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女80歳の壁

2025.05.04 公開 ポスト

「ときめきは神様の贈り物」――和田秀樹が提案する、80代からのワクワクする毎日和田秀樹

体力も気力も70代とは全然違う「80歳」の壁。その壁をラクして超えて、寿命をのばす――その秘訣がつまった『80歳の壁』は、2022年の年間ベストセラーにもなりました。そんな「壁シリーズ」の最新刊『女80歳の壁』が出版されました。

「夫の世話・介護からくるストレスや負荷」「骨粗しょう症による骨折で歩けなくなる」など、ぶ厚い障害を乗り超え、高齢期を楽しみ尽くすための生活習慣を詳細に解説した一冊。本書から、一部をご紹介します。

*   *   *

亡き人に 気兼ねをせずに 今を良く

夫が亡くなった後も、夫に気兼ねをしている女性がいます。気になる男性がいるのに、「私は生涯、あの人だけだから」と、頑なになる。

これって、何なのでしょう?

夫があの世から見ているとでも思うのでしょうか? あるいは、亡くなった夫が「うらめしや~」と化けて出てくると思うのでしょうか?

とても失礼な物言いになりますが、私には理解できません。死んでしまったら肉体はないのです。故人との思い出は、心の中に残りますよ。「ああ、あの人のおかげで楽しかった」と感謝もするかもしれません。

でも、だからといって、死んだ人にまで操を立てることはないと思うのです。

夫は死んでも、あなたは生きているのですから、自分の生をまっとうすべきです。生きていることを楽しむべきだと思うのです。

いつまで楽しめるか、誰にもわからない。来年はわかりません。それどころか、来月もわからない。明日さえもわからないのです。それが幸齢期の特徴です。

幸齢者にとっては、いちばん若いのは今日です。今日がいちばん元気で、確実なのです。だから、いますぐに行動をする。

死んだ人に気を使っている場合ではありません。「あなた、ありがとうね。私は好きにやるからね」と動いてみませんか。きっと楽しくなりますよ。

患者さんにそう話したら、実践してくれた人が、教えてくれました。

「先生、不思議なんだけど、仏壇の写真の見え方が変わってくるんですよ。なんだか、もっと穏やかな顔になった感じで。気のせいなんでしょうけどね」

私は霊やあの世のことはよくわからないので、「まあ、気のせいでしょうね」と笑うしかありませんでしたが。

でも、脳が楽しくなると体調がよくなり、行動も活発になる。そして、免疫力が上がり、病気になりにくくなる。これは医学的にも証明されていることです。

ときめきは 神様からの 贈り物

恋愛や性の話が続いたので、「私には関係ない」と思われた方も多いでしょう。幸齢者の患者さんと話しても「恋愛なんて」と言う方はたくさんいます。

私が伝えたいのは、恋愛に限ったことではなく“ときめき”の話なのです。

心をときめかせて生きる――。

どんなことだって構いません。

昔観た映画にときめくのもいいでしょう。憧れのスターにときめくのも素敵です。韓流、大いに結構です。ライブに行ってノリノリになれたら最高です。

趣味もときめきますよね。骨董が好きな人は、お店や骨董市を訪ねてみる。旅行が好きな人は、まだ見ぬ名所を探してみる。かつて恋人や夫と一緒に行った場所を再び訪ねるのも素敵ですよね。料理が好きな人は、新たなジャンルに挑戦してみる。食べたいものを食べに行く。行きたくても行けなかったお店に行く。

掃除や片付けが得意な人は、徹底的にきれいにして、ときめく。そういえば、『人生がときめく片づけの魔法』という大ヒットした本もありましたね。部屋を整理する際に「ときめくか、ときめかないか」で判断するという内容だったと思います。ときめくなら残す。ときめかないなら、感謝して捨てる。幸齢者なら心の整理もできるし、遺品の整理にもなるので、一石二鳥です。

ときめきは、なんだっていいのです。もちろん、恋心もそのひとつです。

みなさんは、何かにときめいていますか? ときめきを求めていますか?

「いまさらときめきなんて」とブレーキをかけてしまっていませんか?

ときめくと、ドキドキしたり、ワクワクしたりします。「どうやったらうまくいくかな」と考えるようになります。そして、実際に行動します。

このすべてが、元気で長生きにプラスに働きます。どんどんときめきましょう。

「私は何にときめくかな」と探してみることも大事です。そして、ときめくことがあったら、迷わず一歩踏み出してみたらいいと思います。

「モテたい」と 思う心が モテるコツ

ときめきの他に、もうひとつ伝えたいのが「モテる」ということです。

先ほど「世間の目を気にするなかれ」と述べましたが、「モテる」は人に迎合することではありません。人に気に入られるのではなく、自分の魅力を高めて人を魅了する。つまり、受け身ではなく、積極的に人と関わっていく行為なのです。

「モテる」というのは、異性だけではありません。同性にも「モテる」。

70歳、80歳からモテる自分になる――。素晴らしいと思いませんか?

モテる方法はいくらでもあります。それこそ、ときめきと同じです。

例えば、人に優しくする、話術を磨く、料理上手になる……など、自分の好きなこと、得意なことを磨いていくことは「モテる」の近道だと言えます。

「私なんて、こんなおばあちゃんだし」と言う人がいますが、モテたくない人はいません。誰だって「モテたい」と思っているはずです。

だったら、モテる人を目指しましょう。「モテたい」と思い、モテるための行動をしましょう。まずは「モテたい」と思うことが、その第一歩です。

関連書籍

和田秀樹『女80歳の壁』

「夫の世話・介護からくるストレスや負荷」「骨粗しょう症による骨折で歩けなくなる」「家族を亡くしたさみしさでうつになる」など、「女80歳の壁」はぶ厚い障害だ。 このような壁を、80歳以上でいきいきしている「幸齢女子」はどう乗り超えているのか? その最強の方法は、とにかく肉を食べること、好きなことだけをして生きること。 「夫と子供は無視していい」「女性・男性ホルモンの両方を補充する」「カツラもしわ取りもOK」等々、壁を乗り超え、高齢期を楽しみ尽くすための生活習慣を詳細に解説。 人生を最後まで充実させたい女性必読の一冊。

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女80歳の壁

体力も気力も70代とは全然違う「80歳」の壁。その壁をラクして超えて、寿命をのばす――その秘訣がつまった『80歳の壁』は、2022年の年間ベストセラーにもなりました。そんな「壁シリーズ」の最新刊『女80歳の壁』が出版されました。

「夫の世話・介護からくるストレスや負荷」「骨粗しょう症による骨折で歩けなくなる」など、ぶ厚い障害を乗り超え、高齢期を楽しみ尽くすための生活習慣を詳細に解説した一冊。本書から、一部をご紹介します。

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和田秀樹

一九六〇年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、三十年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。『80歳の壁』『70歳の正解』『マスクを外す日のために』『バカとは何か』『感情バカ』(すべて幻冬舎新書)など著書多数。

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