
梅雨の季節。気持ちが滅入ってしまう人も多いかも?
でも、実は雨というのは、開運と直結する「五感」を磨くのに最適な季節なのです!
神職さんが教えてくれる『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』より、貴重なお話。
* * *
「五感」は開運に直結する!雨の多い梅雨は、五感を磨くのに最適です
6月の梅雨の時期は、じめっとした湿度の高い気候で、気分も沈みがち。
4月からの新生活でストレスがたまって限界を迎え、五感を鈍らせる原因にもなります。五感の衰えをほうっておくと、運が目の前にきているのに気づかない、運をつかむことができずに見逃してしまう、という由々しき事態が起こります。
「自愛」「自祓(じばら)い」して心身の健康を保つと同時に、五感も、運動させて鍛えることがとても大事です(運動は、運を動かすと書きますしね!)。
そして、じつは「雨」というのは、五感を運動させるのに最適な、神様からの贈り物だと思うのです。

明治時代の物理学者、寺田寅彦は、夏目漱石に師事した随筆家でもあり、詩的な理科系随筆をたくさん残しています。
彼は随筆「雨の音」の中で、雨音は、
広い面積に落ちるたくさんの雨粒が、一つ一つ色々なものに当たって出る音の集まり重なったものである。音の源を指し示すことはできない。音を聞いている人は数の知れない音の出る点の群れに取り囲まれているのである
と書いています。
そして、遠いところに落ちた雨粒の音は、その人からの距離のぶんだけ遅れて耳に届くので、雨の音とはすなわち、
過ぎ去った過去の音を集めたもの
でもある、と。
なんだかすごく、理科的であり、情緒的でもある表現ですよね。私はこれを読んだとき、世界の捉え方が変わった気がしました。
瀬戸内海の小さな島へ行ったときのことです。雨が降っていたので、港のあずまやで船を待っていると、小さな島全体に落ちる雨粒の音が、タイムラグを経て私の耳に届き、「過去の音」のかたまりに包まれている感覚がありました。
そのあと船がきたので、乗り込むために傘をさしてあずまやを出ると、バラバラバラバラと、頭上の傘に当たる雨粒の音が耳元に飛び込んできて、音像がはっきりとした「今の音」だけになりました。ひとつひとつの雨粒の音が立ち上がり、肌に直接、ぶつかってきます。私はお米つぶを手でさわるように、雨音を聴いて楽しみました。
そして船の中に入ると、また「過去の音のかたまり」が、遠くから包んでくるような感じがしたのです。

この体験から、私は、雨の日には三つの楽しみがあることに気づきました。
ひとつめは、室内にいるとき。ぼんやり、まったりと、「過去の音のかたまり」としての雨音を聞く楽しみ。
二つめは、傘をさして外に出たとき。傘に当たる雨音によって聴覚がバキッと目覚め、他の感覚もそれにつられてバキッと覚醒して、五感が立ち上がる感じを味わう楽しみ。傘からこぼれおちる雨だれが、肌に当たるときの、目の覚めるような触感。
三つめは雨上がり。なまあたたかい空気と、草の匂い、濡(ぬ)れた路面の色。そこを自転車で走るときの、タイヤとアスファルトが発する、ぴしぴしとキラキラの混ざったような音を聞く楽しみ。
いつでも「楽しいなあ」「幸せだな」と感じることのできる人が、「運のいい人」なのではないでしょうか。
運のいい人とは、「自分は運がいいなあ」と満足している人です。
自然に対して五感を研ぎ澄ますことは、楽しさや幸せに直結します。
意外にも、雨の多い梅雨どきが、五感を磨くのには最適だったりするのです。
(つづく)
神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

古(いにしえ)より、「生活の知恵」は、「運気アップの方法」そのものでした。季節の花を愛でる、旬を美味しくいただく、しきたりを大事にする……など、五感をしっかり開いて、毎月を楽しく&雅(みやび)に迎えれば、いつの間にか好運体質に!
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神主さん直伝。「一日でも幸せな日々を続ける」ための、12カ月のはなし。
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