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アルパカ通信 幻冬舎部

2025.06.28 公開 ポスト

瀧羽麻子『妻はりんごを食べない』/河井あんり『天国と地獄』- “知らなきゃよかった”裏側にゾクゾクする2作アルパカ内田(ブックジャーナリスト)/コグマ部長

幻冬舎営業部 コグマ部長からオススメ返し
河井あんり『天国と地獄

自民党の選挙とは何なのか。
政治にはなぜお金がかかるのか。
検察の裏側、 裁判の裏側、4か月半の拘置所生活など、
広島選挙区の 一 連の事件の中で、
何と闘い、 何を思ったのか。
本人がすべ てを初告白した渾身の1冊。

一方、こちらはまったく毛色の違うノンフィクション。19年の参院選広島選挙区で夫とともに公選法違反に問われた著者の赤裸々な手記である。

著者は夫の落選中に結婚。夫を国会に送ることが自分の使命と考え、結婚式(実体は政治資金パーティー)を済ませると翌日から選挙区回り。知らない人に「夫を頼みます」と頭を下げ、酒席で相手が飲んだ盃を差し出されたら(たとえゴミが浮かんでいても)喜んで飲み干す日々。だが、元来政治に興味があったこともあり、やがて自分も県会議員に当選。負けはしたが知事選にも挑んだ。その後参議院議員に当選、返り咲いていた夫も法務大臣になるという天国を味わったあとで、逮捕・起訴という地獄を見ることになる。

本作の主軸はもちろんその時の内幕だが、これが本当に考えさせられる内容なのだ。女性が男社会の政治の世界に身を投じることがいかに困難か。しかも地方とあらばなおさら。もはや普通のメンタルの人では政治にかかわれないのではないかと思われるほどの特殊なムラ社会の実態。特にひどいのが国政・地方関係なく本書に出てくる政治家たちの醜態だ。保身と二枚舌ばかりで、国民よりもまずは自分たちの既得権益を守ることしか頭にない彼らの姿も洗いざらい明かしている。

著者の罪はともかく、すべてを明らかにした点においてはまったくもって痛快の一言。政治ムラの住民たちは本作の刊行によって震えて眠ることになるだろう。

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アルパカ通信 幻冬舎部

元カリスマ書店員で、POP職人でもある、ブックジャーナリストのアルパカ内田さんが、幻冬舎の新刊の中から、「ぜひ売りたい!」作品をピックアップ。
書評とともに、自作の手描きPOPも公開。

幻冬舎営業部のコグマ部長からの「オススメ返し」もお楽しみください!

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アルパカ内田 ブックジャーナリスト

内田剛(うちだたけし)。ブックジャーナリスト。約30年の書店勤務を経て2020年2月よりフリーランスに。NPO法人本屋大賞実行委員理事で創立メンバーのひとり。文芸書をメインに各種媒体でのレビュー、学校や図書館でのPOP講習会などを行なっている。これまでに作成したPOPは6000枚以上で著書に『POP王の本!』『全国学校図書館POPコンテスト公式本 オススメ本POPの作り方(全2巻)』あり。無類のアルパカ好き。
Twitter @office_alpaka

コグマ部長

太田和美(おおたかずみ)。幻冬舎営業本部で販売促進を担当。本はミステリからノンフィクションまでノンジャンルで読みまくる。アルパカ内田(内田剛)さんとは同学年。巨人ファン。
Twitter @kogumabuchou

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