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「気づき」の快感

2025.06.08 公開 ポスト

「サーブを打ってください」安住アナのまさかの提案で生まれた最高視聴率の瞬間齋藤孝

「センスのいい人」=「気づきが多い人」。
教育やコミュニケーションを研究し『全力!脱力タイムズ』の解説員としてもおなじみの齋藤孝さんが、人生と仕事を劇的に変える「気づき」のメカニズムと習慣のコツを解説する幻冬舎新書『「気づき」の快感』より、一部を抜粋してお届けします。

安住紳一郎さんが教えてくれた、「予定調和からはずれる」面白さ

数年前に『情報7daysニュースキャスター』(TBS系)にコメンテーターとして出演したとき、非常に面白い経験をしました。

その日は、プロテニスプレイヤーの大坂なおみ選手が全豪オープンで初優勝した直後であり、日本中が優勝の快挙に盛り上がっているタイミングでした。事前に番組のスタッフから「テニスウェアとラケットを持ってきてください」といわれていたのですが、コスプレでもするのだろうと軽く考えていました。

生放送に備えていると、司会を務めている安住紳一郎さんが私に向かってこういいます。

「齋藤先生、大坂なおみさんのVTRに入る前に、サーブを打ってもらえますか?

この提案には面食らいました。確かに私はコーチをしていたので、多少テニスの心得はあります。でも、元プロ選手というわけでもない大学教員です。私がサーブを打つ姿を生放送で全国に届ける? いったい、どういうことなのか? 

 

でも、安住さんから「今日は視聴者の皆さんがテニスに対して気持ちが熱くなっていて、絶対にラケットを振りたいと思っているはず」といわれて腹をくくりました。

あとで聞いたところによると、安住さんは、「私にボールを打たせる、しかもバウンドするボールを打つのではなくサーブを打つ」という演出を、その場で決断したそうです。

「うまい下手よりも、思い切り打てばいい」

安住さんの言葉を信じ、私はいわれた通りにサーブを打ち込みました。すると、なんとその瞬間が3年間の放送でトップに近いくらいの高視聴率を記録したのです。

改めて「物事に旬があるとは、こういうことなんだ」と実感しました。私のサーブはあの瞬間だったからこそ生きたのであり、3日後に同じことをしたら「何をしているの?」となったはずです。

「気づき」は変化をつけるべきタイミングを察知するセンサーになる

旬を逃さない感覚は、予定調和からはずれたところで効力を発揮します。

確かに、私たちには予定調和を求める心もあります。例えば、テレビドラマ『ドクターX』(テレビ朝日系)では、最後は主人公の大門未知子が難しい手術を成功させるとわかっているのに、実際に手術が成功するとやっぱり爽快感を覚えます。

一方で、人間には予定調和だけでは退屈してしまう側面もあります。予定調和に偏りすぎると、気づきの数も少なくなります

気づきを常に意識していると、予定調和を壊し、変化をつけたほうがいいタイミングを察知できるようになります。安住さんは、予定調和に満足せず、試行錯誤しながら斬新なアイデアを生み出し続けています。彼の当意即妙な対応は、起こるべくして起きています。安住さんのように、変化を求める姿勢を持つことが大事なのです。

*   *   *

この続きは幻冬舎新書『「気づき」の快感』でお楽しみください。

関連書籍

齋藤孝『「気づき」の快感』

「あなたは気づきが多いほうか?」と聞かれて「多いほう」と言える人は、この本を読む必要はない。なぜなら次々と「気づき」が訪れるときの”快感”を知っているはずだからだ。一方で「少ないほう」という人は、本書を読むと、とんでもない「気づき」が得られるだろう。そもそも「気づき」とは周りの状況に対して、新たな理解や洞察を得てハッとすること。歴史上の偉大な発明や発見も小さな気づきから生まれたものである。そこで本書ではどうすれば「気づきの多い人」になれるのかを解説。気づきが多くなると仕事で結果が出るだけでなく、人生も楽しくなる!

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「気づき」の快感

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教育やコミュニケーションを研究し『全力!脱力タイムズ』の解説員としてもおなじみの齋藤孝さんが、人生と仕事を劇的に変える「気づき」のメカニズムと習慣のコツを解説する幻冬舎新書『「気づき」の快感』より、一部を抜粋してお届けします。

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齋藤孝

1960年、静岡県生まれ。明治大学文学部教授。東京大学法学部卒業。東京大学大学院教育学研究科博士課程等を経て現職。専門は教育学、身体論、コミュニケーション論。『身体感覚を取り戻す』で新潮学芸賞受賞。『声に出して読みたい日本語』(毎日出版文化賞特別賞)がシリーズ260万部のベストセラーになり日本語ブームをつくった。Eテレ「にほんごであそぼ」総合指導。『15分あれば喫茶店に入りなさい』『イライラしない本』など著書多数。累計発行部数は1000万部超。

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