにくそ」からスタートするんです。

くれぐれも言っておくと、この時点で、原田さんは何者でもない。実績がスゴイある人なわけでもない。

しかも、去年まで女子高です。

「男子が野球部に入りました。でもキャッチボールやったことないです~」ぐらいのところからスタートするんです。

 

それに、この野球部、弘前ですからね!

「弘前って、北国の弘前ですよね。北国って冬場どうしてるんですか? 練習どうするんですか?」って聞いたんですよ。

「学校は、野球部に力を入れるつもりがない」ってところからスタートしてますから、野球部のために、室内練習場とか作るわけないじゃん!

冬どうすんの? 雪降るし、どうすんの? って話じゃん。

聞いたら、ビニールハウスで練習してたんです。

「ええ! ビニールハウスって、あのビニールハウスですか? あの、野菜とか育てるビニールハウスの中で練習してたんですか?」

「はい」

「えええ! すごいですね!」

「はい、生徒たちががんばってくれまして」……

(写真:干田哲平)

弘前学院聖愛高校野球部は、そこからスタートして――――『1年で潰れると言われた野球部が北国のビニールハウスから甲子園に行った話』のタイトル、このままです!

何者でもない、お金もない、実績もない、高校の監督と生徒が、ビニールハウスで練習して、そこからスタートして、2013年に甲子園に行ってる。

すごくないですか?

(写真:干田哲平​​​​​​)

青森には、甲子園常連校みたいな強豪校が、2校くらいあるんでよ。

それを撃破して、甲子園に行ってるんですよ!

2013年のあと、2021年にも甲子園に行ってます。

すごくないですか!?

なんでこの物語が、もっと広まってないの?

 

ちょっとドラマすぎて、映画すぎてダメなのかな。こんな嘘みたいな話、そうそうないから…。「映画にしたら嘘すぎる!」って…。

そんな、弱小で、無名の、素人集団が、ビニールハウスで練習してさ。それで甲子園行ってるんです。

もう「ROOKIES(ルーキーズ)」じゃん、これ! そうでしょ?

去年も、県大会の決勝までいってるんですよ。あと一回勝てば甲子園って感じだったとか。

すごくないですか?

 

弘前では有名な話なんですが、全国的には知られてないので、これは絶対みんなに知ってほしいなと。

 

この本には、弱小・無名で、実績もナシ、お金もナシ、施設もナシ……「何もナシ!」の野球部が、どうやって甲子園に行ったのか? という話が書かれています。

どういう理念で、どういう練習をしたのか。

一番デカいのは、考え方。

選手ひとりひとりに、「どういう考え方をするのが大事か」っていうのを、原田監督が説明して、「こういう時はこう考えていこう」「こういう時にはこう動こう」「自分で考えられるようになろう」って。そういうことが書いてある。

チームの作り方として、「強いチームはどうやってつくるんだ?」ってことが書かれた本です。

 

めっちゃ面白かった!

この本、”素材として天才”なんですよ。

素材として面白すぎる。

 

もう一回言いますよ。

『1年で潰れると言われた野球部が北国のビニールハウスから甲子園に行った話』。

僕の本でもないのに、やたら説明してますけど、ぜひ手に取っていただきたいと思っています。

「うちはお金がない」「うちは優秀なスタッフがいない」とか、もう誰も言い訳できない!

もうね、

これ知ったら、言い訳できないですよ。

「うちはお金がない」とか、「うちは優秀なスタッフがいない」とか、言い訳できない! 世の中の全リーダーが、言い訳できない!

この聖愛がそうだったんだから。

キャッチボールすらできないところから、ですから。

中学で活躍した選手や、中学で名を馳せた選手をスカウトすることすら、してないんだから。

 

「野球部やろう! みんな! 今日から共学になったから、野球部やろ!」

「きみ、野球に興味ある? 一回やってみよ!」

「キャッチボールしよ! え? キャッチボールやったことないの? ボールはこうやって握ってね…」

……というところからのスタートです。

そして、わずか13年で甲子園に行ってるんです!

で、今となっては、「強豪校」になってるっていう、凄いお話でございます。嘘すぎるようなお話でございます。

*   *   *

全員から「あいつはダメだ」思われ、徹底的にバカにされ、誰からも期待されない。

それでも腐らず、仮説・思考・検証を繰り返し、上を目指して、一段ずつ、丁寧に階段を上る弘前聖愛高校野球部に、何か似た物語を重ねる人もいるのではないでしょうか。

「西野さんの朝礼」から、記事にしてお届けでした!

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1年で潰れると言われた野球部が北国のビニールハウスから甲子園に行った話

校長からは「野球に力を入れるつもりなら、あなたのような無名な人を監督に呼ばない」と言われ、ようやく集めた部員からは、「キャッチボールも、生まれて初めてです」と言われた。
それが、このチームの始まりだ……。
1年の3分の1は雪に閉ざされるため、近所の農家の協力でグラウンドにビニールハウスを建て、冬はその中で練習。
それでも、気持ちは「絶対甲子園に行く!」

しかし、こんなチームでどうやって?

学歴も人脈もナシ! 無名の監督の、思考と検証と挑戦の記録!

弘前学院聖愛高等学校野球部は、優れたスポーツマンシップを発揮した個人・団体を表彰する「日本スポーツマンシップ大賞2025」の「ヤングジェネレーション賞」を受賞している。

 

 

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原田一範 弘前学院聖愛高等学校 野球部監督

1977年青森県北津軽郡生まれ。弘前工業高校野球部出身。介護専門学校卒業後、介護職に従事。96年に母校・弘前工のコーチに就任。20014月に、弘前学院聖愛高校野球部の創部と共に監督に就任し、現在まで25年間監督を務める。コーチ職、監督職の傍ら、日本大学通信教育部で学び、卒業。聖愛野球部は、これまで、夏に2度、甲子園に出場。常に革新的な取り組みを行い、各地の指導者から一目置かれる人物。

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