
4月は自分を発見できる月。では具体的に何をしたらいい?をご紹介!
『神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること』は、読めば読むほど、運気がアップします!
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4月は唯一無二の自分を発見する月です
4月は花の月。お迦釈(しゃか)様の誕生をお祝いする月、ということをご存じでしょうか。
キリスト様の生誕を祝うクリスマスは誰もが知っているのに、お釈迦様の誕生を祝う日、灌仏会(かんぶつえ)については、意外と知られていませんよね。
お釈迦様の誕生日は正確にはわかっていませんが、日本では7世紀ごろに仏教が伝わってからずっと、4月8日に誕生をお祝いしてきました。
ちょうど花が咲く季節ということもあり、日本らしく「花まつり」とも呼ばれ、お寺では花に囲まれたお釈迦様の誕生仏(誕生の瞬間の姿をした仏)に甘茶(あまちゃ)をかけて祝う行事が行われます。甘茶はアマチャという植物から作られる甘いお茶のこと。お釈迦様が生まれたとき、九頭の竜が天から芳しい甘露(かんろ)を吐いて産湯を満たしたという伝承にちなんでいます。

インドのルンビニーの花園で生まれたお釈迦様は、生まれてすぐに7歩あるいて
「天上天下唯我独尊」
と言われたと、伝えられています。
「天上でも天下でも我一人が尊い」
なんてかっこいいことを言う赤ちゃんなのでしょう!
知り合いの僧侶にこの言葉の意味を聞いてみたところ、「解釈はいろいろあるが、人は、一人ひとりが、天上天下にたった一人、独自の存在であり、何ひとつ付け加えることなく、生まれてきた命のままに尊い、ということの発見だ」と言うのです。
わー。と思いました。それは、私が日々、神社で赤ちゃんのお宮参りのご祈祷をしているときに、体感していることだったからです。
生まれてひと月の赤ちゃんが、初めて神社にお参りする「初宮詣(はつみやもうで)」、いわゆる「お宮参り」は、その土地の神様(氏神さん)が治める氏地(うじち)に、新しい氏子(うじこ)が誕生したことを奉告(ほうこく)し、神様と氏子が初めて対面する儀式です。
祝詞(のりと)を上げるとき、神職の私は、神様と赤ちゃんの間に立ちます。初めて対面する神様と赤ちゃんは、言葉ではない手段でさかんに交信しているのでしょうか。その間に立っていると、まるで、静かで強烈な磁力にサンドイッチされ、私の細胞のひとつひとつが更新されるかのように感じるのです。声を出して祝詞を上げているうちに、体中のめぐりがよくなって、心なしか、肌もつるっとします。
赤ちゃんの体そのものから、強烈な尊さが、放たれている。ものごころも、スペックも、なーんにもついていない、生まれたての赤ちゃんは、まさに「天上天下唯我独尊」ビームのようなものを発していると感じます。
とはいえ、赤ちゃんはすぐに自我や欲がくっついた幼児になり、やがて、複雑ないろんなものがくっついた大人になってゆく。生きるってそういうことだから仕方ない。でも、そのくっついたいろんなもの、すなわち穢れが、心や体の病につながってしまう……。
だから私たちは、季節の行事ごとに、さまざまなスタイルで、身にくっついたものを祓い清め、できるだけ生まれたての尊い状態に近づこうとするのですね。尊さは失われても、なんとかそこに戻ろうとします。
そう思ってみると、私たちは意外とけなげな生き物です。
さて、花まつりのある4月は、お釈迦様が生まれたときのように、唯一無二の自分を発見する月です。その方法は、人によって違うと思いますが、私が実践していることを一例としてご紹介しますね。
その1、朝の瞑想
朝、とくに日の出は、一日が生まれる時間。日の出に立ち会うことで、自分も新しく生まれます。
窓を開け、空気を入れ換えて、体の細胞がすべて入れ替わるのをイメージします。
そして5分程度の瞑想(めいそう)をして、流れてくる考えをただ見つめるようにします。尊い日の出の時間帯にはダークな考えは流れてきませんので安心してください。
こうして一日の始まりに静かな時間を持つと、自分の中に清らかな余白ができます。すると、その余白に、よきことが舞い込んできます。
その2、寝る前の、よきこと日記
眠りにつく前、手書きで、その日にあった10の「よきこと」を書きます。バスの車窓から見える景色が青くてきれいだったとか、もふもふの柴犬が座って動かずにおまんじゅうみたいになっているのを通りすがりに目撃したとか、そんな感覚的な「よきこと」を、短く書き出します。
不思議ですが、ものを書くということを続けていると、書かれるべきことが起きるようになります。
毎日、おもしろかったことを書けば、おもしろいことが起きるようになるし、よきことを書けば、よきことが起きるようになる。
それは、書くためにアンテナを張っているから、キャッチしやすくなるだけじゃないか、と思いますよね。たしかにその通りです。「身の回りでは、おもしろいことやよきことが次から次へと起こっているが、自分が感じなければ、起こっていないのと同じ」で、発見することで初めて「起きる」とも言えます。
書くという行為は、「現象を発見すること」で、それは、「現象が起きるということ」と同じです。
言葉が生まれたとき、それが呪術として機能していたように、文字が生まれたときも、それは呪術だった。だから、手を動かして、書く必要があるのです。
一日10書くと、10日で100、ひと月で300のよきことが書かれた唯一無二の日記ができ、それは同時に、未来によきことが起きるおまじないでもあります。
朝と晩、この二つの方法でまわりの現象を発見し、見つめ、味わうと、自分という存在も、「現象」として感じられるようになります。
たとえて言うなら、自分のことが、蒸気のように思えるのです。山の木々から、ふわっと立ちのぼる、あの蒸気。
なにひとつ同じものがなく、現れては消えていく。そんな自由で唯一無二の存在としての自分を、発見できると思います。
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神様と暮らす12カ月 運のいい人が四季折々にやっていること

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