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1年で潰れると言われた野球部が北国のビニールハウスから甲子園に行った話

2025.07.04 公開 ポスト

高野連から非難された「行進」で、日本スポーツマンシップ大賞“ヤング賞”受賞!? 弘前学院聖愛高校野球部の真実原田一範(弘前学院聖愛高等学校 野球部監督)

1年で潰れると言われた野球部が北国のビニールハウスから甲子園に行った話』(7月9日発売)の”聖愛高校野球部”が、

このたび、日本スポーツマンシップ大賞2025 ヤングジェネレーション賞 を受賞しました!

高野連からは非難されたが、世間に感動を与えたパフォーマンス!その”真実”とは?

聖愛高校野球部は、青森山田、光星といった強豪校がいる中で、めきめきと力をつけてきたチームですが、今回の日本スポーツマンシップ大賞2025での受賞(ヤングジェネレーション賞)は、こうした試合の結果によるものではありません。

「入場行進のスタイルと、それに向かう姿勢を評価された」という、興味深い受賞です。

高校野球の一般的な入場行進というのは、テレビでよく目にするように、「イッチ、ニー」の掛け声に合わせながら、腕の振りや足並みをそろえてまっすぐ軍隊のように行進する…という印象ですが、2024年の開会式と閉会式で、聖愛は、帽子を手に持って振りながら、笑顔で歩きました

オリンピックなどでは“おなじみ”とも言える光景ですが、高校野球では、前代未聞!ということになるのでしょうか。

実際これは、

青森県高野連は「高校野球の伝統的な入場行進を残すべき」という理由から、4月にこの入場行進はしないように学校側に呼び掛けました。
ABA青森放送の記事より)

と報じられています。

これによって、このチームの清々しさが際立ったようにも感じてしまうのですが――。

この行進については、貴田光将主将を中心に、選手同士で話し合い、慣習に疑問を持ち、歴史を調べ、自分たちはどうするべきかと考えて、出した答えだったそうです。

(原田一範監督 提供)

オリンピックに限らず、たとえば高校サッカーでは地元の魅力をアピールしながら行進していたりします。一方で、高校野球では、出場するチームが揃いも揃って同じやり方で行進していて、それに違和感を抱いた彼らは、大人の意見ではなく、選手自らで考え、行動であらわしました。このチームに、「ヤングジェネレーション賞」の受賞はふさわしい!

 

なにより、この行進をした時のことで、知ってほしいことがあります。

閉会式のこと。このとき彼らが帽子を振ったのは、「彼らが勝利したとき」ではありません。そう、負けた試合での行進でした。

この試合で負けたとき、世にも稀な”不運”に見舞われたのですが(それについては、本書の第3章を!)、あまりに悔しい負け方ををしたからこその、この行進だったと。そして、「もしその試合で勝っていたら、帽子は降らなかった。相手が嫌な思いをするから」と、貴田主将は話しています。

聖愛野球部は、全くのゼロ…いや、驚くほどのマイナスから、ぐいぐいと力をつけたが、単なる根性論で伸びたチームというわけではなく、選手一人一人が思考する力をつけて強くなったチームだ――ということが、この受賞からもわかるのではないでしょうか。

こんな個性的で、魅力的なチームですが、『1年で潰れると言われた野球部が北国のビニールハウスから甲子園に行った話』には、これ以外の様々なエピソードも載っています。

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1年で潰れると言われた野球部が北国のビニールハウスから甲子園に行った話

校長からは「野球に力を入れるつもりなら、あなたのような無名な人を監督に呼ばない」と言われ、ようやく集めた部員からは、「キャッチボールも、生まれて初めてです」と言われた。
それが、このチームの始まりだ……。
1年の3分の1は雪に閉ざされるため、近所の農家の協力でグラウンドにビニールハウスを建て、冬はその中で練習。
それでも、気持ちは「絶対甲子園に行く!」

しかし、こんなチームでどうやって?

学歴も人脈もナシ! 無名の監督の、思考と検証と挑戦の記録!

弘前学院聖愛高等学校野球部は、優れたスポーツマンシップを発揮した個人・団体を表彰する「日本スポーツマンシップ大賞2025」の「ヤングジェネレーション賞」を受賞している。

 

 

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原田一範 弘前学院聖愛高等学校 野球部監督

1977年青森県北津軽郡生まれ。弘前工業高校野球部出身。介護専門学校卒業後、介護職に従事。96年に母校・弘前工のコーチに就任。20014月に、弘前学院聖愛高校野球部の創部と共に監督に就任し、現在まで25年間監督を務める。コーチ職、監督職の傍ら、日本大学通信教育部で学び、卒業。聖愛野球部は、これまで、夏に2度、甲子園に出場。常に革新的な取り組みを行い、各地の指導者から一目置かれる人物。

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